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【黒字】ローカルメディアの収益化:人口2万人以下の町で実践中のマネタイズ

    「ウェブメディアは、儲からないから続かない」
    「地域の情報発信は、ボランティアか行政の予算がなければ維持できない」

    そんな定説を、覆したい。

    佐賀県基山町(きやまちょう)。人口1.7万人の小さな町で、私たちは2017年からウェブメディア『おおあざ(旧:大字基山)』を運営してきました。立ち上げ当初は町の補助金に助けられましたが、現在は自立自走の活動として続いています。

    今回公開するのは、そんな田舎町を拠点にするローカルウェブメディアの開設から8年後、2025年度の運営収支報告です。
    先にお伝えしておくと、華やかなITベンチャーのような数字ではありません。

    でも、佐賀県ローカルで10名近い運営チームを維持しながらメディア単体の収益化を目指し、代表者であり編集長の私自身も事業主として収入を得た。
    市場規模は小さい、でもリアルな「黒字」の記録です。

    本気で地域メディアの持続可能性を模索する方、これから全国各地の「情報の空白」を埋める意欲のある方へ、一つの実証データとしてこの記録を捧げます。

    収益・支出の内訳は無料公開しており、具体的な数字記載の収支報告と詳細解説が有料です。

    ※本記事に含まれる具体的な決算データや図表は、購読者様個人の参考に留めていただき、SNS等への転載、二次利用は固くお断りいたします。

    なお、本記事はその他の実践者向け有料noteをまとめた、お得な買い切り型マガジンにもなっています。今後、新しい有料記事が追加されても、一度購入した方は追加料金なしで全て読めます。
    ローカルメディア事業に関心のある方は、ぜひお早めにご検討ください。

    はじめに:『大字基山』2025年の数字データ

    ウェブメディア『大字基山』の2025年の1年間の成績も公開済みです。

    • 年間アクセス数: 約35万PV

    • 年間ユーザー数: 約20万人

    • 検索流入(SEO): 約65%

    • 主な読者層: 35〜44歳の子育て世代が中心。女性比率が約55%

    • 地域別アクセス: 1位 福岡市、2位 大阪市に続き、鳥栖市、久留米市、佐賀市、基山町と周辺エリアが続く

    • 平均滞在時間:43秒、基山町民に限ると1分45秒

    • 人口浸透率(月間UU数 ÷ 人口):約95%

    より詳しいデータは過去noteへ、どうぞ。

    1. 収益の柱:PVに依存しない「三階建て」モデル

    サイト開設以来、『おおあざ』はアフィリエイトやGoogleアドセンスなどのクリック型広告をほぼ導入していません。人口2万人以下の市場では、PVに依存する広告収入を目指しても、得られる収益は微々たるものだからです。

    その代わりに収益源として構築したのが、以下の三層構造です。

    第1層:地域事業者との直接契約広告(純広告・タイアップ)

    地域の店舗や企業と直接対話し、信頼関係に基づいて掲載する広告です。
    「画面の向こうの誰か」ではなく「隣に住むあの人」に届ける価値を、地域経済の中で循環させています。

    広告主は地域の事業者さんたちで、「応援」として広告出稿を始めてくださった方が、圧倒的多数。
    地域経済における、「情報の空白を埋める」ローカルメディアの価値を理解し、期待と共に見守ってくださっている皆さんだと思います。
    近年は、一定の広告効果も体感いただけていることが、私たちの強みであり喜びです。

    独自に設計した広告プランの基本的な考え方は、有料部分で紹介します。

    第2層:地域取材ライターの育成

    これまでのメディア運営で培ってきた、「地域情報を言語化・視覚化する技術」をライター志願者に提供しています。
    地域の取材やセールスライティングを本業にできるスキルの持ち主は、地方の田舎町にとっては「レアキャラ」。だから、探すより育てる方針をとりました。

    現在は年に1度、初心者でも参加できる少人数制で有料のライティング講座を実施しています。
    全講座を修了した希望者とは、正式な編集部ライターとして委託契約を結び、成果報酬が得られる編集部をさらなる実践・鍛錬の場として、有料講座参加という初期投資の回収をうながします。

    つまり、「編集部」は育成の場でもあります。さらに、記事1本を納品するたびに収入を得られる、佐賀・福岡ローカルでは希少なライティング案件になっていると思います。

    第3層:イベント主催・運営

    名実ともに地域メディアとして成立していれば、メディアは情報発信の場であると同時に、リアルな空間に人を集める交流の場作りも得意分野になります。

    『おおあざ』は、2019年から"アップサイクル"をテーマにした地域イベント「クリーニングデイ佐賀」の企画・運営を毎年実施しています。

    編集部のボランティア事業である「本の交換会」と、屋外の公園でアップサイクルマーケット(マルシェ)の同日開催というイベントを通じて、新たな人の流れとマーケット出店者の収益を生み出しています。

    編集部の収入は、マーケット出店者による「出店料」です。
    毎年恒例のイベントとして、参加者と出店者の両方から、嬉しい感想をもらえています。

    その他の収入源もあります

    その他に、編集プロダクションとして行政の委託業務に取り組むこともありますが、今回はウェブメディア単体での収支に限定して公開します。

    蛇足ですが、『おおあざ』とはまったく関係がない私(編集長)個人の事業収入も別にあるので、ご安心ください。

    2. 支出の主な内訳:搾取しない「分配」の仕組み

    メディア運営を通じて黒字を出すために、誰かの犠牲(無償ボランティア)を強いることはしていません。
    ローカルメディアの持続可能性とは、真逆の考え方だからです。

    支出1:ライター・関係者への外注費

    現在、メディア運営に関わるメンバーはライターを含め10名以上。
    それぞれに「仕事」として適切にリソースを配分し、成果報酬型の外注費を支払っています。

    支出2:サイト維持・運営経費

    サーバー、ドメイン、サイト保守管理、有料ツール、活動に関わるその他の実費。
    これらを「個人の持ち出し」にせず、事業経費として全て計上した上での黒字化です。

    支出3:会議費など

    編集部は、ライターをはじめとする複数の個人事業主が集うプロジェクトです。
    毎月、ライター会議を実施しつつ、時には交流の場を設けることもありますが、関係者全員が一堂に会することは滅多にありません。

    年に数回の交流は家族ぐるみで、仲良く楽しい場作りを目指しています。

    3. 「編集長の手取り」という持続可能性

    最も核心的な部分は、編集長であり代表でもある私自身が「手取り(純利益)」を確保できているという事実でしょう。
    「地域のために」という善意と熱意だけで、365日メディアの責任を負い続けることは不可能です。
    この手取り額は、ローカルウェブメディアが地域の社会貢献型事業として健全であることの証明だと考えます。
    運営側の黒字は、持続可能性の大前提です。

    4. 具合的な数字入りの収支報告について

    収支について具体的な金額を出す以上、ここからは「意欲ある実務者」の方、あるいは「地域メディアの経営実態を研究したい方」に向けた共有資料として、有料とさせていただきます。

    サイト開設から8年続き、人口2万人に満たない町で浸透率95%を達成したメディア運営の裏事情として、ご自身の活動の参考にしてください。

    小さな町で生活者視点で活動しているローカルウェブメディアの「家計簿」が、あなたの町の明日を照らす一助になれば幸いです。

    編集長による個人的な振り返り

    これから公開する1円単位の数字を多いと感じるか、少ないと感じるか。それは、地域性と個人の金銭感覚によると思います。

    大前提として、公表する数字は行政の財布(税金)に頼らず、地域経済の循環だけで生み出された「自立した予算」であるということ。
    在庫管理等のリスクが少ないスモールビジネスとして、利益率の高さにも注目していただきたいです。

    構想の発起人であり、これまでメディア運営を続けてきた責任者としては、現在の自分の手取り額は「よくここまで頑張った」と思える数字。
    そして、「もっと地域のために頑張ってみよう」と思える数字です。

    なぜなら、これまでの私個人のワークライフバランスは、家庭重視(という理由でのんびりしがち)だから。
    広告事業で地域内コミュニケーションを加速・円滑にするお手伝いができるよう、地域広告の価値を多くの方に知ってもらえるよう、営業活動をもっと頑張らなくてはと思っています。

    チームだから成し遂げられた「黒字」

    何より、この「黒字」は編集部メンバー、広告主の皆さん、行政関係者、そして読者の皆さんがこれまでの活動理念に共感し、見守ってくださっているから成し遂げられた結果です。
    本当にありがたく、今もこの原稿を書きながら、しみじみと噛み締めています。活動初期から、サイトの継続を願ってくださる理解者に恵まれた私は、幸せ者です。

    基山町のような特性・地域に根付くスモールビジネスの可能性の一つとして、今後のローカルウェブメディアの「伸び代」を感じていただけると嬉しいです。

    5. ウェブメディア『おおあざ(旧 大字基山)』2025年運営収支報告

    正直に言うと、顔見知りの地元の人も読むかもしれない記事で自分の「手取り」を明かすのは、今も少し怖い気持ちがあります。

    それでも公開するのは、地域メディアが「ボランティア」という美名の影で立ち消えていく現状を、変えていきたいから。
    せっかく始めるなら、最後の最後まで「収益化」を諦めてほしくないから。
    10年前、メディア開設計画に燃えていた私は、こういうリアルな先行事例を知りたかったから。

    だから、この先を読み進めていただく方には、一つだけお願いがあります。
    どうかこの情報を「野次馬」としてではなく、「自分の町で、あるいは自分の人生で、ローカルの情報インフラを整える意欲ある同志」として受け取ってください。

    人口2万人以下の町で、開設当時は専業主婦だった私が、ここまでできた。
    あなたの町でも、その気になれば同等もしくはそれ以上の規模で、収益化は可能だということです。

    もっと大きな人口規模の市町村では、どうなるのか?
    営業のプロが本気で取り組めば、どのくらいの成長率が見込めるのか?

    ぜひ、想像してみてください。

    2025年1月から12月までの収支をまとめました。

    この記事が参加している募集

     
     
    ライター・PR・編集業。「ローカル情報は暮らしのインフラ」を掲げ、人口1.7万人の町で浸透率95%のWebメディアを黒字運営中。年間PV35万(町の人口の約20倍)。補助金なしで自立自走するメディア運用術や、伝わる文脈設計のノウハウを公開しています。俳号:杢いう子

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