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〜第44夜〜「ただいまを言ったのに、誰も返事をしなかった」

    🕯 はじめに


    えぇ……この話はですねぇ……
    ある晩、仕事帰りのごく普通の女性が体験した……ちょっと、いや、かなり……ゾッとする話でしてねぇ……。
    どこにでもあるようなアパートの一室……
    どこにでもあるような玄関……
    でもね、彼女が「ただいま」って言った“その日”から、何かが、少しずつ……狂い始めたんですよ……。




    彼女、仮に “ミキさん” としましょうか……
    30代の会社員でね、ワンルームの賃貸アパートにひとり暮らししていたんです。
    夜10時を過ぎた頃に、仕事から帰ってきて。

    その日も、鍵を開けて玄関に入るなり、いつものように「ただいま〜」って。
    ──でも、部屋の中はしんと静まり返ってて、まぁ一人暮らしだから当たり前ですよねぇ……。

    だけど、その日はなんか、違った。

    ミキさんね、リビングのドアを開けた瞬間、
    ふわっと、微かにお線香の匂いがしたって言うんですよ……。

    「あれ? 近所かな?」って思ったけど……
    窓は閉まってるし、風もない。
    それに、そんな匂い、今まで一度もしたことないんですって……。

    リビングに入って、電気をつけようとしたそのとき。

    スイッチを押す……
    ──パチン……つかない。
    あれぇ……? 壊れた? って思って、何度か押すんだけど……つかない。
    でもね……部屋の奥のほうが、なんだかほんのりと明るいんですよ……。

    あれぇ……? と思って、ミキさん、そろ〜っとリビングの奥に近づいていった。

    ……そこにはね、
    誰もいないテーブルの上で、小さなロウソクが、一本だけ……ゆらゆら揺れてたんですって。

    しかもねぇ……
    そのロウソクの下、白いお皿が置いてあってね、
    上には小さなおはぎが、ひとつ。

    ミキさん、そこで凍りついた。
    ──あの日、亡くなったおばあちゃんの大好物だったって……。

    でもね、もっと怖いのはそのあと。

    「……おかえり」

    うしろから、誰かがそう、耳元でささやいたって言うんですよ……。

    えぇ……もちろん、振り返っても誰もいなかった。
    でもね、部屋の電気がパチッとついたとき……
    テーブルの上のおはぎも、ロウソクも……跡形もなくなっていたそうでしてねぇ……。

    ミキさん、しばらく放心していたんですが……
    何気なく、玄関のドアを見たとき……
    玄関マットの上に、小さな足跡が、濡れたまま……3つだけ、残っていたんですって。


    🕯 あとがき


    「ただいま」って、誰かに返事してほしい言葉ですよね……
    でも、それが “あの世” の誰かだったとしたら──
    ……あなたは、それでも、声をかけますか?

    夜の玄関、返事のない部屋、ほんのり漂うお線香の香り……
    そのすべてが、誰かの“帰り道”なのかもしれませんねぇ……えぇ……。


    🕯 裏夜話の案内


    この話には、続きがあるんですよ……。
    ──ミキさんが「スマホを見た瞬間」、なぜ全身が凍りついたのか。
    ロウソクの正体も、実は……“写ってた”んです。

    裏夜話では、その【最後の証拠】をご紹介します。
    ……この先は、どうぞ“裏の世界”へお入りください……。


    👁 裏夜話

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