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#004 なんて無力なんだろう

    妻のがんが発覚して、はじめての週末の記録です。

    息子を強く叱ってしまったのに、動けない妻には何もしてあげられない。追い詰められるなかでの葛藤を記録したものです。

    1月31日(日)


    妻のがんが発覚し、絶望のなか迎えるはじめての週末。

    妻は、痛みがひどくなって以来、家の中で動くのも必要最小限だった。

    畜尿バッグにたまった尿を捨てるとき、お風呂に入るとき、寝室への移動以外はリビングのソファーで横になっている。

    今週に関しては、がんと言われて、ショックも不安も大きいだろう。

    そんな妻を放っておいて出かけることはできないと思っていた。

    だけど、息子は遊び盛り。

    家でじっとしていられるワケもなく・・・

    妻から「私のことは気にしないで、息子を遊びに連れて行ってあげて」とお願いされた。

    息子と公園に行くと、公園は雨が降った後で泥だらけだった。

    息子は楽しそうに泥をさわって遊ぶ。

    だんだんエスカレートし始めて、私に泥だらけの手を向けたり、泥を投げつけたりし始めた。

    いつもなら笑いながら流す場面であるが、今日はイライラして怒鳴ってしまった。

    今は、ぜんぜん心に余裕がないみたい。

    今週は、ずっと息子を幼稚園に送り迎えして、妻の病院の付き添い、ご飯も用意しなければいけないし、洗濯など家事もしている。

    コロナでリモートワークだから、なんとか時間をやりくりしようとしているのだが・・・

    妻と家のことで精一杯。

    仕事をしている時間などなく、息子が寝たあと夜中まで仕事をしても終わりが見えない。

    そこに追い打ちをかけるように妻のがんという診断。

    もういっぱいいっぱいの状態だ。

    家に帰ってからも息子を怒ってしまった・・・

    息子がご飯を残したのに、食後すぐにお菓子を勝手に食べようとしたからだ。

    今日だけの話ではない。

    最近は息子を怒ることが多くなった。

    息子が私に怒られているとき、左目のまわりがピクピクするのに気付いていた。

    たぶん強いストレスを感じてるんだと思う。

    今日も怒りながら、息子の左目のまわりがピクピクしているのが分かった。

    だけど、怒るのをやめられなかった。

    本当に、私は最低の父親だと思った。

    少し落ち着いてから、息子に「今日は怒ってばかりでごめんね」と謝ると、息子は「大丈夫だよ」と優しく言ってくれた。

    急に息子が掃除機を2台ひっぱり出してきて、掃除機をかけ始めた。

    一台を私に渡して「一緒に掃除機かけてもいいよ」と声をかけてくれた。

    息子なりに私を励まそうとしているようだった。

    それなのに私は怒ってばかりだ。

    ダメな父親でごめんね。

    妻の方は、一日痛みがひどく、ほぼ動けない状態だった。

    夜、布団に入るとずっと苦しそうに声をあげていた。

    「大丈夫?」と声をかけてみたが、痛くてどうにもならないんだそうだ。

    息子にイライラをぶつけて、妻が苦しそうにしていても何もしてあげられない。

    私はなんて情けないのか、なんて無力なのか。

    本当に虚しさを感じる瞬間だった。

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    37歳でがんと診断された妻を、43歳の私が息子と看取るまでの約1年半の記録です。いま、がんの配偶者を看ている方に向けて、診断・入院から在宅介護・看取りまでに実際にやったこと、調べたことを残しています。整理しきれていない感情も、削らずに置いています。

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