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スモールビジネスのAI導入を成功させる、導入手順の型と8つの問い

    「AIを導入したいけれど、何から始めればいいかわからない」
    「とりあえずAIを使ってみたけれど、活用にはつながっていない」

    そんな声を耳にすることが増えました。

    結論からお伝えすると、AI導入には「型」があります。そして大切なのは、その型に沿って、一つずつ実践していくことです。

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    AIの技術は驚くほど進化しています。これまで多くの時間やお金がかかっていた仕事も、AIを使うことで、ずっと簡単にできるようになってきました。

    特に、人手や資金に限りがある中小企業にとって、AIは大きなチャンスになることは、もはや説明不要だと思います。

    経営の目的から考え、解くべき問題を見つけ、AIを活用して成果につなげる。そして最終的には、企業が自分たちで改善を続けられるようにする。

    今回は、私が実践しているこのAI導入の型を、4つのフェーズと「8つの問い」に整理してみました。

    AI活用を考えている経営者の方にも、企業のAI導入を支援する方にも、参考になればうれしいです。

    経営者の方は各節の「問い」を中心に、支援する立場の方は「実際にやること」もあわせて読んでいただくと、使いやすいと思います。


    AI導入の型:4つのフェーズと8つの問い

    AI導入の型は、4つのフェーズと8つの問いでできています。

    • PHASE 1 目的と問題を明らかにする:① 目指す / ② 見つける

    • PHASE 2 仕事と解決策を考える:③ ほどく / ④ 選ぶ

    • PHASE 3 計画して小さく試す:⑤ 描く / ⑥ 試す

    • PHASE 4 現場に根づかせる:⑦ 動かす / ⑧ 育てる

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    ① 目指す:会社(事業)をどう良くしたい?

    最初に考えるのは、AIではなく経営(事業)のことです。

    経営者には、さまざまな想いがあるはずです。
    例えば、ある会社で「顧客対応をAI化したい」という話が出たとします。
    しかし、AI化すること自体が、目指す姿ではないはずです。

    お客様への回答をもっと早くして、満足度を高めたいのかもしれません。
    あるいは、顧客対応に追われている社員が、営業や提案など、もっと付加価値の高い仕事に集中できるようにしたいのかもしれません。

    目指す姿が変われば、取り組むべきことも変わる、これが忘れてはいけないポイントになります。

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    だからこそ、まずは「何のために取り組むのか」を明確にすることが大切です。「経営者へのヒアリングと現状分析」や「経営目標やKPIの設定」などを通して、目指す姿の言語化が、まずは必要なステップになります。


    ② 見つける:本当に解決すべき問題は何?

    私は、この問いが特に重要だと考えています。

    例えば、顧客対応に多くの時間を取られ、営業活動に十分な時間を使えていないとします。では、なぜ顧客対応に時間がかかっているのでしょうか。

    • 担当者が足りないから?

    • 同じような問い合わせが何度も来るから?

    • 過去の回答を探すのに時間がかかるから?

    • 上司の確認待ちが長いから?

    原因によって、解決策はまったく異なります。
    AIで回答文を作るスピードを上げても、実は上司の承認待ちが主な問題だったとしたら、期待した効果は得られないでしょう。

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    困っていることと、本当に解決すべき問題は、同じとは限りません。(解くべき問題の見つけ方については、以前の記事「AIに聞く前に、「何が問題なのか?」を考えたい」で詳しく述べました。)

    AIがさまざまな問題を解決できるようになったからこそ、そもそも何を解決すべきかを見極める能力が、ますます重要になっていると感じます。現場を理解し、「問題の構造化と原因分析」「解決すべき問題の優先順位づけ」が必要です。


    ③ ほどく:今の仕事はどうなっている?

    解決すべき問題が見えてきたら、次は実際の業務を理解します。
    先ほどの問い合わせ対応を例に、業務を分解してみましょう。

    「問い合わせを受ける」 →「 内容を確認する」 → 「必要な情報を調べる」 → 「回答を作成する」 → 「確認・承認する」 → 「お客様へ回答する」

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    このように業務を分解すると、どこに時間がかかっているのか、どこに人間の判断が必要なのかが見えてきます。

    例えば、過去の回答を探す作業に時間がかかっているのであれば、情報の整理が効果的かもしれません。
    回答文を毎回ゼロから考えているのであれば、AIによる回答案の作成が役立つかもしれません。

    業務を見える化することは、AIを使える場所を探すだけでなく、仕事そのものを見直す機会にもなります。「業務の棚卸しと業務フローの可視化」の上「作業時間や作業量の把握」「ムダ・手戻り・属人化の特定」の実施がポイントです。


    ④ 選ぶ:そもそもAIを使うべき?

    問題が明確になり、業務の流れも理解できたら、どんな解決手段が適切なのかを考えます。

    例えば、問い合わせ対応の改善には、次のような選択肢があります。

    • よくある質問をFAQにまとめる

    • 問い合わせフォームの設計を見直す

    • 既存の業務システムを活用する

    • AIで回答案を自動作成する

    この中で、どの方法が最も効果的でしょうか。

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    私は、AI以外の選択肢も含めて比較することが大切だと思っています。

    AIを使えば何でも解決するわけではありません。
    AIには、もっともらしい誤回答をするリスクもあります。情報漏えいや運用コストにも注意が必要です。

    大切なのは、AIでできるかどうかではなく、AIを使うことが本当に最適なのかを考えることです。(AIを使わずとも簡単に解決できる方法が見つかれば、それが一番だと私は思います)

    ここで実際にやることは、「AIが適している業務の特定」「AI以外の解決方法やツールとの比較」「費用対効果・リスクの検討」になります。


    ⑤ 描く:何から、どう始める?

    AIが活用できそうだとわかったら、導入計画を考えます。
    ここで大切なのは、最初から大きく始めすぎないことです。

    例えば、すべての問い合わせ対応をAI化するのではなく、まずはよくある質問への回答案作成だけを試してみる。

    小さく始めることで、投資や失敗のリスクを抑えながら、AIが本当に役立つのかを確かめることができます。

    取り組みの優先順位を考えるときには、「効果の大きさ」と「始めやすさ」の2つの軸で整理するのが便利です。

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    実際にやることは、「取り組みの優先順位づけとロードマップの策定」「担当者・予算・スケジュールの決定」「実施計画と評価指標の設定」です。


    ⑥ 試す:本当に効果がある?

    ここで大切なのは、いきなり本格的に導入せず、まずは小さく試して確かめることです。
    「実現したいことが、本当にできそうか」「期待した効果が出そうか」を、限られた範囲で確認します。

    例えば、問い合わせへの回答案をAIで作成する仕組みを考えたとします。

    いきなり全社導入するのではなく、まずは過去の問い合わせを使って、実際に回答案を作成し、その結果を、これまでの業務と比較します。

    ここで確認したいことは、大きく3つあります。

    • 時間:仕事にかかる時間は短くなったか?

    • 品質:回答の正確さや品質は十分か?

    • 使いやすさ:現場の人が無理なく使えそうか?

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    例えば、回答案の作成時間が半分になったとしても、誤った回答ばかりでは意味がありません。反対に、回答精度が高くても、準備や確認にかかる時間が大幅に増えるのであれば、導入方法を見直す必要があります。

    そして、試してみて技術的に実現できるとわかっただけでは、本番導入できるとは限りません。実際の業務環境で試し、現場の人たちにも使ってもらいながら、効果を検証していくことが大切です。

    「作れること」と「使われること」、そして「成果が出ること」は、それぞれ違います。

    小さく試し、結果を見て改善する。うまくいかなければ、解決方法や問題設定に戻って考え直すことが重要です。(有名な”リーンスタートアップ”の考え方ですが、ここでは割愛します。)

    実際にやることは、「試作品をつくり、小さな範囲で試して効果を測定」し「現場での試行導入」の上、「本番導入の可否判断」をすることです。


    ⑦ 動かす:どうすれば現場で使ってもらえる?

    AI導入で忘れてはいけないのが、現場で働く人たちの存在です。どれだけ優れた仕組みでも、使ってもらえなければ意味がありません。

    「今までのやり方のほうが早い」
    「間違っていたら誰が責任を取るの?」
    「使い方がよくわからない」

    こうした声が出るはず。だからこそ、現場の人たちと一緒に考えながら、仕事の進め方そのものを変えていく必要があります。

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    AI導入は、技術を取り入れる仕事であると同時に、人や組織を変えていく仕事でもあると思います。

    実際にやることは、「現場への説明と運用改善」の上、「運用フローの見直し」自体が必要になります。


    ⑧ 育てる:自分たちで使い続けられる?

    外部の専門家がAIを導入して、動く仕組みを納品する。真の意味でのAI導入はこれでは完成しません。

    AIの技術も、会社の業務も、これから変化し続けます。

    そのたびに外部の専門家に依頼しなければ何もできない状態では、活用の幅が広がりにくくなってしまいます。
    理想は、社内にAIの活用を推進できる人が育ち、自分たちで試し、改善し続けられることです。

    高度なシステム開発やセキュリティ対応などは外部の専門家に任せ、簡単な改善は自分たちで進める。この役割分担については、以前の記事「AI時代、中小企業のシステム開発は「外注」か「内製」か?」で詳しく書きました。

    また、人材育成は最後の段階だけで行うものではありません。
    最初の検討段階から社内の担当者に参加してもらい、一緒に考え、試し、改善する経験を積んでもらうことが重要です。

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    外部の専門家に依存し続けるのではなく、企業自身がAIを使いこなせるようになること。これも、AI導入支援の大切な成果だと思います。

    「AI推進担当者の育成と社員教育」から、「継続的な改善体制づくり」までをやりきることが必要です。

    ここまでの8つの問いについて、「実際にやること」と「成果物」の例を一覧にまとめると、次のようになります。

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    具体例:問い合わせ対応のAI化を8つの問いで考えてみる

    ここまでの内容を、架空の中小企業の例で整理してみます。

    ある会社では、顧客対応に多くの時間がかかり、社員が営業活動に十分な時間を使えていないとします。

    この会社でAI導入を考えると、次のようになります。

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    この例では、最初から「AIチャットボットを導入しよう」と決めていません。経営の目的から始まり、問題の原因を調べ、いくつかの手段を比較したうえでAIを選んでいます。

    そして、導入した後も現場で使い続けられる状態を目指しています。


    おわりに:AI導入のゴールは、AIを入れることではない

    AIは、中小企業にとって大きな可能性を持つ技術です。
    これまで人手や資金の制約から諦めていたことにも、挑戦しやすくなっています。

    一方で、AIが進化したからといって、経営の難しさがなくなるわけではありません。

    何を目指すのか。何が問題なのか。どのように実行するのか。
    こうした問いに向き合うことは、これからも重要であり続けると思います。

    今回紹介した「8つの問い」は、AIの専門家でなくても活用できるように整理したものです。

    中小企業診断士としても、単にAI技術を紹介するのではなく、経営者と一緒に考え、問題を見つけ、実行まで伴走することに価値があると考えています。

    そんなAI活用が、もっと多くの中小企業に広がっていけばうれしく思います。

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    磯﨑翔也|中小企業診断士
    経営・事業開発・AIについて、実務と学びを通じて考えたことを発信していきます。

    Gembally(ゲンバリー)
    公式サイト:https://gembally.com/

    ※本記事は個人の見解であり、所属組織の公式見解ではありません。


     
     
    中小企業診断士 | Panasonic→freeeで新規事業開発やプロダクト開発に携わり、現在はGembally代表。得意領域は、AI・デジタル活用と新規事業開発。 公式サイト➡︎ https://gembally.com/ ※投稿は個人の見解で、所属組織とは関係ありません。

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