
雪綴ゆきさん『メンバーシップ開設記念作品』ゲン担ぎの喫茶店「喫茶店|地図にない灯り」
高校三年の春、緑原由紀の机には、栗原総合大学の赤本が積まれていた。
志望するのは文芸学科。幼いころから物語を書くことが好きだった由紀には、いつか自分の本を出すという夢があった。
けれど、模試の判定は思うように上がらない。
問題集を閉じるたび、まだ見ぬ大学の門が、少しずつ遠ざかっていく気がした。
そんなある日、図書館帰りの由紀は、路地の入口に小さな看板を見つけた。
〈喫茶 クリームライトのベル〉

窓辺には、緑色のクリームソーダの写真が飾られていた。
そのアイスクリームの上に、見慣れないものが載っている。
黄金色に光る、大学芋だった。
「……大学?」
由紀は写真に顔を近づけた。
これを食べたら、大学に受かるかもしれない。
普段なら笑ってしまうような考えが、その日は妙に頼もしく思えた。
扉を開けると、頭の上で小さなベルが鳴った。
「いらっしゃい」
カウンターの向こうで、白髪交じりの女性が笑った。
由紀は窓際に座り、写真と同じクリームソーダを注文した。

運ばれてきたグラスには、鮮やかな緑のソーダ。その上に丸いバニラアイスと、小さく切られた大学芋が三つ載っていた。
「珍しいでしょう。お芋は少し冷ましてあるから、アイスもすぐには溶けないの」
由紀はスプーンで、大学芋とアイスを一緒にすくった。
飴の薄い膜が、かりっと割れる。ほくほくした芋に、冷たいバニラが重なった。黒ごまの香ばしさも、思いがけずよく合った。
「おいしい……」
こぼれた声に、女性はうれしそうに目を細めた。
「大学、目指してるの?」
机に置いた赤本を見られ、由紀はうなずいた。
「栗原総合大学です。だから、大学芋でゲン担ぎをしようと思って」
「それなら、うちのお芋も責任重大ね」
女性は笑い、小さな紙ナプキンを一枚、由紀の前に置いた。
「でも、頑張ったのはあなたよ。合格したら、お芋に手柄を全部あげないでね」
由紀は久しぶりに、勉強の話をしながら笑った。
それから月に一度、由紀は店を訪れた。
模試が悪かった日も、過去問で初めて目標点を超えた日も、頼むものは決まっていた。
店主の佐和子は、点数を尋ねなかった。
「今日は、ゆっくり食べられそう?」
そう聞いて、水を置いてくれる。
由紀には、それがありがたかった。
入試直前の一月。由紀はいつもより長く、グラスを見つめていた。
「落ちたらどうしようって、考えてしまうんです」
佐和子は少し考えてから、カウンターの端に置かれたノートを持ってきた。
開いたページには、数字や短い言葉がびっしり並んでいた。

「このクリームソーダの試作帳。お芋が硬すぎたり、重くて沈んだり。最初はずいぶん失敗したの」
ページの隅には、〈芋、大きすぎ。沈没〉と書かれていた。
由紀は思わず笑った。
「失敗した分も、今の一杯に入ってるのね」
帰宅した由紀は、間違えた問題に貼っていた付箋を、一枚ずつ見直した。
春、合格発表の画面に自分の番号を見つけたとき、由紀は声を出せなかった。
何度も番号を確かめ、それから母を呼んだ。
その日の午後、由紀は店の扉を勢いよく開けた。
「受かりました!」

佐和子は持っていた布巾を置き、両手をたたいた。
「おめでとう。よく頑張ったねえ」
その日の大学芋は、いつもより一つ多かった。
大学生になっても、由紀は店に通った。
授業で初めて自作の小説を批評され、落ち込んだ日。学内の文芸誌に作品が載り、何度も同じページを開いた日。
窓際の席で、由紀は少しずつ、自分の物語を書いた。
「作家になったら、この店も書いてね」
佐和子の言葉に、由紀は胸を張った。
「最初の本が出たら、絶対に持ってきます」
けれど、公募に送った小説は落選が続いた。
大学を卒業し、さらに学びたいと大学院へ進んでからも、約束を果たせる日は来なかった。
修士論文と創作に追われるうち、店へ行けない月も増えていった。
大学院を修了する年の二月、久しぶりに訪れた店の扉に、白い紙が貼られていた。
〈三月末をもちまして、閉店いたします〉

由紀は、ドアノブに手をかけたまま立ち止まった。
ベルの音を聞いた佐和子が、奥から顔を出した。
「由紀ちゃん。寒かったでしょう」
いつもと同じ声が、かえって胸にこたえた。
「お店、閉めちゃうんですか」
「ええ。最近は仕込みをすると、手が痛くてね。おいしいと思えるうちに、終わりにしようと思ったの」
由紀は窓際に座った。
高校生のころより、椅子の布が少し薄くなっていた。窓枠の傷も、壁の時計も、ずっとここにあった。
「まだ、本を持ってこられていないのに」
佐和子は静かに首をかしげた。
「持ってきてくれるの、待ってるわよ」
「でも、お店が……」
「私がいなくなるわけじゃないもの」
由紀はうつむいた。佐和子は急かさず、クリームソーダを置いてくれた。
大学芋を一口食べると、受験生だった自分の声が、ふいによみがえった。
落ちたらどうしよう。
あのころから、不安になるとここへ来た。食べ終わるころには、もう少しだけ続けてみようと思えた。
店がなくなったあと、自分はどこへ行くのだろう。
由紀はかばんから、書きかけの原稿を取り出した。
「これ、読んでもらえませんか。まだ、途中なんですけど」

誰にも見せずに終えた原稿も、これまで何本もあった。
佐和子は両手を拭いてから、それを受け取った。
三月最後の日、由紀は薄い冊子を抱えて店を訪れた。
表紙には、自分で印刷した文字が並んでいた。
『ゲン担ぎの喫茶店』
「出版された本じゃなくて、ごめんなさい」
高校三年の春から、今日までのことを書いた。何度も直して、ようやく最後まで書けた一編だった。
佐和子は眼鏡をかけ、最初のページを開いた。
読み進めるうちに、何度か笑い、それからそっと目元を押さえた。
「芋、沈没まで書いたのね」
「そこは、大事なので」
二人は顔を見合わせて笑った。
最後のクリームソーダを食べ終えると、佐和子は冊子を胸に抱いたまま言った。
「このお店をやっていて、よかった」
由紀は返事をしようとして、うまく声が出なかった。
代わりに、空になったグラスを両手で包んだ。
帰り際、佐和子が小さな封筒を差し出した。

中には大学芋の作り方と、住所が書かれた紙が入っていた。
「今度は、ここに送ってね。お手紙でも、物語でも」
由紀は何度もうなずき、封筒をかばんの内側へ大切にしまった。
店の外には、春のやわらかな風が吹いていた。
扉を閉めると、ベルが一度、澄んだ音を立てた。
由紀は振り返り、ガラス越しに手を振った。
佐和子も、冊子を持ったまま手を振っていた。
帰ったら、次の物語を書こう。
目指すのは『喫茶クリームライトのベル』の中にある『ライトノベル作家』
あの喫茶店がなくなっても私の中では忘れる事のない夢へと続く永遠の道。
由紀は少し泣きながら帰りに八百屋でサツマイモを買った。
そして家に帰り想い出の味をNOTEに刻んでいったのだった。
ここからはクリエイターの紹介です。
ロザンナさんはとにかく筆の見せ方がジョーズを食べる位、上手です。
子猫ちゃん(女性)が大好きな人です。
私の中では子猫ちゃんが口紅を付けて寄り添う未来が見えます。
11月の紹介は子猫ちゃんが宣伝してもらう大チャンスの時。
NOTEで収益化を考えている方はおねぇから学ぶのも良いと思います。
雪綴ゆきさんは神から選ばれたクリエイターの一人。
言葉と情景を操る魔術師のような存在です。
フォロワーの方をとても大切にしています。愛する心をより大きな愛でやさしく包みこむ。そんな方です。
もうすぐフォロワー1万人を達成します。
(※10月29日に達成しました🌸)
フォロワー1万人達成後
雪綴ゆきの灯火の書斎創設メンバープラン(月額100円)を初めています。
あと7名で埋まります。(11月4日15時現在)気になる方は入会を急いで下さい。
他には地図にない灯りでショート ショート企画もやっています。
第2回目のお題は「喫茶店」です。
私が簡単な記事を書くので参考にして下さい。
ある日の喫茶店での出来事
店員さんにコーヒーを頼もうとしたがお金がない。
お金はないがライターならある。
KENBAはコーヒーを頼もうとしましたがお金がないのでと言い
肛門を目掛けてライターで火を付けた。
この後、向かった先は交番だった。
交番で出たのはコーヒーではなく手錠だった。
一部の間で名前が広まったのは言うまでもない。
….….…きっとこれでも大丈夫です。。。。多分。
(どうしても完成版が読みたい方は私の100円記事を買わないで想像して下さい!?)
こあく まこさんは小さな心の中に大きな夢を抱いています。
それは
フォロワー10,000人を目指すこと。
かえるこさんの音楽を届けていくこと。
かえるこさんは現在諸事情により活動を休止していますが、
まこさんの師匠です。
師匠の遺伝子を継承する。
まこさんの大切な想いを私も応援します!!
ヴェロニカ・ヒールズさんは何も悪くない悪役です。
悪役をコミカルに表現するとても頭の良い人です。
ヴェロニカ姫の目標は子羊たちのお悩みを100件うまく片づけること。
それが達成できれば王国に帰れるようです。
私がギャグで解決出来ない問題を彼女はその知恵と美貌で簡単に解決
しています。
ヴェロニカ姫が王国に帰ったなら、その時は私のギャグも人生もまるごと崩壊し土に帰るでしょう。
私のギャグを封印したい人はぜひ悩みを相談して下さい。
青井透子さん。
彼女が描くAIイラストは魅力にあふれています。
美しく、かわいいけど、幻想的でどこか切なさを感じる時もある。
そんな感じです。
この前、競馬の予想大会でGETした500Pで彼女のイラスト
を購入したのですが、そのどれもが素敵でした。
気になる方は一度、覗いてみてはいかがでしょうか?
だんだんありがと@めじゅさん
めじゅさんは競馬も好きとのことでとても親近感があります。
とても心の広い方です。
ボランティア精神が旺盛すぎて過去に傷ついた事や反省も多いようです。
今は心のバランス調整をされているようですが彼女の人を助けたいという想いを私は応援します!
わかモンさんは他人を応援する事を自分の創作エネルギーに変えているような方です。
チャレンジ精神のある方を特に応援しています。
やる気のある方はここに集合の声が聞こえてくるようです。
そんな彼女を私は尊敬しています。
こたや|KOTAYAさん
私の中ではNOTEのカリスマ芸能人的な存在です。
記事を見ただけでも、まだ100%出し切っていないというか、とにかく余裕が感じられるのです。 分析能力の高いAI搭載型の進研ゼミ。
これは今まで感じたことがほとんどない感覚です。
彼女が100%の力を発揮したときNOTEの世界は一体どうなるのでしょうか?
気になる方はその感覚にぜひ触れてみて下さい!
※現在こたやの投票所と邪魔にゃんの投票所で、こたやさんと邪魔にゃんが投票バトルを開始しています。
こたやさんは年内メンシプ100名を目指しているので助けて欲しいとの事。(11月1日、現在70名)
勝った方が相手のメンシプの名称を2週間乗っ取れる&相手のアカウントで記事を1本書けるという内容みたいです。
投票は、どちらか片方だけになります。(両方に投票は無効)
投票期間は、
11月1日(日)〜11月11日(水)23:59。
コメント欄に、「がんばれー」のひとことで1票になります。
邪魔にゃんの真意は不明ですが、どちらかに投票して「がんばれー」の一言で盛り上げてあげて下さいモリモリ。
ヘクたろーさん
KENBA777はへこたれないと言う言葉が大好きです。
その言葉が今の私を支えている原動力と言っても過言ではありません。
私はこの言葉が自分の中であまり顔をだしすぎるとそれが原因でNOTEのパワーバランスを悪くしている事を何となくですが知っています。
これからはもっと上手にこの言葉と向き合きあって行きたいと思います。
ここから本題に入ります。
ヘクちゃんはいろいろなタイプの記事が書ける方です。
一言で表現するのは難しいのですがどこか甘くてせつなさがあり時にはつらい現実がある事を書いている方です。
うまく伝えられないので機会があれば実際に見に行ってあげて下さい。
ナオユキさん
スキ動画コンテストや漫画の宣伝、他のクリエイターのNOTEのリニューアル等、そのどれもがハイクオリティでとにかくいろいろな事に挑戦している多才な方です。
他のクリエイターの記事も多数紹介しています。
応援するというよりは私の全く手の届かない雲の上の人です。
あずなぶーるさん
一言でいうのは難しいのですがバイタリティーのある方です。
家事よりもNOTEが好きと公言しています。
ちょっとした事で反省もあるようですが、それをバネにしてどんどん成長されています。
あずなぶーるさんの親子関係の話は読み進めるうちに心に刺さる事があります。
良い記事が沢山あるのですがとりあえず上記3つの紹介とさせていただきます。
赤髪のあかりさん
あかりさんは一言でいえば、みんなを照らすあかりです。
部屋の明かりが他の方々のNOTEを真実の光で照らしてくれる……私の中ではそんなイメージです。
自分の事もみんなの事もちゃんと考えて記事にしています。
そんな彼女を私も応援します。
まだまだ紹介したい方がいますが、それはまた別の機会で………。