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職業での優劣、どこまで気にしてますか?

    メガネ屋として働く中で、「これを教えてくれたらメガネが合わせやすい」という質問。それが“職業”。
    でもこの職業、なかなか教えたがらない人がいる。
    気持ちは理解できるけれど、メガネを作るためには可能な限りは教えて欲しい。


    メガネって単に近視とか乱視とか老眼とかだけ合わせて「はい完成」って簡単なものじゃない。
    実はその人の目や生活や癖や身体に合わせて、知らないところで色々と変えている。
    単純なように見えて、そこそこに頭を使う作業なのだ。

    機械でほぼ自動で測って簡単に合わせるだけのところもあるけれど。まぁそこは置いておいて。

    ここで一つ大きな参考になるのが、その人の職業や仕事内容。
    事務で1日デスクに座ってるのか、
    看護師でカルテやパソコンも見るけど病院内も歩き回るのか、
    営業で車に乗って外回りをするのか、
    電気工事で脚立に昇り降りしながら電気配線を触るのか、
    これ全てのパターンで合うメガネは変わってくる。
    だから職業は一つの大きな参考になる。


    けれどときどき、その職業をあまりオープンに話したがらない人がいる。
    もちろんプライベートなことだから言いたくない人もいるかもしれないが、どうやら別の理由もあるようだ。

    職業というのはしばしばその人の肩書きであったり身分として区別されることがある。
    だからそこに劣等感があったり理想の自分とかけ離れていたりすると、人には隠したいという心理が働くそうだ。

    職業によっては、いわゆる“底辺職”とか呼ばれるものもあるからだろうか。
    「……あの…まぁ…工場で働いてて…」
    「部品の番号とか最近見えなくて…」
    その人が言いたくない理由はわからないけれど、とにかく職業を隠したい内心が伝わってくる。


    少なくとも僕はいわゆる“底辺職”というくくりや、“勝ち組”と“負け組”みたいなルールも基準もよくわからない勝敗なんて“くそくらえ”だと思っているから、元々に誰かの肩書きなんて気にしていない。

    メガネ屋の仕事としても、これはおそらくほぼ全てのメガネ屋がその人の職業でランク付けなんてしていないと思う。
    知りたいのはその人がどのような生活をしていて、何を見て何で困っているのか、ただそれだけなのだ。
    その人にメガネを合わせたいだけなのだ。

    もしもメガネを合わせる相手が内閣総理大臣だとしても、僕たちが気になるのは肩書きじゃない。
    「報告書などの書類を見ますか?」
    「パソコン作業もされますか?」
    「国会だと手元を見ながら全体も見ますよね?」
    「視察とかで街を歩いたり誰かと会ったりもありますよね?」
    こういうことしか考えない。
    もしも本当に内閣総理大臣にメガネを合わせることがあったとしたら、周りにいるSPの視線の方が気になってプレッシャーになりそうだけれど。


    とにかく僕は職業の肩書きでの優劣とか勝ち負けとか、そういうのは「しょうもねぇなぁ」と思っている。
    堂々と言えればいいのにって思うけれど、まぁそこにはその人の感情があるのだろう。

    ただ少なくとも、世の中のほぼ全てのメガネ屋は、相手の肩書きなんて気にしていない。
    それよりも中身の方をもっと気にしている。僕たちにはそっちの方が重要だから。


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