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進学校なのに、図書館で騒ぐ生徒たち

    図書館で高校生が騒いでた。いや騒いでたというよりも、“はしゃいでた”と言った方がニュアンスは近いかもしれない。
    確か近所にある自称進学校の生徒だ。進学校らしくないと思ってしまった。


    おそらく学校帰りだろう。男子グループと女子グループが入り混じって、特に男子グループは目に見えてわかるほどにテンションが上がっている。
    まぁそれも一つの青春とやらの光景なのかもしれない。

    進学校の生徒だったらみんな大人しくて礼儀がいいものだと思っていたけれど、それには一応のところ行動心理学などでデータが示されているらしい。
    学力が高い子ほど自分の行動が起こすリスクを計算できるから、静かに礼儀正しく振る舞うそうだ。
    リスクの計算すらも吹き飛ばすほどの楽しい時間が、どうやら図書館にあったのだろうか。

    僕はいわゆる本物の進学校の近くに住んだことがないので、進学校の生徒という存在を実際に目にしたことがない。
    イメージだと決して焦らず騒がず、それこそ女子グループと一緒に図書館に行くことができたくらいでテンションが上がってしまうような男子グループは存在しないのかもしれない。
    いやもしかすると内心はハイテンションなのかもしれないけれど。


    この高校は数年前からエスカレーター式になっていて、附属の中学校が存在する。
    聞くところによると、この附属の中学校に通っている子どもとその両親には、一応のプライドがあるらしい。
    「自分は進学校に通っているんだ」
    「うちの子はその辺の学校とは違うところに通ってるのよ」
    そういうところだろうか。

    「あ〜…うちの子は〇〇中学校なので」
    うちの子と保育園の頃からずっと一緒だった子のご両親に、そう言われたことがある。
    その表情は単なる違う学校に行ったことの報告ではなくて、どこか「もうあなた方とは違う世界に住んでいます」と言ってるような、そんな表情。

    子ども同士も、エスカレーターに乗った子と乗らなかった子の間には壁があって、町で会ってもお互いに声をかけないそうだ。
    保育園のころはあんなに一緒に遊んでいたのに。

    でも調べてみると、その高校と附属の中学校は県内でも“進学校”と言われるほど偏差値が高いわけでもない。
    ただ周辺の他の学校と比較したらいくらか高いだけのようで、つまりは普通なのだ。
    でもまぁ一応プライドはあるらしい。


    とりあえず、これも聞くところによるとそんなに難しくはないらしい入学試験をパスして、最近は定員割れもしているエスカレーターに乗ったことの努力の否定はできない。

    親が勝手に「うちの子は進学校の生徒だ」というプライドを持って周囲にドヤ顔するのは別に勝手にやったらいいのだけれど、図書館ではしゃぐその高校生たちを見て、なんだかみんな“普通”の枠の中であれこれやってんなぁと思ったわけだ。

    僕はその子たちの席から離れて、おじさんだらけのスペースに腰を下ろしてそんなことを考えた。
    おじさん達の中は落ち着く。なんだこの何も気にならない空気感は。たまに聞こえてくる逆に身体を心配してしまう咳すらも、うるさく感じない。

    そしてなんなんでしょう、この話は。


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