
「いろいろやっている」が、一つの価値に見えてくるとき。
こんにちは。
ブランディングディレクター/事業構造パートナーの松本カヅキです。
今回は、僕の本の第5章から、ある会社の話を紹介したいと思います。
以前、複数のサービスを展開している会社の社長から、こんな言葉を聞きました。
「うちって結局、何屋なんですかね。トータルでやっています、とは謳っているんですけど……」
その社長は、苦笑いしながらそう話していました。
増えてきた事業が、バラバラに見える
事業を続けていると、少しずつ、できることが増えていきます。
お客様からの相談に応えて、新しいサービスが生まれる。
もともとの商品から、関連する取り組みが広がる。
現場で工夫してきたことが、その事業ならではの特徴になっていく。
どれも、そのとき必要だったから始めたこと。
それなのに、全部を並べてみると、何をしている事業なのか、自分たちでも説明しにくくなることがあります。
先ほどの会社も、サービスが増え、それぞれに説明できる特徴がありました。
それでも、一つずつ並べるだけでは、全体として何が中心なのかが見えにくくなっていたのです。
そこで、少し視点を上げて見直していきました。
何を中心に置くと、これらの事業の意味がつながるだろう。
扱うものが違っていても、同じ価値に向かっていることがある。
見せ方が違っていても、同じ相手に向けた取り組みとしてつながっていることがある。
そうして見ていくと、バラバラに見えていたものが、一つのまとまりとして見えてきました。
僕は、この見方を「カサ構造」と呼んでいます。
大きなカサの下に、小さなカサがある
カサ構造は、商品やサービス、さまざまな取り組みを、共通する意味や価値で束ねて見てみる視点です。
それぞれの違いも手がかりにしながら、事業全体を見渡してみます。
先ほどの会社では、事業全体のまとまりが見えてきたあと、それぞれの事業にも中心となる価値を置いていきました。
大きなカサの下に、小さなカサがいくつか並ぶような形です。
大きなカサから見ると、事業全体として何を届けているのかが見えやすい。
小さなカサから見ると、それぞれの事業が何のためにあるのかが見えてくる。
役割はそれぞれ違っていても、全体として一つの価値につながっている。
この会社でも、事業ごとの役割がはっきりして、スタッフにもお客様にも伝わりやすくなっていきました。
そして、この会社では、もう一つ面白い変化がありました。
「増やすかどうか」の前に、置き場所を考える
新しいことを思いついたとき、
「これは、どのカサに入るだろう」
と考えるようになったのです。
その社長は、あとからこんなことを話していました。
「増やしていいのか、やめておくべきか。前はそこで止まっていたんです」
新しい取り組みが、今ある事業のどんな価値につながるのか。
どのカサに入ると、その役割がさらに深まるのか。
実際、この会社では、新しく加わったものが、もともとあったカサの厚みや深さになっていきました。
「いろいろやっている」の見え方が変わる
それぞれ違う商品やサービスでも、共通する意味で見直してみると、
「いろいろやっている」が、「一つの価値を、いくつかの形で届けている」に変わる。
そんな見え方が生まれることがあります。
いま手元にある事業を、少し高いところから眺めてみる。
そこには、まだ言葉にしていなかった、事業のまとまりが見えてくるかもしれません。
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今回紹介した「カサ構造」は、『うまくはいっているけど、何かが違う。そんな社長の“霧”がパッと晴れる本』の第5章に登場する「整理4軸」の一つです。
本では、この会社の話に続いて、「なぜ、自分たちはそれを選んできたのか」という問いにも触れながら、別の角度から事業を見直していきます。
いくつかの視点を行き来する中で、自分たちなりの判断のモノサシが見えはじめる。
よろしければ、書籍の方も手に取っていただけたら嬉しいです。
ブランディングディレクター|事業構造パートナー
松本カヅキ