メインコンテンツへスキップ
見出し画像

無茶ぶりはやめて【アマノ文筆クラブ】

     外は、目の前が見えないほどの雪が降っている。風は叫び声を上げるように、部屋を叩きつけながら家全体を揺らしていた。

     上司からLINEで連絡が来た。明日の除雪のことだろう。

    上司:『朝までに、あと30センチ積もるらしいよ』
    私 :『本当ですか。でも確かに、その勢いですね』

     窓ガラスには雪がびっしりと張りつき、外の様子はほとんど見えなくなっていた。雪の結晶がひとつ、窓越しに浮かんでいる。それはどこか、笑っているような、憎しみをたたえているような、そんな表情に見えた。
     天気予報アプリで確認すると、天気予報士も「あと30〜40センチは積もる」と言っていた。

    上司:『委託している業者に連絡取ってるけど、どうやら郊外のパチンコ店の方が積雪ひどくて、会社の敷地内の除雪時間まで間に合わないそうだ』
    私 :『……ということは、どういうことですか?』
    上司:『手でやるしかないのか』
    私 :『いやいや、変なこと言わないでくださいよ』

     外の天気は悪くなる一方で、道路を走る除雪車の、地鳴りのような音がここまで響いてくる。

     しばらくして、上司から再びメッセージが届いた。

    上司:『なんとか、除雪業者の手配がついた。朝8時に来てくれるそうだ』
    私 :『それは良かったです。でも、今何時でしたっけ?』
    上司:『朝7時だが』
    私 :『始業が8時30分で、9時にはアポイント入ってますが』
    上司:『まぁ、スノーダンプとかスコップも何本かあるし』
    私 :『やっぱり手作業ですか。無茶ぶりはやめてください』

     仕方ない、ここは腹を括るしかない。そう思い、防寒装備で外へ出た。


    アマノ文筆クラブ様の企画に参加させていただきました。今週もよろしくお願いします。

     
     
    北海道在住です。小説をメインに色々なことを書いたりする場所です。今は主に、北海道を舞台としたオリジナル小説シリーズ「休憩室にて」を書いてます。その他、各企画に参加しております。

    あなたへのおすすめ