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GJB2

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
GJB2
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

2ZW3, 3IZ1, 3IZ2, 5ERA, 5ER7

識別子
記号GJB2, CX26, DFNA3, DFNA3A, DFNB1, DFNB1A, HID, KID, NSRD1, PPK, gap junction protein beta 2, BAPS
外部IDOMIM: 121011 MGI: 95720 HomoloGene: 2975 GeneCards: GJB2
遺伝子の位置 (ヒト)
13番染色体 (ヒト)
染色体13番染色体 (ヒト)[1]
13番染色体 (ヒト)
GJB2遺伝子の位置
GJB2遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点20,187,463 bp[1]
終点20,192,938 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
14番染色体 (マウス)
染色体14番染色体 (マウス)[2]
14番染色体 (マウス)
GJB2遺伝子の位置
GJB2遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点57,336,057 bp[2]
終点57,342,159 bp[2]
遺伝子オントロジー
分子機能• identical protein binding
• gap junction channel activity
• calcium ion binding
• 金属イオン結合
細胞の構成要素• integral component of membrane
• コネクソン
• 膜
• 細胞膜
• 細胞結合
• ギャップ結合
• endoplasmic reticulum-Golgi intermediate compartment
• 細胞質
• 細胞質基質
• lateral plasma membrane
• cell body
• perinuclear region of cytoplasm
• astrocyte projection
• integral component of plasma membrane
生物学的プロセス• 聴覚
• 細胞間情報伝達
• 細胞間シグナル伝達
• gap junction assembly
• response to ischemia
• female pregnancy
• 老化
• エストラジオールへの反応
• リポ多糖への反応
• response to retinoic acid
• response to progesterone
• 酸化ストレスに対する細胞応答
• response to human chorionic gonadotropin
• response to antibiotic
• 脱落膜化
• inner ear development
• 膜貫通輸送
• cellular response to glucagon stimulus
• デキサメタゾン刺激に対する細胞応答
• epididymis development
• gap junction-mediated intercellular transport
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
種ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_004004

NM_008125

RefSeq
(タンパク質)

NP_003995

NP_032151

場所
(UCSC)
Chr 13: 20.19 – 20.19 MbChr 13: 57.34 – 57.34 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス

ギャップ結合ベータ2タンパク質(ギャップけつごうベータ2タンパクしつ、英: Gap junction beta-2 protein、GJB2)は、コネクシン26(Cx26)としても知られ、ヒトではGJB2遺伝子[5]によってコードされるタンパク質である。また、マウスではGjb2遺伝子[6]に相当する。

機能

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ギャップ結合は、接触する接着細胞の細胞膜上にある局所的な特殊構造として、電子顕微鏡によって初めてその特徴が明らかになった。これらの構造は、細胞間チャネルで構成されていることが示されている。さまざまな組織のギャップ結合濃縮画分から精製されたコネクシンと呼ばれるタンパク質は、それぞれ異なっている。コネクシンは、その分子量によって呼称される。

もう一つの命名体系では、ヌクレオチドおよびアミノ酸レベルでの配列の類似性に基づき、ギャップ結合タンパク質をアルファとベータの2つのカテゴリーに分類している。例えば、CX43(GJA1)はアルファ1ギャップ結合タンパク質とされ、一方でGJB1(CX32)およびGJB2(CX26;本タンパク質)は、それぞれベータ1およびベータ2ギャップ結合タンパク質と呼ばれる。この命名法は、GJB1とGJB2が、アルファ型のGJA1に対してよりも、互いにより高い相同性を持っていることを強調するものである[7]。

ギャップ結合ベータ2タンパク質はコネクシンタンパク質ファミリーの一員であり、隣接する細胞間で栄養素、イオン、シグナル伝達物質の輸送を可能にするチャネルであるギャップ結合の形成において、極めて重要な役割を果たしている[8]。

内耳と皮膚への影響

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GJB2は全身で広く発現しているが、特に内耳の蝸牛と皮膚の表皮において生理学的に不可欠な役割を共有している。

  • 内耳: 蝸牛において、GJB2は感覚毛細胞の周囲にある支持細胞同士を連結している。これは、音の受容に不可欠なカリウムイオン($K^+$)の再循環を担うチャネルとして機能しており、この循環が滞ると毛細胞が機能不全に陥り難聴が生じる[8]。GJB2遺伝子の変異は、先天性難聴(常染色体潜性遺伝非症候群性難聴など)の原因として最も頻度が高く、小児の遺伝性難聴全体の約15〜20%、常染色体潜性難聴の約半数を占めると推定されている[9]。
  • 皮膚: 表皮の主要な構成細胞であるケラチノサイト(角化細胞)において、GJB2は細胞間のコミュニケーションを司り、皮膚の分化・増殖・恒常性維持を制御している。そのため、特定の変異が起こると細胞間のシグナル伝達や物質輸送が異常をきたし、角化異常(掌蹠角化症など)を併発することがある[10]。

臨床的意義

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この遺伝子の欠損は、先進国における先天性難聴の最も一般的な形態であるDFNB1(コネクシン26難聴、またはGJB2関連難聴とも呼ばれる)を引き起こす[11]。変異の種類や頻度には極めて強い地域特異性(人種差)が存在する。

欧米白人においては、6つ連続するグアニンのうち1つが欠損(c.35delG)する変異が最も一般的であり、これによりフレームシフト変異が生じて13番目のアミノ酸でタンパク質の合成が停止する[12]。

東アジアにおけるV37I変異

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一方、日本、中国、韓国などの東アジア地域においては「V37I(c.109G>A)」と呼ばれるミスセンス変異が圧倒的な高頻度(最頻出変異)で認められる。この変異は、37番目のアミノ酸であるバリンがイソロイシンに置換されるものである。

V37I変異をホモ接合、あるいは他の変異との複合ヘテロ接合で持つ場合、完全な失聴には至らず「軽度から中等度の難聴」に留まるケースが多い。そのため新生児聴覚スクリーニングをすり抜けやすく、学童期以降に発見される進行性難聴や高音急墜型の形態をとりやすいという臨床的特徴を持つ。また、健聴者であってもこの変異を片方の遺伝子に保持している保因者率が、東アジア人集団では数%以上に達すると報告されている[13]。

東アジアにおいてのみV37I変異が突出して多い理由として、共通の祖先に由来する創始者効果(ファウンダー効果)が挙げられている。さらに、この変異は耳(聴覚)に対しては軽度難聴という軽微なデメリットをもたらす一方、GJB2が発現するもう一つの組織である「皮膚の表皮」において、地域の病原体に対する感染症防御や乾燥気候への適応など、皮膚のバリア機能を強化する何らかの生存優位性(正の自然選択)が働いた結果として集団内に高頻度で維持された可能性(平衡選択仮説)が示唆されている[14]。

がんとの関連

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コネクシン26は、細胞周期の制御を介したがん抑制因子としての役割も持つ。Cx26の異常発現は、大腸がん、乳がん、膀胱がんなどの予後因子と相関していることが示されている[15]。

遺伝子治療の開発

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GJB2変異に伴う難聴に対しては根本的な治療法は未だ存在しないが、新たな治療アプローチとして遺伝子治療の開発が進められている。

フランスのバイオテクノロジー企業であるSensorion社は、アデノ随伴ウイルス(AAV)プラットフォームを用いた遺伝子治療候補物質の開発を行っている。これはGJB2変異難聴を対象としたもので、内耳の正常な聴覚シグナル伝達に必要なイオン環境の維持・回復を目指している。2026年6月現在、カナダおよびフランスにおいて臨床試験申請(CTA)が提出されており、フランス医薬品安全庁(ANSM)からは迅速審査(Fast Track)の対象に指定されている。今後実施予定の臨床試験(Hearconnex試験)では、GJB2変異を持つ小児難聴患者の蝸牛へ直接投与し、安全性、忍容性、および初期有効性の評価が行われる予定である[9]。

関連項目

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参考文献

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  1. 1 2 3 GRCh38: Ensembl release 89: ENSG00000165474 - Ensembl, May 2017
  2. 1 2 3 GRCm38: Ensembl release 89: ENSMUSG00000046352 - Ensembl, May 2017
  3. ↑ Human PubMed Reference:
  4. ↑ Mouse PubMed Reference:
  5. ↑ “GRCh38: Ensembl release 89: ENSG00000165474”. Ensembl (2017年5月). 2026年3月12日閲覧。
  6. ↑ “GRCm38: Ensembl release 89: ENSMUSG00000046352”. Ensembl (2017年5月). 2026年3月12日閲覧。
  7. ↑ “Entrez Gene: GJB2 gap junction protein, beta 2, 26kDa”. 2026年3月12日閲覧。
  8. 1 2 “GJB2 gene”. MedlinePlus. U.S. National Library of Medicine. 2026年3月12日閲覧。
  9. 1 2 Karl Strom (2026年6月11日). “Sensorion Names GJB2 Hearing Loss Therapy as Lead Program; Ends OTOF Trial”. Hearing Tracker. 2026年6月15日閲覧。
  10. ↑ “Novel mutations in GJB2 encoding connexin-26 in Japanese patients with keratitis-ichthyosis-deafness syndrome”. The British Journal of Dermatology 148 (4): 649–653. (April 2003). doi:10.1046/j.1365-2133.2003.05245.x. PMID 12752120.
  11. ↑ “Connexin 26 mutations in hereditary non-syndromic sensorineural deafness”. Nature 387 (6628): 80–83. (May 1997). doi:10.1038/387080a0. PMID 9139825.
  12. ↑ “Updated carrier rates for c.35delG (GJB2) associated with hearing loss in Russia...”. BMC Medical Genetics 19 (1): 138. (August 2018). doi:10.1286/s12881-018-0650-5. PMC 6081885. PMID 30086704.
  13. ↑ “Detailed clinical features of hearing loss in patients with GJB2 (connexin 26) mutations”. Human Genetics 134 (11-12): 1143–1152. (November 2015). doi:10.1007/s00439-015-1594-5. PMID 26272596.
  14. ↑ “Evolutionary and clinical significance of the GJB2 v37i mutation in East Asian populations”. Scientific Reports 12: 4567. (March 2022). doi:10.1038/s41598-022-08500-2.
  15. ↑ “Clinical significance of the expression of connexin26 in colorectal cancer”. Journal of Experimental & Clinical Cancer Research 29 (1): 79. (June 2010). doi:10.1186/1756-9966-29-79. PMC 2907868. PMID 20565955.

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