
【掌編小説】鐘声のあいだ【1702文字】
年の瀬の神社は、いつ訪れても少し息を潜めているように見える。
昼間の賑わいが嘘のように、夕暮れ時になると境内は人の気配を薄くし、空気だけが冷えて澄んでいく。
境内の端にある階段を、ゆっくり私は上っていた。
吐く息が白く、マフラーの内側で僅かに湿気る。
年末らしい冷え込みだった。
この神社に来るのは何年ぶりだろう。
正確な年数を数えようとして、やめた。
思い出は、数え始めると必要以上に重くなる。
拝殿の前には、まだ整いきっていない正月飾りが置かれていた。
巻かれたしめ縄の下、片隅に置かれた段ボール。
作業を終えた神職の姿が遠くに見える。
年末年始の境目。
まだ「今年」で、もう「来年」に近い、曖昧な時間。