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Photo bymedetaico

【architect】建築と金

    建築の打ち合わせをしていて、予算は最も重要な軸のひとつである。
    建築という未来の『夢』をつくる場面において『お金』の話をすると急に熱が冷めてしまう感覚があるが、現実問題としてこの二つを一緒に考えないことはできない。

    勘違いしてはいけない。
    建築は『夢』だけでは建たない。
    常に『夢』と『お金』はセットである。

    これが現実だ。


    今まで20年以上建築の仕事をしていて、要望ばかり膨れ上がって予算が合わずに結局頓挫なんてことは幾度となく経験してきた。日常茶飯事だ。


    希望の建築に対して予算の問題が起こったとき考えるべきことはシンプルに2択である。

    ・お金がないならどうやったらミニマムに暮らせるか考える。
    ・お金がないならどうやってお金を工面するかを考える。

    この二択しかない。

    つまり費用をどう抑えるか。
    もしくは
    予算を増やす方法を考える。


    しかし現実の世界で何が起きるかと言うと、値引き交渉やいくつかのハウスメーカーや工務店を競わせて値交渉する手段に出る人が実に多い。
    知恵を絞ることを放棄して、無理やり突破しようとする方向に走る人は本当に多い。

    こういった場合、うまくいくケースもあるが私の肌感では、双方にとって良い方向には向かわないケースの方が圧倒的に多いように私は思う。結局誰かが本来もらうべき利益から損をしているからである。そのひずみは目に見える形でトラブルに発生することもあるし、目に見えない感情的な損得勘定が生まれてしまうことが多い。


    この議論をするとキリがないのは承知の上で書いている。
    というのも、顧客が値交渉したり相見積を取るベクトルに向いてしまうのは、提案力の問題であったり、そのハウスメーカーなり工務店のブランドが弱いと言われることがある。実際にそれは一理あるのは間違いない。
    どうしてもこのブランドで建てたい。という施主の強い希望があれば値交渉というベクトルには向かわずに、身の丈にあったサイズの建築を考えようとなるかもしれない。これは建築業界に限った話ではないだろう。どの業界でも同じことは起こっていることだ。

    上記のことは確かにあることは頭に置いておくとしても、『建築』と『お金』はいつもセットである。この前提を建築士もクライアントもお互いに持っているか否かで建築の良し悪しが大きく変わることは間違いない。


    無人島で何食べたい?
    と言う質問ほど無意味なものはない。

    答えはあるものを食べるしかないからだ。
    魚が嫌いとか、きのこは苦手などと無人島で言っていたら生きていけない。
    食べるものがない状況で、魚が嫌いだから諦めようとなる人はいないはずだ。

    無人島で生きていかなければならないとしたらやるべきことは2択だ。
    ・あるものを食べて生き抜く
    もしくは
    ・脱出する


    これは極端な例えかもしれないが、『建築』という夢を形にするためにはしっかり『お金』と真正面から向き合わなければならない。安易に誰かが何とかしてくれるだろうという考え方をもって家づくりに臨むと後で痛い目を見るのは自分である。夢を叶えたいのであれば現実としっかり向き合うことも大切なことである。良い建築が出来るにはこの倫理観は最低限持っていなければならないと私は思う。


    『建築』と『金』
    私にとってもこれは大きな課題である。
    設計士の立場からもこの問題から逃げずにいかに向き合えるかがクライアントにとって頼もしい存在になれると思うからだ。
    苦しい建築業界にあってこの問題は更に深刻化していくことだろう。
    日々しっかりと向き合いながら成長していきたいと思う今日この頃である。


    ではまた。


     
     
    small design|建築|『小さい(= small)』ことで生まれる豊かさを手がかりにデザイン

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