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「芋おはいけない扉」〜第  倜〜


    はじめに


    今回は、䜓隓した出来事をベヌスに  創䜜を加えおお話ししたす。
    い぀もより長めに語るこずで、情景も空気も、じわじわず迫っおくるようにしおみたした。

    読んでいるあなたの背筋を  ふっず冷たいものが這うような――
    そんな瞬間を、感じおいただけたらず思いたす。

    さぁ  灯りを少し萜ずしお、静かな倜にお読みください  
    では、始めたしょう  えぇ  



    あの倜は  蒞し暑い倏でしたね  
    昌間は蝉が耳にうるさいくらい鳎いおたのに  倜になるず䞍思議ず、しぃん  ず静たり返っお  
    窓の倖から入っおくる颚が、ぬるいのに  肌の奥だけがひやっずするんですよ  えぇ  
    私はその倜、甚事があっお、知り合いの叀いアパヌトに泊たりに行ったんです。
    築50幎近い、朚造2階建おの  现い階段を䞊がるず、きしむ音が背䞭を远いかけおくるような  そんな建物でしおね。
    郚屋に入るず、倩井が䜎くお  壁玙は黄ばんで  カヌテンは湿気を吞いすぎたせいか、少しカビ臭い。
    でも、たあ䞀晩だけだから  ず荷物を眮いお、颚を通そうず窓を開けたんです。
    開けた瞬間  カヌテンの端がふわっず揺れたんですが  颚は、入っおこない  
    「おかしいな  」っお思った瞬間、背䞭に  じわ〜っず冷たい汗が  
    そのずき、郚屋の奥の“抌し入れ”が  わずかに開いおたんですよ。

    ――あれ 昌間芋たずきは  閉たっおたはずなのに  

    私は、なんずなく嫌な予感がしお  抌し入れの前たで歩いおいったんです。
    匕き戞の隙間から  真っ暗な空間が芗いおいお  䞭はやけに湿った空気が挂っおくる  
    手を䌞ばしお閉めようずしたずき  
      䞭から、「スゥ  スゥ  」ず呌吞の音が  聞こえたんですよ。

    えぇ  あれは、間違いなく人の吐息でした  
    でも  この郚屋には、私しかいないはずなんです。

    怖くなっお、䞀歩埌ずさりしたら  抌し入れの奥から、ゆっくり  ゆっくり  癜い指が、這い出しおきたんです  
    しかも  5本じゃない  7本あるんですよ  えぇ  

    呌吞音がだんだん荒くなっお  次の瞬間、その指が“ガッ”ず匕き戞を抌し開けた  
    真っ暗な抌し入れの奥から、土の匂いず  髪の毛がばさっず顔にかかる感觊  
    私、思わず悲鳎をあげお埌ろに倒れ蟌みたした。

    ――でも、倒れた瞬間  気づいたんです。
    顔にかかったのは  髪じゃない  
    抌し入れの奥から、誰かの長い舌が  私の頬をなめおたんですよ  

    それがね  ぬるくお  生暖かいのに  
    劙に“冷たい”んですよ  えぇ  あれは、今思い出しおも  背䞭がゟワゟワしたす  

    私は必死に郚屋を飛び出し、階段を駆け䞋りたした  
    でも  
    あの階段の䞋  暗がりの䞭で  
    さっきの癜い指ず、あの舌が  ゆらゆら揺れおたんですよ  私を芋送るみたいに  





    翌日、私は荷物も眮きっぱなしのたた、アパヌトの倧家さんを蚪ねたした。
    幎配の女性で  この蟺りにずっず䜏んでるらしいんですが  私の話を黙っお聞いおいたかず思うず  ぜ぀りず、こう蚀ったんです。

    「  あの抌し入れ、勝手に開けちゃったのね  」

    私はゟッずしお  「勝手に、っお  」ず聞き返したした。
    するず倧家さん、窓の倖を芋ながら、声を萜ずしお話し始めたんです。

    「あそこはね  昔、二階に䜏んでた若い女性が  自分で入り蟌んで、そのたた  ね」

    私は蚀葉を倱いたした  
    しかも、その人は  芋぀かったずき、手の指が7本あった、ず  。

    「でも、舌は  」ず私が聞き返すず、倧家さんの顔がすっず匕き぀っお  

    「  あの子ね、生たれ぀き舌が人より長くお  それを、よく出しおたのよ  」

    えぇ  そのずき、私は思い出しおしたったんです  
    あのぬるい舌の感觊ず、顔をなめられた瞬間の  息の匂いを。

    そしお最埌に  倧家さんが劙なこずを蚀ったんですよ  

    「  あの抌し入れ、今はもう閉めおあるはずなのにねぇ  」

    えぇ  
    あれ以来、私は二床ずその郚屋に近づいおいたせん  
    でも  ずきどき倜䞭に  ふいに顔が生枩かくなっお  耳元でスゥ  スゥ  ず、あの呌吞が聞こえるこずがあるんです  

    あのアパヌトから逃げ垰っお数日埌のこずです。
    倜䞭、寝苊しくお  䜕床も寝返りを打っおは目が芚めおいたした。
    午前2時を過ぎた頃でしょうか  
    ふず、耳元で「スゥ  スゥ  」ず、あの呌吞音がしたんです。

    私は心臓がドクンず跳ねお  そっず目を開けたした。
    郚屋は真っ暗で、カヌテンの隙間から街灯のオレンゞ色の光が现く差し蟌んでいるだけ。
    でも  その光の線の䞭に  癜い“䜕か”が暪切ったのが芋えたんですよ。

    寝たふりをしながら芖線だけを動かすず  
    ベッドの足元あたりに、人圱が立っおいるんです。
    倩井たで届くほどの長い髪が  ゆらゆら揺れお  顔は芋えない。
    その代わりに  床の方たで垂れ䞋がった舌が、ゆっくりず  巊右に揺れおいたんです  えぇ  

    私は息を止めお  埮動だにしたせんでした。
    するず、その舌が  スヌッず持ち䞊がっお  私の足元を、ひやりず撫でたんですよ。
    冷たいのに  ぬるい  あのずきの感觊そのたたです。

    次の瞬間  足銖を癜い指が“ガッ”ず掎んだんです。
    5本  じゃない  7本の指が、絡み぀くように  。

    恐怖で動けない私の顔に  その舌が、じわじわず近づいおくる。
    暗闇の䞭で、舌の先が光を反射しお  ヌラリ、ず濡れおいるのが分かるんです。

    ――舌先が、私の頬に觊れる  その瞬間。
    突然、郚屋の抌し入れの扉が「カタン  」ず、ひずりでに開いたんです。

      その音ず同時に、足銖の感觊がふっず消え、気配もなくなりたした。

    私は飛び起きお、電気を぀けたした。
    でも、抌し入れの䞭には䜕もない  はずなんです。
    ただ、畳の䞊に  现く長い氎の跡が、私のベッドの方たで䌞びおいたした。





    畳に残ったその氎の跡は  现く長く、たるで䜕かを匕きずったように  私のベッドぞず続いおいたした。
    私は足がすくみながらも、その跡をたどりたした。
    よく芋るず  氎ではない  わずかにね、ぬめりがあっお  指先に觊れるず、ひやっずするのに  劙に生暖かい。

    その瞬間、あの舌の感觊を思い出しお  ぞわっず背䞭が総毛立ちたした。

    跡はベッドの暪で途切れおいたした。
    でもね  よく芋るず、ベッドの瞁からその跡が䞋に垂れお  床䞋ぞず消えおいたんです。

    嫌な予感がしお  私は垃団をめくり、ベッドをそっず動かしおみたした。
    その䞋  畳がわずかに浮いおいお  その隙間から、暗い穎がぜっかりず開いおいたんですよ。

    穎の奥からは  あの「スゥ  スゥ  」ずいう呌吞音が、はっきりず聞こえおくる。
    私は声も出せず、ただ埌ずさりするしかありたせんでした。

    そのずき  穎の䞭から、癜い指がスッず䌞びおきお  畳を抌し戻したんです。
    音もなく  たるで、「ただ出ないよ」ずでも蚀うように  。

    気づけば呌吞音も消え、ただ静たり返った郚屋に  私ひずり。

      でも、分かっおしたったんです。
    あの跡は――私のベッドの䞋に“垰っおいった”跡だったず  えぇ  

    だから今も、倜䞭にふいに頬が生枩かくなっお  耳元でスゥ  スゥ  っお聞こえるずきは  
    私は決しお、ベッドの䞋を芗かないようにしおいるんです  

    あなたのベッドの䞋は  倧䞈倫ですか


    おわりに


    今回は、私がこれたでに䜓隓した心霊珟象をベヌスに  創䜜を亀えお少し長めの展開にしおみたした。
    実際に感じた“空気の重さ”や、“芖線の圧”  あれは文字では党おを䌝えきれたせんが、読んでいるあなたの背䞭にひやりずしたものが走ったなら、それはきっず、物語の䞭だけのこずではないのかもしれたせん。

    事実ず想像が入り混じるこずで、珟実ず虚構の境界はあいたいになりたす。
    そしお、そのあいたいな隙間こそ  䜕かが入り蟌む堎所なのかもしれたせん。

    さお  
    今倜、あなたが眠るずき  
    ふず耳元でスゥ  スゥ  ずいう音が聞こえたら――
    それは、物語の続きか、それずも  



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    私がこれたで䜓隓した“芖えおしたった瞬間”や、語りきれなかった埌日談  
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