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住人の数だけ人間ドラマがある

    私が住むマンションは、11階建てで350世帯以上もあり、人数的にはざっと1500人ぐらいでしょうか。地域ではこのマンション1つで1つの地区として成り立っているほどです。

    以前、大阪弁記事でレポートしましたが、中庭、前庭など至る所に草花が植えられ桜やアジサイを含めて手入れされた庭があり、四季の移ろいを感じることができる環境バツグンのマンションなのです。



    世代交代の時期に突入

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    マンション内の顔ぶれが変わってきた

    私達夫婦は結婚時に、当時、分譲6年目のこのマンションを購入し、今年で29年が過ぎましたから、すでに築35年も経過していることになます。

    そう言えば、最近見かけなくなった人もいれば、エレベーターに乗ると、見知らぬ若い世代のご家族と一緒になったりして、住人の顔ぶれに変化を感じることが多くなってきました。

    小さな子供を連れた親子見ると、ふと自分の子育て時代を思い出して懐かしく思うと同時に、マンション内の世代交代を感じずにはいられません。


    築年数は古いが好立地

    なぜ築35年も経ったマンションを若い世代が選ぶのかというと、ここの立地の良さが関係しています。

    マンションのすぐ横には南北に大きな国道が通り、三つの高速道路の乗り口が近く、各方面へ簡単に遠出できる上、最寄り駅は急行が留まるため「天王寺」までたったの10分で行くことができます。

    地元の小・中学校へも徒歩約10分程度の距離にあり、市役所や警察署、消防署、保健所など市の各行政機関、大きな公園などが徒歩圏内にあるため、子育て世代も老齢世代も、何かと便利な立地なのです。

    おまけに総合病院や大きなショッピングモールから小さなスーパー、飲食店やコンビニなども近くに点在し、まったく生活に困らないどころか、便利過ぎるぐらいなのです。

    古いとはいえ、ちゃんと定期的に修繕はされ、10年前には大規模修繕も行われているし、常に管理人さんやクリーンスタッフがいるため、マンション内はいつもきれいで、塵ひとつ落ちていない美しさを保っています。

    これから子育てを始める若い世代にとっても、私たちのように穏やかに老後を過ごすのも、とても住みやすいマンションなのは間違いありません。


    自治会活動の昔と今

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    当初は自治会の活動も活発で、「婦人会」や「子供会」などが主催し、敷地内で夏祭りがや餅つき大会などが催され、住人同士の繋がりも密でした。

    それはそれで、人間関係などで揉め事もありましたが、良く言えば昔の長屋みたいなフランクな近所付き合いだったのです。

    ウチの息子たち達が「子供会」に入っていた頃は、当然ながら役も回ってきました。長男の時はほんの端役だったのが、次男の時代になるとついに会長までやらされたのです。

    地域の子供会役員と、学校のPTA本部役員と、一時期はそんなボランティア活動だけで忙しい毎日を過ごしていました。

    それが年々子供の数が減少し、若い世代が希薄な近所付き合いを望むため、「婦人会」と「子供会」が消滅し、今の自治会の下には「老人会」しか存在しなくなり、季節の行事も全く行われなくなりました。

    暇な老人会だけが活発に活動し、カラオケ大会などが集会室で定期的に開催されているようです。

    ちょうど私の世代は、どちらにも属さない中途半端な世代と言えます。


    ドラマよりドラマチックな人生劇場

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    30年近くも同じマンションに住んでいると、回りでは色々な出来事が起こりました。
    長い年月には様々な事件?もあり、否応なしに人の良し悪しも目の当たりにしたのも事実です。


    無念死

    私が子供会役員の時、幼い小学生の子供を残して、癌で亡くなられたお母さんや、突然死されたお母さんもおられました。

    昨日、立ち話したのにウソでしょ!?

    と、ショッキングなこともありました。

    まだまだ子供の成長を見たかっただろうに、さぞかし無念だったことでしょう。
    その子供たちは、今もたまにマンション内ですれ違いますが、すっかり成人されているのを見るたびに、お母さんの事を思い出して、私の方が胸が熱くなります。

    逆に息子さんを亡くされたお母さんもおられます。
    息子さんは筋ジストロフィーだったので、ずっと献身的に介護されていた末でのことだったのですが、未だに会えば笑顔で挨拶してくださるのを見ると、こちらの方がいたたまれなくなります。


    離婚

    離婚は結構な確率であるようです。

    中には、再婚してご主人が若い別人になっても、同じ部屋に住み続けている人たちがいて、そのご主人との間のお子さんも生まれてます。

    ある日気付くと、中学生の子供を持つ奥さんのお腹が大きくなっているので、声をかけるとカラッとして、再婚した事を告げられ、一瞬ひるんだ事がありました。

    いつの間に??

    私のような古い住人は前のご主人も知っているので、なんとも複雑な気持ちです。

    横領

    これには驚きました!
    自治会会長による自治会費の横領です。

    以前は、各戸200円/月を集めていました。
    それを季節のイベント費に当てたりして賄っていたのですが、まだ差し引きしても400万近く残っているはずの会費か、ごっそり無くなり、おまけに当の会長は夜逃げしていたのです。

    見た目は仕切りやでしっかりした雰囲気の頼れる会長だっただけに、これには心の底から驚きました。

    人は見かけによらない…


    また別の会長は、住人全員が共有すべき集会室の一部を、知らない間に鍵を付けて、2年間もプライベートで使用しており、後日、後任の会長に責められて、2年分の経費や使用料をまとめて支払い命令を受けていました。

    何年か続けて役員を続けていると、どうしても特定の人に権利が集中してしまいます。それ以後、同じ人が役員にならないよう、毎年入れ替えるという制度と、必ず一人に責任や権利が集中しないような配慮も定着しました。


    夜逃げ

    上記のように悪いことをして夜逃げするだけではありません。
    ローンが払えない、または管理費や積立金など未払いがかさんで、マンションに居られなくなって、トンズラしてしまった一家もいました。

    なかでも、長男と同級生で幼馴なじみだった子の家が夜逃げした時は衝撃でした。

    必然的にそのお母さんとは親しくしていて、お互いに家によんでご飯を一緒に食べたりする間柄でした。
    ある日、舅が大怪我をして面倒をみなくてならないから留守にするとか言っていたのですが、それは嘘でした。

    というのも、その後になって、夜中にそこのご主人が荷物を運んでいたという別の住人から目撃証言を聞き、一家は行方不明となり、夜逃げだと知りました。

    確かに、思い起こせば、いろんな言動が不自然だったなと、あらためて思い、衝撃過ぎて驚きは隠せませんでした。


    それでもここに住み続ける

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    古い住人同士には連帯感がある

    とはいえ、生活するには快適なマンションであるのは変わりません。
    様々な衝撃事件はあったものの、私たち以外にもずっと住み続けておられる方も多くおられます。

    子供が大人になり、まったく大きなイベント行事もなくなった今では、ご近所との接点はほぼなくなりはしましたが、それでもたまに古い住人とバッタリ出会うと、お互いの生存確認をしたり、昔話に花が咲いたりします。

    「いっそのこと、マンション自体が老人ホーム化するまで居てるかもよ。」
    と笑い合ったりできるのは、お互いに、過去の事件を全て知りながらもここに住み続け、この地の良さを十二分に知る間柄だからなのです。


    今度は旦那が役員

    5年ほど前、玄関先に次年度の自治会の役員のお願いに来られて、たまたま主人が対応して、無理やり押し付けられました。

    主人は過去の事例から、私を頼ったようですが、私はきっぱり、主人に押し付けたのです。

    知らん。あんたがしいや。

    私は今までさんざんしてきたし、主人は今まで他人事として捉えていたはずで、このマンションの住人の一人として、一度はやるべきだと思ったのです。

    正直、それまで地域の事など嫁任せだったので、主人にしたら役員など絶対に考えもしなかったことだったと思います。

    ところが、

    いざやってみると、マンション内に友達が出来たりして楽しそうなのです。
    飲みに行くとしたら、会社関係か、学生時代の友人だったのが、いまではご近所のオヤジたちとも飲みにいったりしています。

    人との関りは煩わしい事もありますが、良い面もあるというのを、まさしく体験できたようなのです。

    な?役員もええもんやろ?


    ◇◇◇

    一時期は一戸建てに引っ越そうかと真剣に考えた時期もありました。

    しかし結局そうしなかったのは、狭いながらも息子たちには一部屋ずつ個室があるし、そのうち彼らが独立したら、やがて夫婦2人になる事を思うと、今のままで十分だからです。

    立地は便利だし、息子たちにしても幼馴染たちが近所にたくさんいるし、私達家族にとっては今さら離れられない魅力ある住まいだからです。


    それにしても、ここに住んでいて、いろんな人間ドラマを観てきました。
    ぶっちゃけ、これらの事実から妄想して小説だって書けるのではないかと思えるぐらいです。

    事実は小説より奇なり

    作っていない事実ほどドラマチックな物語はありません。

    これからも様々な出来事はあるでしょうが、私たちは住み続けることでしょう。




    先週もたくさんのスキをいただきありがとうございます。

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    エッセイスト (主に読書、歴史に関して書いています。 1961年生まれ大阪府出身。読書好き。歴史好き。ハンドメイド好き。妄想好き。 著書「レキジョークル奥の枝道」シリーズ7冊目をただいま執筆中。<https://amzn.to/3vgIGz9>

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