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意識しないと、すぐ頑張ってしまうあなたへ

    我が家は、その地域では名の知られた家の本家でした。
    お盆や暮れには大勢の親戚が挨拶まわりに訪れ、常に家にはお客さんがいる。そんな環境が当たり前の日常でした。

    そして私は、その本家の長男として生を受けました。
    「長男だから」「跡取りだから」――。言葉にはされずとも、周囲の期待はひしひしと伝わってきました。
    常に「ちゃんとしなければ」「期待に応えなければ」という無言のプレッシャーを背負い、いつしか「こうあるべき」という見えない鎧をがっちりと着込んでいたのです。

    しかし、背負いきれない期待は、やがて心と体を蝕んでいきました。
    自分の心の声に耳を塞ぎ、走り続けた結果、私は破綻してしまいました。
    これは、そんな私が「頑張りすぎの呪い」から少しずつ自由になり、自分自身と向き合うまでの物語です。

    ✅頑張り過ぎると壊れる、という痛烈な経験

    タイトルにもある様に、私は意識をしていないと、常に全力で走り続けてしまう性格でした。
    休むことに罪悪感を覚え、のんびりすることが何よりも苦手。きっとこれは、今思うとADHD(注意欠如・多動症)の「過集中」という気質も影響していたのでしょう。
    一度仕事のスイッチが入ると、食事や休憩も忘れて没頭し、気づけば心身ともに燃え尽きている、ということの繰り返しでした。

    当時はそんな自分の特性も知らず、「なぜ、こんなにキツいのに頑張ってしまうんだろう」「どうして周りの人のように、うまく力を抜けないんだろう」と、ただただ自分を責めるばかり。

    その歪みは、社会人になって限界に達しました。
    「手を抜けない」のではなく、「抜き方が分からない」。任された仕事は完璧にこなしたい。
    いや、こなさなければならない。
    周りを頼ることは「迷惑をかけること」だと思い込み、一人で抱え込み続けました。

    そしてある朝、ついに体と心が悲鳴をあげました。
    ベッドから起き上がれないのです。頭では「会社に行かなければ」と焦っているのに、体に鉛が詰まったように動かない。
    突然、理由もなく涙が溢れ、心臓がバクバクと音を立てて呼吸が苦しくなる。それが、うつ病とパニック障害と診断された日でした。

    「頑張れば報われる」と信じてきた価値観が、ガラガラと音を立てて崩れ落ちた瞬間でした。
    皮肉なことに、あれだけ頑張ってきた結果、手にしたのは「これ以上頑張れない」という現実だったのです。
    この「壊れた」経験は、私の人生にとって最も辛い出来事であると同時に、生き方を見つめ直すための、痛みを伴う大きな転機となりました。

    ✅「自分」を取り戻すための点検と振り返り

    壊れてしまった心と体を立て直す過程で、私はこれまでいかに自分を蔑ろにしてきたかを痛感しました。
    そこで始めたのが、自分自身を丁寧に点検し、振り返るための習慣です。

    長年染み付いた「頑張りすぎる癖」は、今でも意識していないとひょっこり顔を出します。
    そんな自分を客観的に見つめ、軌道修正するために欠かせないのが、「ジャーナリング」と「日記」でした。

    ジャーナリングは、いわば「心のデトックス」です。毎朝、頭に浮かんだことを、とりとめもなくノートに書き殴ります。
    「不安だ」「疲れた」といったネガティブな感情も、「あれがしたい」「これが楽しみだ」というポジティブな気持ちも、すべてそのまま吐き出すのです。
    書くことで、自分が何に悩み、何を望んでいるのかが客観的に見えてきます。
    「〜すべき」という思考に囚われている自分に気づき、「いや、本当は〜したいんだ」と、心の奥底にある本音を救い上げることができるようになりました。

    日記は、その日の出来事と感情を記録する「定点観測」です。
    ジャーナリングが心の声を「出す」作業なら、日記は一日を「省みる」作業。
    特に、今日できたこと、嬉しかったこと、感謝したことを3つ書くようにしています。
    頑張りすぎてしまう人は、できなかったことばかりに目を向けがちです。
    しかし、どんなに小さなことでも「できたこと」を可視化することで、「今日も自分はちゃんとやった」と、自分を認め、癒す時間に繋がります。

    この二つを続けることで、私は自分の心の動きにとても敏感になりました。
    かつては無視し続けてきた「疲れた」「休みたい」という小さなサインをキャッチし、「今日はここまでにしておこう」と、意識的にブレーキをかけられるようになったのです。
    これは、自分を大切にするための、何より重要なスキルでした。

    ✅まとめ

    「本家の長男」という役割を背負い、常に「いい子」でいなければならないという呪縛。
    それは、いつしか私から「ありのままの自分」でいる自由を奪い、心と体を壊す原因となりました。

    うつ病とパニック障害という経験は、暗く長いトンネルのような日々でしたが、同時に「頑張りすぎなくても、あなたはあなたのままで価値がある」ということを、身をもって教えてくれました。

    今も、意識しなければ頑張りすぎてしまう私の特性は変わりません。
    しかし、以前とは決定的に違う点があります。
    それは、ジャーナリングや日記を通して、自分の心と対話する術を身につけたことです。
    自分の心の声を聴き、疲れを察知し、意識的に休む。
    それは、自分自身への最大の思いやりであり、壊れないために不可欠なセルフケアです。

    この記事を読んでくださっているあなたも、もしかしたら同じように「頑張りすぎてしまう」ことで、息苦しさを感じているかもしれません。
    完璧じゃなくても大丈夫です。
    誰かの期待に応えることよりも、まずは自分の心の声に耳を傾けてみてください。

    壊れた経験は、決して無駄ではありませんでした。
    むしろ、その痛みがあったからこそ、私は自分を大切にするという、人生で最も重要なことを学べたのですから。
    これからも私は、自分の心とゆっくり対話を続けながら、一歩一歩、私らしいペースで歩んでいこうと思っています。


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