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#011 妻から突然の電話・・・

    入院中の妻から、珍しく仕事中に電話がかかってきた日の記録です。

    左足に力が入らなくなり始めた妻と、毎日「今日は預かり保育なの?」と聞いては我慢する息子。それでも「リハビリで何とかなるかもしれない」と前を向く妻に、かける言葉が見つからなかった一日の様子を書いています。

    2月24日(水)

    今日は、妻が注文していたトゥルースリーパーとか、オイシックスのミールキットとか、色々物資が届く予定らしい。

    まあ、頼んだ本人は、全然退院できる気配がないんですけどね・・・


    「今日は預かり保育なの?」

    最近、幼稚園に送る車の中で息子が毎日これを聞いてくる。

    妻が入院する前だったら「ヤダヤダっ」って泣かれちゃうから、「んー、どうだろう?」ってはぐらかしていた。

    幼稚園の先生も「泣かれちゃうから、直前まで『預かり保育であること』を言わないようにしている」と言っていた。

    だけど、最近は「そうだよ。パパはお仕事があるから、預かり保育に行って、お迎えは夕方になるよ。」って素直に言うようにしている。

    嘘はつきたくないし、息子も嘘をつかれるのは嫌だと思うし。

    「そうだよ」というと、息子はこちらを見ずに、まっすぐ前を向いて、「うん」とうなずくだけ。

    「ヤダヤダ」とは言わなくなったが、妻の体調が悪くなってから、相当ガマンしているんだろうな。

    息子なりに今の状況を飲みこもうとしているのかも。

    更に、今日は「早く来れそうなら、早く来てね。パパと公園で遊びたいんだ」と言われた。

    この先、もう以前のような生活には戻れないことを考えると、息子をどうやってケアしていったら良いんだろうと考えてしまう。

    私は「今日のお迎えは夕方になっちゃうけど、暗くなっちゃってもいいし、何時まででもいいから、一緒に公園で遊ぼうね。ワンちゃんも連れて行こうね」と幼稚園に送り出した。


    そして今日は仕事中、珍しく妻から電話がかかってきた。

    妻は仕事中に電話してくることなんかほとんどないし、入院中も一度も妻から電話してくることはなかった。

    なんだろう・・・

    電話に出てみると、

    「立ち上がって歩こうとしたら、左足の間隔がなくて足がもつれてしまい、不安になってしまった」と。

    「今はベッドで横になっているけど、左足に力が入らない状態」とのことだった。

    「先生にすぐに状況を伝えて何とかできないかお願いするように」と言った。

    と言った・・・というよりも、それしか言えなかったというのが正解だと思う。

    左足の神経もやられ始めたのだろうか。

    励ましてあげたいけど、何も言葉がでてこない。

    とにかく今はプラスの要素が何一つないから・・・


    でも、妻は強い。

    ほんとに強い人だと思う。

    そもそも自力で便と尿ができない状況である今、そこから更に左足が動かなくなり始めているのに・・・

    電話で話をしていても「車椅子で一人暮らししている人もいるし、リハビリで何とかなるかもしれないから頑張るよ」とか、前向きな話しかしなかった。

    妻と話をしているときに、「あの時ああしていたら、こうしていたら」とか、「もっと早く病院で検査してもらっていたら」とか、思わず言ってしまいそうになった。

    だけど、なんとかこらえた。

    妻の前向きな気持ちに水を差したくないと思ったから。

    私は息子の面倒をしっかりとみて、妻を安心させてあげないと。

    心の拠り所になってあげないとな、と思っている。

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    37歳でがんと診断された妻を、43歳の私が息子と看取るまでの約1年半の記録です。いま、がんの配偶者を看ている方に向けて、診断・入院から在宅介護・看取りまでに実際にやったこと、調べたことを残しています。整理しきれていない感情も、削らずに置いています。

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