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いつもと違う本や音楽や動画、選んでいますか?

    歳を重ねるごとに、自分の興味のある分野がどんどん狭まっている気がしている。
    それって深くなっているんじゃなくて視野が狭まっているだけと気付いて、背中に嫌な汗をかいた。
    読む本や聴く音楽や見る番組や動画、気付くと特定のジャンルのものばかり選ぶようになっている。


    僕はたまに無印良品に行く。
    無印良品に行くと、『古紙になるはずだった本』という名前の棚がある。そこがお目当てだ。
    『古紙になるはずだった本』は、買い手がつかず古紙として再利用される本たちを、届け方を変えて店舗で販売しているコーナー。
    文庫本なら1冊100円、単行本なら300円という破格の安さもあって、僕はたまにそこで本を買っている。

    その日も僕は何か面白そうな本はないかと、手に100円を握りしめて探していた。
    ミステリー小説や翻訳された海外小説や誰かのエッセイなど様々な本が並べられている中で、僕は無意識に自分の好きなジャンルに絞って本を探していた。

    これに気付いた瞬間、ハッとした。

    僕は幕末なんかが好きなのでそのあたりの歴史小説や、実話を元にした小説を読むことが多い。
    反対に言えばそれ以外のジャンルは中身すら気にしない。

    そういえば最近聴く音楽も、ジャンルどころかアーティストまで絞られている。他のアーティストの新曲なんて知ったこっちゃない。
    番組や動画も同じものばかりを見ている。YouTubeですら、いつも見るクリエイター以外の動画はサムネの時点でスルーしている。

    これは見ても面白くないとわかっているから読まない聴かない見ないのではなくて、未知のジャンルに飛び込んでみるのが億劫になってるだけだった。

    これ、自分の視野を自分で狭めている。


    もしかすると今までとは違う本を読んで、知らない音楽を聴いて、初見の番組や動画を見れば、そこに新しい発見があるかもしれないのに、昨日と同じものだけを選んで繰り返している。

    ただ、調べてみると自然なことではあるらしい。

    人の脳は若い頃は経験値が少ないから何を見ても新しく感じるけれど、歳を重ねると中身の予測ができるようになっていく。
    そして新しい名前や単語を覚えるための認知エネルギーの節約や、時間の効率化もしていくように変わるそうだ。
    つまりは“脳の最適化”
    自分にとって必要なものだけを疲れず効率よく吸収するための、これも生きるための選択なのかもしれない。


    ただそれで「じゃあ仕方ないか」って片付けていたら、明日も同じ本を読んで同じ音楽を聴いて同じ動画を見てしまう。
    そして変わらない日常が楽しくなくなって、気付くと憂鬱になっている。

    こういう脳の仕組みだからこそ、僕たちは自分の意思でたまには脳に逆らってみることも必要だ。
    いつもと違う本を1冊だけ読んでみる。いや、1ページだけでもいいかもしれない。
    違う音楽を1曲だけ聴いてみたり、違う動画を1本だけ見てみる。
    疲れない程度に。すぐに戻れる範囲で冒険してみる。
    歳を重ねても楽しそうに生きてる人って、きっとこれをやっている。時には自分から脳に逆らっている。


    メガネを買いに来た人の中にも、たまにこういう人がいる。

    ラウンドと呼ばれる丸い形のメガネをかけたらめちゃくちゃ似合うのに、
    「いやこれしかないわ」
    と言って、いつもと同じスクエアという長方形の形をしたメガネを選ぶ。止める権利もないから、お好きにどうぞなのだけれど。

    反対に、いつもと違う形のメガネをかけてみて、
    「これもありだね」
    と言ってそれを選ぶ人もいる。
    だいたいそういう人ほど、楽しそうに生きている。


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