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水滸伝展を通して北宋画・南宋画の魅力を全力で語りたい- 東京ステーションギャラリー -

    数あるnoteの中から
    おいでいただきありがとうございます。

    今回は
    「南宋・北宋」というワードで
    導かれてきた方が
    いらっしゃるとしたら
    全力でお迎えしたいっ!

    どうか私の梁山泊に
    入っていただき
    ご一緒に
    北宋画・南宋画を
    鑑賞していただきたいです。

    なんせ
    北宋・南宋時代の
    中国絵画、とくに山水画は
    私の「大好物」なのです。

    もしご存知ない方が
    来ていただけたのなら
    宋江くらい
    うまく口説いて
    梁山泊に迎え入れたい!
    (「宋江」「梁山泊」は
    水滸伝ネタです。
    口説くのが上手いのは
    呉用かしらん、
    というのはさておき)


    今回は
    北宋画、南宋画の魅力を
    愛のままに
    語ろうと思っております。

    北宋・南宋・中国画、
    そして
    水滸伝をご存じなくても
    全く問題ありません。

    ただただ、
    愛が深く
    ウザい美術推しに
    なってしまいますが、

    どうか最後まで
    お付き合いください。


    読み終える頃に

    北宋画、南宋画とやら、
    ちょっと気になる・・・
    見てみたいカモ・・・

    となっていただけたら
    嬉しいです。

    水滸伝展とは
    盲点だったぜ


    ある日
    友人から連絡をいただきました。

    「水滸伝展ってやってるけど
    展示内容がけっこう
    あなたの趣味なのでは?」と。

    水滸伝、
    知っているのは
    ゲームの「幻想水滸伝」くらいで
    オリジナルを
    まったく存じ上げません。

    当然ながら
    水滸伝展の
    訪問予定もなく
    何のことやら?
    と思ったのですが

    この水滸伝展、
    展示内容を確認すると
    恐るべき宝物展でした。

    ○作品リスト
    https://www.osaka-art-museum.jp/sites/default/files/2026-07/作品リスト.pdf
    (巡回展なので、当時、東京ステーションギャラリーに来る前の
    大阪市美術館展で確認しました)

    ○東京ステーションギャラリーの水滸伝展のサイト

    何が良かったのか、
    何がすごいのかは
    展覧会レビューとして
    後述させていただくとしまして。

    「水滸伝の展示ですよー」
    といいつつ
    北宋・南宋の
    超貴重なお宝を
    ざっくざく展示しています。

    こういうのって
    非常に危うい!
    そうそう見ることのできない
    北宋・南宋の
    貴重な絵が
    しれっと展示されているんだもの。
    見逃してしまうところでした。

    友人に感謝です。


    水滸伝とは

    中国四大奇書の一つとされる『水滸伝』は、北宋時代の史実をもとに成立しました。小説の内容は、12世紀、徽宗[きそう]皇帝の治世を舞台に、腐敗した政権に不満を抱いた宋江[そうこう]率いる108人の豪傑が梁山泊[りょうざんぱく]に集うというものです。
    日本に伝わった『水滸伝』は江戸時代に一大ブームを巻き起こし、オリジナルとは違った新たな物語や表現が生み出されていきました。現代でも、小説や漫画、ドラマ、ゲームなど、多彩なメディアで『水滸伝』のイメージが親しまれているといえるでしょう。

    東京ステーションギャラリー「水滸伝展」より 一部抜粋

    ざっくり、
    北宋末期を舞台にした
    ファンタジーです。

    私も
    大好きな北宋・南宋画の
    歴史背景を知っておこうと
    まずは読みやすいということで
    横山光輝さんの漫画を
    全巻読んでみました。

    漫画版は
    108人全員は出てきませんが
    これだけたくさん登場すると
    きっと、推しも見つかります!

    ヒーローぽい林冲や
    イケおじ花栄など・・・。
    ぜひ読んでみてください。

    北宋画・南宋画の魅力と違いを語りたい


    今回のメインテーマはこちらで。

    北宋画とは、南宋画とは。
    中国山水画の歴史や
    北宋と南宋の違いを
    体系立ててしっかり
    学びたい方は
    Wikipediaなどがよろしいかと。

    (もちろん実際には
    北宋画・南宋画といっても
    作風はさまざま。
    ここではかなり大きく括って
    お話しています)

    私は例によって
    体系立てて説明するより
    いつもどおり
    「絵の奥から何が掴めるか」で
    お話したいと思います。

    ①中国絵画の「気」を理解する

    とはいえ、多少は
    体系立った話も
    いたしましょう。

    私が北宋・南宋に
    ハマったきっかけの一冊です。

    日本でも西洋でも、絵画の基本的な要素は、「形」だが、中国絵画の場合、さらに「気」という要素が加わる。「気」とは何か? 気が絵画にどのように表れるのか、その実例を示しながら、中国絵画独特のこの考え方を丁寧に説明する。

    Amazon 本書紹介文より一部抜粋

    絵は基本的に「形」を
    描いていることに対して
    中国絵画は「気」であると。

    日本人は中国が
    地理的にも文化的にも
    近いだけあり
    中国の「気」は
    理解しやすい土壌だと思います。

    気候、天気
    気功、気の力
    空気、湿気
    水気、火気、土気、

    その場の空気感

    なーんとなく、
    「気」、わかるような・・・?

    たとえば中国画は
    山の形を描き写すのではなくて
    その山が
    「そこに存在している感じ」まで
    描いている

    と感じます。

    よって
    中国画は
    「山はこの視点・角度から見ると
    こう見えました」
    という
    視覚にたよった
    「形」を「正確に描く」
    ものではないようです。


    山の高さを知っている。
    谷の深さも知っている。
    その奥にも山々が続き
    水が流れ、霧が動き、
    ちっぽけな人間は
    その中で生かされている・・・


    それ全部で
    「この山」という描き方です。

    ここから
    私が大好きな
    北宋の空間表現を
    続けてみてみましょう

    ②北宋の山水画=「一か所から見た景色」にしない

    北宋時代の山水画を
    お話しするなら、
    郭熙(かくき)の
    《早春図》が良いでしょう。

    画像
    宋 郭熙 早春図
    https://theme.npm.edu.tw/exh110/treasures/jp/page-2.html
    この絵が見たくて台湾(故宮博物館)まで行ったのですが
    当然、超絶貴重な絵なので
    通年展示ではなく。
    故宮博物館では
    北宋・南宋の絵はほとんど見れなかったという。
    (白菜はみました笑)

    北宋画の魅力を知らない頃は
    「山の形が理路整然としていなくて
    何を描いているんだろうこの絵・・・」
    なんて感じていたものです。

    北宋時代の山水画を理解する際に
    ぜひ知っていただきたいのが
    三遠という考え方。

    高遠=下から山を仰ぐ。
    深遠=手前から山の奥深くを覗き込む。
    平遠=近くから遥か遠方を見る。

    郭熙の《早春図》では、
    この三つが一枚の中に
    組み合わされています。

    でも、
    この視点が3つ
    入っているということを知ると
    断然面白くなってきます。

    これって
    「一枚の絵の中で
    見る人の視点が自在」

    ということ。

    西洋の一点透視図法的な発想は、
    極端に言うと

    「私はここに立っています、
    世界はここからこう見えます」

    なのですが
    中国山水は、


    ここから山を見上げ、
    少し進んで、谷を覗く。
    さらに奥へ行き
    遠くの峰を見る。


    こんなふうに
    鑑賞者が
    絵の中を移動できるんです。

    あなた自身が
    「気」となり
    山々に漂い
    そこからの視点で山を
    捉えることができる

    という感覚でしょうか。

    3視点から描くことで
    さらにたくさんの視点の
    さまざまな山の見え方が
    みえてくるんです。

    みえないところにまで
    山は存在している

    絵の中の山なのに
    絵に描かれていない
    アングルまで
    心の中でみえてくる

    それは「山の形」ではなく
    「山そのもの」、
    「山そのものがもつ気」
    のようなものです。

    そこを知ってから
    早春図を改めて見ると

    描かれていない
    山の裏側まで見えてくるような
    気がしませんか・・?

    ③南宋の山水画=「描かない場所」まで世界にする

    北宋から南宋に
    時代がうつりかわっていくと

    南宋時代の山水画には
    構図が大胆に偏ったり
    画面のかなりの部分が
    あいている作品も
    見られるようになります。

    南宋時代の水墨画なら
    根津美術館所蔵の
    牧谿(もっけい)の
    《漁村夕照図》(国宝)
    (中国・南宋時代 13世紀)
    をあげるのがよいかもしれません。

    https://artexhibition.jp/topics/news/20250718-AEJ2700650/

    ページ上部にて絵が見れます。

    昨年、唐絵展で拝見して
    度肝を抜かれた絵です・・・
    いい絵、でしたぁ。

    ぜひまた展示される
    機会がありましたら
    お出かけしてみてください。

    前述した
    ①気
    ②「そのものがある」という視点

    このあたりが万歳です。

    そして
    私には北宋画ですでに感じられる
    「画面に描かれているものだけが
    世界ではない」

    という感覚が
    南宋ではさらに大胆に
    なっていくように見えるのです。


    この大胆さが
    清々しく気持ち良い。


    山のはしっこだけ描く。
    水面は、霧で消える。

    でも、

    世界がそこで終わったとは
    誰も思わない。

    むしろ、

    「この霧の向こう、めちゃ広大!」

    なのです。

    描かれていないところに
    果てしなく広い世界を
    感じることができる

    これが、南宋画の魅力です。


    描くことで表現を広げるのではなく
    引き算で、描かないことにより
    世界を無限に伸ばしているのです。

    描かないことで
    存在させる。

    これができた南宋画。
    かっこよすぎるのです。
    アツすぎるのです。

    私はこの時代の絵が
    とにかくお気に入りで

    勝手に
    「中国画のピークはここ!」
    と感じています。

    水滸伝展で展示されたお宝①江山楼観図

    さてここからは
    水滸伝展のレビューです。

    一番の目玉は
    なんと言ってもこちらでしょうか。

    画像
    江山楼観図(こうざんろうかんず)燕文貴 中国北宋時代 
    10~11世紀大阪市立美術館(阿部コレクション)
    引用元:https://dom.ocm.osaka/treasure/database/8

    なかなかみることのできない
    北宋の水墨画です。

    実はこの時代の水墨画
    薄ぼけてたり、
    茶ぼけてたり、
    一見よくわからない、
    という絵が多いです。

    そんな印象で
    避けていたことさえありました。

    もっっっったいない!!!
    第一印象で捨てずに、
    ぜひ、じっくり、
    みてみてください。

    水滸伝展で
    みていただくのがベストですが
    まずは
    ぜひサイトに訪れて
    拡大してみてみてください。


    北宋の
    山の、大地の、大気の「気」、
    そして複数の視点。

    そして私には、
    この右側の余白に
    後の南宋画でさらに大胆になっていく
    「描かない世界」まで
    すでに感じられるのです。

    余白は
    「なにもない」のではないのです
    「世界が無限に続いている」
    なのです。

    この
    「描いていないのに
    全部描いてある」
    という状態が
    非常に!!アツい!!

    若干うざめなのですが
    どうしても、
    この魅力を
    みなさまに伝えたいのです。

    水滸伝展で展示されたお宝②送郝玄明使秦書画合璧


    お次の絵は
    パンフにすら
    取り上げられていない
    隠れお宝!

    画像
    送郝玄明使秦書画合璧(かくげんめいのしんにつかいするをおくるしょがっぺき) 
    胡舜臣 画、蔡京 書
    中国 北宋時代 宣和4年(1122)
    引用元:https://theme.npm.edu.tw/exh110/HiddenGems/jp/page-2.html#lg=9&slide=3

    この絵は、すごかったです!!!
    息をのむ、すばらしさ。
    しかも展示リストの名前からは
    絵なのかもよくわからなかったので
    実際展示されているものを見て
    「こんなお宝が!!!」と
    アツくなりました。

    こちらの絵を拝見したのは
    フェロニエール観た一週間後でしたが
    大丈夫、
    ちゃんと、
    ぶっ飛べます。
    (フェロニエール事件の話は
    別記事でかかせていただきました
    https://note.com/killamaru/n/nb72644b1b01f)


    北宋時代の絵ですが
    もう南宋が
    見え隠れしているような絵です。

    やはり余白は
    「なにもありません」
    「なにも描いていません」
    ではないのです。

    むしろ、その余白に
    世界がそっくりそのままのサイズで
    ずっと、ずっと、ずっと、
    続いている・・・
    そのまたむこうに
    宇宙すらも存在するくらいに

    少なくとも私は
    こんなふうに
    余白へ宇宙まで
    放り込んでくる絵を
    他にあまり知りません。

    この時代の中国画がたどり着いた
    とんでもない表現の
    ひとつだと思います。


    すばらしいものが
    拝見できました。


    北宋、南宋時代の
    中国画は
    本当に貴重で
    描き手がはっきりしないことも
    多い時代です。
    (「伝」が付くことも多い)

    そんな貴重な絵が2枚も!
    しかも
    水滸伝展ということで
    浮世絵などは混んでいましたが
    中国画スペースは
    誰も観ていませんでした・・・

    ゆっくり堪能できる
    穴場かもしれません。

    水滸伝展で展示されたお宝③水仙盆

    あまり写真を撮影しない私でも
    撮らずにはいられない
    美しさでした。

    画像
    青磁 水仙盆(せいじ すいせんぼん) 汝窯 中国 北宋時代 11世紀末~12世紀初
    大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション)

    写真が下手で恐縮ですが
    実物はもっともっと
    美しいのです。

    すみわたる美しい青磁。
    こちらの
    貴重な汝窯の青磁は
    「雨上がりの空の青」
    と言われています。

    こちらの
    「とろん」として
    なおかつ「澄みわたる青」は
    実際にみると
    虜になります。

    とてもシンプルな形
    シンプルがゆえに
    嘘がつけない完成度

    この水仙盆は
    華やかな文様で飾るのではなく、
    形と釉薬、淡い青
    そして光だけで
    成立しているように見えます。


    足さないことが、
    欠如にならない。

    これって
    いまから
    1000年近く前なのに
    ほとんどミニマリズム
    みたいなところまでいっています。

    そして

    「南宋画の
    描かないところから
    世界がつづく」

    「汝窯の
    足さないことで美しさが完成する」

    というところが
    繋がってくるのですよね。

    北宋・南宋、
    行きつくところまで
    いっちゃってる!!
    と思います。

    まとめ ぜひ水滸伝展、行ってみてください

    今回は少し強めに
    北宋画、南宋画を
    お薦めさせていただきました

    私も
    「中国の古い絵って
    薄ぼけていて
    いまいちよくわからない・・・
    これがなぜ国宝??」

    なあんて時代があったのです。
    良さに気づいた時には
    貴重すぎて
    見れる美術館が
    なかなか見つからない、という。。

    水滸伝展で
    展示されている
    今!がチャンス!です。
    (開催は2026年11月8日まで)


    この時代の中国画の良さが
    一人でも多くの方に
    伝わりますように。

    そして、ここまで読んで

    「北宋画、南宋画とやら、
    ちょっと見てみたいカモ・・・」

    となった方、

    ようこそ、
    私の梁山泊へ。

    ぜひ一緒に
    北宋・南宋の
    果てしなく広い世界を
    楽しみましょう。



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    お気軽にコメントを書いていただけるとうれしいです。




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    絵の声を聴いたり、描かれていない世界を感じたり。ちょっと不思議な美術鑑賞を綴っています。 絵の見え方は人それぞれ。あなたにも、あなただけの鑑賞能力があるはず。 いつかこの楽しさを一冊の本にして、もっと多くの人に届けたい。 記事は随時推敲中。すべて自分の言葉で書いています。

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