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「ローカルWebメディアは稼げない」と諦める前に読んでほしいnote

    どんな地域でも、その地域の情報発信に意欲的な方は、呼びかければ意外と多く存在するものです。
    文章が書ける、写真が撮れる、デザインができるといった特有の「スキル」を持つ人ならば、なおさらです。

    「この町には、もっと知られるべき人や場所がたくさんある」

    そう気づいたとき、誰もが一度は「自分で地域の情報を発信してみようかな」と考え始めます。
    それがウェブメディアなら、SNSを活用しながら、紙メディアより広域に届きやすいメリットがある。

    でも、すぐに悩ましい事態に直面します。運営するリスク、そして続けるために必要なコストです。

    メディア開設を悩んでいる地域関係者へ

    ウェブサイト開設は、簡単です。でも現実は、なかなか行動に移せません。
    先行事例を調べれば調べるほど、記録や記憶に残るローカルメディアの顛末や最期に、二の足を踏んでしまうからです。ウェブメディアが乱立した10年以上前から、散々「ローカルメディアは稼げない」と語られてきてしまいました。

    さらに情報発信や情報共有のニーズがある地方や田舎町ほど、地域密着のウェブメディアを立ち上げる心理的ハードルは高いものです。
    ネットビジネスの「マネタイズ」の常識が、必ず立ち塞がってきます。

    「PV(閲覧数)を稼がなきゃいけないけれど、この町の人口じゃ無理だ」
    「結局、ボランティアか、地元の行政から予算をもらうしかないのか」

    そして、地元行政の予算の事情によって、おおよそ「3年」が活動の限界になり、予算が切れると共にサイトの更新も止まっていく――。

    でも、これからはどうか、計画前から諦めないでください。
    続かない前提ではなく、続く仕組みを考えてみてください。

    ローカルメディアは、地域の検索ニーズ(困りごと)に情報提供し、地元経済に根付く地域事業として運営を目指せば、独自の収入を得ながら取材活動を維持することができます。
    人口2万人以下の小さな「町」でも、やり方次第で持続可能なスモールビジネスとして成立させることは、十分に可能だったのです。

    誰も語れなかった「自立自走メディア」のリアル

    地域メディアによる自立自走の継続的運営は、これまで地方創生の文脈で「理想論」として数多く語られてきました。
    でも、「具体的にどの規模のエリア(人口)なら現実的に可能なのか」「どういう収益構造なら食べていけるのか」を実際に自ら行動して検証し、データとしてオープンにした例は、日本中探してもそう多くないようです。

    それもそのはず。
    地域に根を張り、内向きの発信(地元の人々に向けた日々の取材や更新)に全力で打ち込んでいるメディアは、たとえ経営的に成功していても、その内情やノウハウを「対外的に発信する余裕がない」という事情があるからです。「発信する必要がない」とも言えます。
    現場の編集長は、日々の取材、締め切りや営業でいつだって手一杯です。

    だからこそ、誰かがその沈黙を破り、リアルな「構造」と「数字」を明かす必要がありました。

    私は、田舎の小さな町で無謀にもメディア運営にチャレンジしてきた自覚があります。ウェブメディアとして自立自走を模索しながら、過去の自分の疑問に答えたいと思い続けて、今このnoteを書いています。
    一定の継続性が見えてきたからです。

    「ローカルメディアは稼げない」は思い込み

    私たち編集部は結果的に、およそ10年かけて、人口2万人以下の「町」でローカルウェブメディア運用の継続性を実証しました。

    佐賀県基山町。人口わずか1.7万人の小さな町で2017年に開設されたローカルウェブメディア『大字基山』は、2026年現在、開設9年目に突入しています。同年6月からはサイト名称を『おおあざ』変え、来たるべき10周年、そしてその先の10年を見据え、活動継続とさらなる発展を目指しています。

    『大字基山(現おおあざ)』は、地元行政の予算によって作られた、いわゆる「行政のオウンドメディア(広報代行)」とは違います。

    サイト開設からの2年間は、町の補助金を得て活動していた民間有志による任意団体(ボランティア団体)でした。そして、3年目に独自のスポンサー収入を確立。
    その後は編集部として複数の収入源や広告主に支えられながら、文字通り「自立自走」のメディア運営を続けています。

    地域メディアとしては極小に近いスケールですが、自立自走の継続モデル・システムを実証できたという点において、いつか「ローカルメディアの成功事例」の一つに数えてもらえると嬉しいです。

    未来の編集長たちに読んでほしいnote

    もし、あなたが「自分の町でもウェブメディアを始めたいけど、難しそう」と悩んでいるなら、ブラウザを閉じる前に、ぜひ以下のnote記事を順番に読んでみてください。

    どれもきれいごとの理想論ではなく、生々しい「ローカルでのメディア運営の現実」を公開しています。
    私たちがこれまでの活動で得た知見、そして流した汗と涙の記録です。

    ① 【マインド編】 地域の検索ニーズに応える「インフラ化」

    多くのローカルメディアが陥る罠は、メディア開設の目的を「町の魅力発信」だけに設定してしまうこと。観光客や移住者の誘致や集客を目的とするなら、確かに目指すべき形の一つです。

    でも、外向きのきれいでおしゃれな魅力発信だけでは、地域の生活者や事業者から「お金を払ってでも維持してほしいインフラ」としては、認められにくいかもしれません。
    現実の地元の姿から発信内容を美化することや、クリエイティブによる世界観を追求すること。そればかりに終始してしまうと、スキルある人間のボランティアや趣味の延長だと思われる「先入観」につながってしまいます。

    『大字基山』が目指したのは、外向けの魅力発信ではなく、まずインフラとして「地域の情報の空白を埋める」ことでした。

    Amazonで明日の買い物はできても、アルゴリズムやAIは、明日の生活に関わる「この町の変化」までは教えてくれません。ネットを探してもどこにも出てこない、地元民の口コミの中だけで完結している「みんなどうしてる?」という切実な暮らしの疑問。その空白を少しずつ埋めていくことが、地域における唯一無二の価値になります。

    「誰もやってくれないけれど、これがないと町のみんなが困る」

    この領域に確実にコミットするメディアのみが地域にとっての「必需品」に近づき、複数の地元事業者が「インターネットの交通広告」として、納得して広告費を払ってくれる。
    つまり、「情報の空白を埋めるニーズに徹底的に応えること」こそが、地方メディアにおいて最も強固なマネタイズの基盤になるのです。

    ② 【自立編】補助金という「補助輪」の外し方

    「最初の3年」で更新停止になるメディアとサイト開設10周年が見えている私たちとでは、運営方針以外に、最初から「自立」を目指していたという「スタート地点」が違ったかもしれません。

    リスクが大きい地方で有効活用できる「補助金」という甘いガソリンの魅力と、そこからの依存を脱却して「地域の商い」へとシフトする心づもりを呼びかけるnoteです。

    ③ 【数字編】1円単位のリアルな運営収支報告

    「で、結局いくら残るの?」という、一番生臭くて一番大切な問いに対する、現時点での私の答えです。

    人口2万人以下の町で10名近いライターチームに適切な報酬を支払い、経費をすべて計上した上で、家庭重視のワークライフバランスを保ちながら運営して「黒字(手取り)」を残した、編集部の家計簿。

    収入・支出の内訳は無料で公開しています。具体的な金額のみ、有料です。

    もっと大きな町なら? もっと本気でマネタイズに取り組んだら、どうなるのか?
    ぜひ、想像してみてください。

    私も、チャレンジを続けます。

    ④ 【コンテンツ編】「ネタがない」を突破する企画・編集論

    都会に比べると新店オープンもイベントも少ない田舎町で、メディアとしてどうやって記事を書き続けるのか。

    どんな地域でも、住民の多くは地元に無関心です。地元は、平凡なる日々そのものであり、たまたま住んでいる場所でしかありません。
    そんな無関心層に少しでも情報が届きやすい「伝わる文脈」作り、つまり情報発信における企画の立て方について、実践しやすいようにロジック化しています。

    さらにコロナ禍という「ネタが世界から消えた極限状態」をサバイブした実例をもとに、編集者の眼差し一つで「一次情報は自ら作り出せる」という情報クリエイティブのコツを解説しています。

    どんな地域でも人々の生活がある限り「ネタが尽きる」という事態は、絶対に起こりえません。それは編集者としての怠慢だと、私なら断言します。

    終わりに:あなたの町にも、情報インフラは創れる

    特に地方でのメディア運営において、二の足を踏んでしまう気持ちは痛いほどよく分かります。孤独だし、責任は重いし、お金の計算は頭が痛い。

    でも、外向けの「魅力発信」に終始せず、足元の「情報の空白」を徹底的に埋める構造(PVに依存しない収益モデル)を作り、搾取しない利益分配の仕組みを整えることはできるのです。人口2万人以下の町であっても、編集長をはじめとするメディア運営関係者の生活の足し、あるいは副収入になる黒字を得ることは、可能でした。

    だから少なくとも、これまで地域のウェブメディアが休止・消滅してきた原因「維持費がないから続けられない」事態は起こりません。

    この『大字基山(現おおあざ)』の継続性は、誰か個人の才能によるものではなく、地域経済の中で模索し続けて確立できた仕組みと関係性の勝利です。
    つまり、あなたの町でも、あなた自身の手で、再現ができるということ。

    ただし、今すぐ収入を得られる、誰にでもできる商売ではありません。一定のスキルが必要だし、真っ当な地域ビジネスを目指す以上、時間と労力もかかります。

    でも「生活インフラとしての地域メディア」があなたの町に欲しいなら、試してみる価値はあると思いませんか?

    私たちの試行錯誤の記録が、全国各地で孤独に悩む未来の編集長たちにとって一歩を踏み出すための、「確かな地図」になることを心から願っています。


    note更新は毎週木曜日です。
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    ライター・PR・編集業。「ローカル情報は暮らしのインフラ」を掲げ、人口1.7万人の町で浸透率95%のWebメディアを黒字運営中。年間PV35万(町の人口の約20倍)。補助金なしで自立自走するメディア運用術や、伝わる文脈設計のノウハウを公開しています。俳号:杢いう子

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