
人と組織の話|「○○さんって、ご存じですか?」から始まる大人のカードゲーム
僕は、とある組織の人事部でマネージャーをしています。
上場企業でもないし、誰もが名前を知っているような有名企業でもない。
それでも、5000人を超える職員がいる組織なので、それなりに課題はたくさんある。
人事らしく、採用活動をすることもあるけれど、僕の仕事の中心にあるのは、どちらかというと人事戦略や組織について考えるのがメイン。
人がどう働くのか。
組織はどう動くのか。
人と人との関係が、組織の中でどう作用するのか。
そんなことを考える仕事をしている。
簡単に言えば、人間観察も仕事のうちだと思っている。
だからなのか、仕事で人が集まる会合なんかに出ていると、たまに気になることがある。
おっさん同士(語弊あり)のあのシーン
会合とか勉強会とか学会なんかで、初めて会う人と挨拶をする。
ビジネスマンらしく名刺交換。
「○○会社の○○です」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
そこから始まるテンプレート。
営業のシーンならここから時候の挨拶などを挟み、商品やサービスの話へ。
だけど、会合の場合は初めから取引的な話が目的ではない。だから商談と世間話の中間的な話が始まる。
どんな仕事をしているのか。
どんな組織に属しているのか。
お互いに、そんな話をする。
ここまでは普通だ。
そして、そのあとだ。
「○○さんって、ご存じですか?」
こんな話が始まる。
「ああ、知ってますよ」
そう答えると、
「実は僕、○○さんとは昔一緒に仕事してましてね」
なんて話が続く。
別に、目の前の人と○○さんについて話したいわけではない。
今、初めて会ったのは、おっさんAとおっさんBなのだ。
それなのに、いつの間にか、その場にいないおっさん○○の話をしている。
しかも、その「誰か」は、ちょっと偉い人だったりする。
業界では名前が知られている人だったり、役職のある人だったりする。
「○○さんには昔からお世話になってまして」
「○○さんのところとは、以前ちょっと仕事をしてまして」
「○○さんとは、今でもたまに飲みに行くんですよ」
おっさん○○のオンパレードである。
そうやって、その人との接点が、さりげなく会話の中に置かれる。
僕は、あれを見るたびに思う。
……あれ、何なんやろう。
もちろん、単純に昔話をしているだけなのかもしれない。
話のきっかけを作っているだけかもしれない。
共通の知り合いがいると分かれば、初対面でも話しやすくなる。
それは分かる。
でも、僕にはどうしても、もう一つのものが混じっているように見える。
ほんの少しだけ。
「僕、こんな人とつながってますよ」
っていう感じ。
さりげないマウンティング、と言ったら言い過ぎなのかもしれない。
でも、まったくゼロとも思えない。
そして、さらにそんな場面を見ていると、子どもの頃のことを思い出す。
僕らが子どもの頃には、カードダスというものがあった。