
背中のオベリスク 〖ファトラジー・綺想詩〗
ねぇ きいて……
黄金に沈む夜 喋るランタン
迷い込んだ旅人を
差しださなければ帰れない
永遠の銀の薔薇
輪っかの異世界
ビオラの笑い声
鳴らないはずの呼び鈴
迷子の一等星を開けたら
干からびた静かな砂漠に
睫毛の海が広がる
ぐったりとした歪んだ時計
パチンと目が覚めた
色めく時間が鏡に映って微笑んでいる
大きな大きな大きなキリンは静かにそびえ燃え尽きて灰になる
足長の象は雲を突きぬけて
背中にオベリスクを載せる
溶けたカマンベール
ナイフとフォークが追いかける
ちいさな真鍮の取っ手が
わたしの体にくっついた
背中の引き出し引っ張って
胸の引き出し開けたなら
ニヤける
無くした消しゴム
お腹の引き出しから顔をだす
置きざりの言葉は
あの日
言えずに飲み込んだ
グミに似た「愛してる」
びゅうひょうと泣いた紙くずのマーチ
秘密の空き地とのけぞる巨大な松葉杖
ぐにゃぐにゃに折れ曲がる青そうな空を
下からグッと支えてる
わたしの背中の引き出しが
全部勝手に開いてく
よろけた時間がぽろぽろ床にこぼれていくよ
ぽたぽたと
ほろほろほろと
世界が
まるごと裏返る
ねぇ きいて……
ゆうべの夢は
ダリのゆめ
fin.
…あとがき…
お読みいただき、ありがとうございます。
今回の作品は、サルバドール・ダリの絵画へのオマージュ作品です。
以前から挑戦したいと思いながらなかなか形にできずにおりましたが、今回、初代王天君さんの企画「ファトラジー」に初めて挑戦させていただきました。
初代王天君さん
私なりの解釈で紡いだ世界ですが、「ファトラジー」として成立しているのか、ご指導いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。