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Vol.12 6時間睡眠「まあ大丈夫」は危ない勘違い。


    「私は6時間も寝れば十分」「寝る間を惜しんで仕事するのが美徳」——そんな価値観がまだ根強い日本ですが、睡眠専門医の立場からはっきり言います。

    短睡眠時間は、命にかかわります。

    厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人は6時間以上の睡眠を確保することを推奨しています。なぜ「6時間」かというと、睡眠時間が極端に短いと、肥満・高血圧・糖尿病・心疾患・脳血管疾患・認知症・うつ病などの発症リスクが高まることがわかってきており、約92万人分のデータを解析した研究では、睡眠時間が6時間未満になると死亡リスクが有意に上昇すると報告されているからです。

    「7〜8時間が理想では?」という声もあります。それはそうです。ただ、まず「6時間を死守する」ことを最初の目標にすることが現実的だと思っています。

    睡眠不足が怖いのは、自覚症状が出にくいことです。

    ペンシルベニア大学のVan Dongenらの研究(Sleep, 2003)では、6時間睡眠を2週間続けた場合の認知機能は、2日間の完全断眠(徹夜2連続)と同等レベルまで低下することが示されています。それにもかかわらず、当の本人は「自分は大丈夫」と感じています。脳がそのレベルを「普通」と認識してしまうからです。

    「睡眠を削れば時間が増える」——一見そう見えますが、集中力や生産性の低下を考えると、実際は逆効果です。8時間睡眠の後2時間仕事する方が、6時間睡眠で4時間仕事するより、アウトプットの質は高くなります。

    睡眠の専門医として外来で多く見てきたのは、「自分は短時間でも大丈夫」と主張しながら、客観的には著しく機能が低下している方たちです。睡眠の問題は本人が最も気づきにくい。パフォーマンス低下は、低下した状態を「普通」として認識してしまうからです。自覚症状がないこと自体が危険のサインになります。

    参考:
    厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月)https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
    Van Dongen HP, et al. "The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation." Sleep. 2003;26(2):117-26. PMID: 12683469.

    *noteの記事の内容は筆者の個人としての見解です。筆者所属の医療機関の見解とは一切関係ありません。内容の正確性には細心の注意を払っておりますが、万が一不適切な内容がございましたらご指摘いただけましたら幸いです。

    #睡眠・SAS #睡眠時間 #短睡眠 #生活習慣病

     
    予防医療・睡眠の専門医。自分自身も重症の無呼吸でcpap治療を受けています。ヘルスリテラシーの向上、健康経営の推進を通じてWell-Beingな社会の実現に貢献したいと考えています。お問い合わせはhttps://forms.gle/VGqHBXM1pFapn7997まで。

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