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得意が苦手から盗む事がよくあるよね

    きらきらして見えるあの人。
    いとも簡単に物事をこなしているように見えるかもしれない。
    でも、やっぱり、まだその人は得意じゃないかもしれません。むしろ、今まさに苦手な事に必死にチャレンジしている最中なのかもしれません。

    私たちが誰かの姿を見て「得意そうだ」と感じる時、その判断基準はどこにあるのでしょうか。
    それはおそらく、淀みない手つきであったり、自信に満ちた表情であったり、生み出される結果の質の高さだったりするのでしょう。
    しかし、その裏側で、その人自身がどんな想いを抱えているかまでは、なかなか見えません。

    もしかしたら、その淀みないように見える手つきは、幾度となく震える指で繰り返した練習の賜物かもしれない。
    自信に満ちた表情は、不安で潰れそうな心を隠すための仮面かもしれない。
    そして、質の高い結果とは、血の滲むような試行錯誤の果てに、ようやくたどり着いた一つの到達点に過ぎないのかもしれないのです。

    ✅時間はかかるって

    まだ慣れていない人が頑張ってやっているなら、時間は確かにかかるかもしれません。
    でも、チャンスまでは奪わないで欲しいと思うのです。

    新しいスキルを身につけようとする時、私たちは赤ん坊のように、何もわからない場所から手探りで歩き始めます。
    一つ一つの工程の意味を頭で理解し、それを身体に覚え込ませる。
    教科書のページをめくるように、ゆっくりと、時には立ち止まり、時には前のページに戻りながら進んでいく。
    そのプロセスには、どうしても時間が必要です。

    例えば、初めて任されたプロジェクトで、資料の作り方がわからず、何度も先輩に質問をしたり、過去のデータを漁ったりしている新人。
    周りから見れば「要領が悪い」「時間がかかりすぎだ」と映るかもしれません。
    しかし、本人はその一つ一つの手探りの行為を通じて、ただ資料を完成させるだけでなく、会社の文化や仕事の進め方という、もっと本質的な何かを学んでいる最中なのです。

    あるいは、趣味で始めた楽器の練習。
    指が思うように動かず、不格好な音が部屋に響く。
    楽譜に書かれた記号はまるで暗号のようです。
    その姿を見て、経験者が「貸してみて、こうやるんだよ」と楽器を取り上げて、流麗なメロディーを奏でてみせる。
    それは親切心からくる行為でしょう。
    しかし、その一瞬で、挑戦者が得られたはずの「自分で発見する喜び」や「指が動いた瞬間の小さな成功体験」という、かけがえのないチャンスは失われてしまいます。

    時間がかかるのは、その人が怠けているからでも、才能がないからでもありません。
    むしろ、真剣だからこそ、一つ一つのステップを疎かにせず、自分の血肉にしようとしている証拠なのです。
    その誠実な挑戦の時間を、「非効率」という物差しだけで切り捨ててしまうのは、あまりにもったいない。
    その人が未来に花開かせるかもしれない「得意」の芽を、知らず知らずのうちに摘み取っているのと同じことなのです。

    ✅奪わないで欲しいと思った

    せっかくチャレンジしているのに、それを奪われてしまったら、またチャレンジができるまで時間が奪われる事が多くなってきています。

    誰かにチャンスを奪われるという経験は、想像以上に深い傷を残します。
    それは単に「やってみる機会がなくなった」という事実以上の、もっと重たい何かを心に残していくからです。

    「やっぱり、自分には向いていないんだ」 「時間がかかって、周りに迷惑をかけているんだ」

    そんな無力感や罪悪感が、じわじわと心を蝕んでいきます。
    一度芽生えた挑戦への意欲はしぼみ、次に同じような機会が訪れた時、「また失敗するかもしれない」「また誰かに仕事を取り上げられるかもしれない」という恐怖が先に立ち、一歩を踏み出すことを躊躇させてしまうのです。

    そして、この「奪われる」という経験は、挑戦者からモチベーションだけでなく、物理的な時間をも奪います。
    一度失った心の炎を再び燃やすには、相当なエネルギーと時間が必要です。
    次に同じチャンスが巡ってくる保証もありません。
    その間に、挑戦者は成長の機会を失い、停滞を余儀なくされます。

    現代は、効率とスピードが何よりも重視される時代です。
    SNSを開けば、誰もが完成された「すごい結果」を披露していて、その裏にある地道なプロセスはなかなか見えてきません。
    そんな空気の中で、私たちはいつの間にか、誰かの「時間がかかる」挑戦に対して不寛容になっているのかもしれません。
    「遅いな」と感じた瞬間に、つい手や口を出してしまう。
    その方が手っ取り早く、正しい結果にたどり着けるからです。

    しかし、その効率化と引き換えに、私たちは何を失っているのでしょうか。
    それは、人が「苦手」を乗り越え、「得意」を獲得していく、最も尊い成長のプロセスそのものではないでしょうか。
    誰かの挑戦を待てずに奪ってしまう行為は、その人の未来の可能性を奪うだけでなく、社会全体から多様な才能が生まれる土壌を痩せさせてしまう行為なのかもしれません。

    ✅まとめ

    私たちが誰かの「得意」を見るとき、それは完成された作品のように見えます。
    しかし、その多くは「苦手」という名の荒削りな原石から、時間をかけて丹念に磨き上げられたものです。
    その研磨のプロセスには、失敗や停滞を含んだ、膨大な時間が必要不可欠です。

    誰かが何かに挑戦していて、時間がかかっている時。
    それは、その人がサボっているのではなく、未来の「得意」を自分のものにするために、必死に格闘している時間です。
    その大切なチャンスを、「効率」や「親切心」の名の元に奪わないで欲しい。
    温かく見守り、待つという姿勢こそが、その人の可能性を最大限に引き出す最高の応援になるはずです。

    そして、それはいつか自分自身が挑戦する側になった時、周りから与えてほしいと願う環境そのものでもあるのですから。


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