メインコンテンツへスキップ
見出し画像

「ばけばけ」に沼落ち!序盤から心をつかまれた5つの理由

    朝ドラ観ていますか?
    私は毎回観ているのですが、特に今回の「ばけばけ」は制作発表のあった2年前から楽しみにしていました。
    ご存じ「怪談」を遺した作家・小泉八雲とその妻セツをモデルに、ヘブンとトキとして描いた創作物語です。始まってみると、その期待を裏切らないどころか、それ以上の仕上がりに嬉しくなっています。

    過去の朝ドラのすべてを観たわけではありませんが、私的には良し悪しの格差が大きく、中には序盤ですでに観ていられないものもありました。
    しかし、夢中になった作品のほうが圧倒的に多く、1983年の「おしん」はもちろん、他に今パッと浮かぶのは2015年波瑠はる主演の「朝が来た」、2014年玉山鉄二主演の「マッサン」で、当時は夢中になって観ていたことを思い出します。

    今回の「ばけばけ」は私にとって大当たり。毎日15分ずつの放送なので、通例なら2、3話まとめて観るのですが、今は待ち切れなくて当日に欠かさず観ているほど、純粋に楽しみなのです。

    さて、その「ばけばけ」の魅力について、私がハマる要所をまとめてみました。

    ※なるべく全体のすじがきには触れず、ネタバレなしでお伝えします。

    1 OP映像と主題歌がホッコリする

    画像

    初回からオープニングにヤラれました!
    ハートの真ん中を見事に射抜かれた感じです。
    今までの主題歌は物語が進むにつれてじわじわと染みてきたものですが、今回はまず映像と主題歌に釘付けにされてしまいました。普通なら早送りするところを、毎回聞き惚れているほどです。

    なんだろう?このホッコリ感は…


    決して大物ではない
    無名アーティストによる楽曲

    歌っているのは「ハンバート ハンバート」という佐藤良成りょうせい・遊穂ゆうほご夫婦。少なくとも私は知らなかった無名のアーティストです。

    佐藤良成は、事前にセツの著書「思い出の記」を読み込んで作詞したそう。だから八雲とセツの人物像と生活の様子がふんだんに盛り込まれているのです。
    特に歌詞の最後は「今夜も散歩しましょうか」で締めくくられているように、セツの著書にも「散歩」というキーワードがよく登場しているそうです。

    また「何があるのか どこへ行くのか」というフレーズも、実際に転居を繰り返したため、そのたびにセツの胸に過った不安な心境が垣間見え、これからの展開を見守りたくなります。

    それにしても、無名にもかかわらず採用された決め手は何だったのでしょう?
    制作統括の橋爪氏によると、ハンバート ハンバートの2人が、まるでドラマ中の「トキとヘブンの関係」のような世界観に溶け込んでいると感じたからだとのこと。

    いや、よく見つけた!私はこの選曲に心から拍手を送りたい!

    2 配役がぴったり

    画像

    高石あかりさんはハマリ役

    朝ドラのオーディションで選ばれた主役、「高石あかり」。
    私は名前も知らなかったので、正直なところ一抹の不安がありました。せっかく面白いストーリーの土台を台無しにしてしまうのではないか…と思ってしまったのです。
    ところが、始まってみるとあまりにもぴったりハマっているので驚きを隠せない状態です。

    なんでも過去の作品『舞いあがれ!』や『あんぱん』にも応募して落選し、3度目の今回の挑戦で見事選ばれたのですから、それまでの落選はトキ役を射止めるためだったのかもしれません。

    「自然体の演技」や「実在したと思わせる演技」が評価され、全審査員一致で選ばれたそうです。
    ご本人も過去のオーディションでは緊張して思うようにできなかったのに、今回は緊張するどころか楽しんで臨めたといいますから、やはり彼女はなるべくしてなったトキだったようです。

    ヘブン先生はまだ未知数

    お相手のヘブン役・トミー・バストウさんについてはまだよくわかりません。今やっとトキがヘブンの女中になったばかりなので、2人が今後どのようなきっかけで夫婦となるのか、その過程の演技に期待を込めて注目している最中です。

    脇役たちも実力者揃い

    脇役に、堤真一、北川景子、そして話題の映画「国宝」の吉沢亮など、主役級の面々が続々と登場しています。

    トキの家族を見ても、父親役の岡部たかしさんは情けない父親をひょうひょうと演じ、その持ち味を存分に出しています。
    祖父役の小日向文世さんは、時代に取り残された武士をコミカルに演じています。

    そして驚くのは母親役の池脇千鶴さん。登場した時、まったく誰かわからないほど激変し、そのストイックな役作りがネット上でも大きく話題になっています。その太った姿は情けない夫や舅を差配するにふさわしい貫禄を備え、かといって柔和な雰囲気を常に湛えた演技は賞賛ものです。

    池脇さんといえば2001年の朝ドラ「ほんまもん」のヒロイン。私は観ていませんが、当時の美少女がここまで変化したら誰でもギョッとしますよね。

    3 時代背景と人々の姿

    画像

    舞台は明治初期。急速に西洋化する時代を背景に、それに戸惑い、取り残された人々の姿を描いています。

    当時はまだあった「偏見」や「思い込み」などの暗い部分でさえ、明るくコミカルに表現し、その時代に生きた庶民たちを描いているのです。

    日本史上最も大きく変革したこの時代は、新旧の風習が同居した混沌とした状態。そんなカオスな時代の空気感を背景にしながらも、時代を超えても変わらない普遍的な家族の思いを見事に描いています。
    それが現代人に通じるコメディタッチであるからこそ心に刺さるのです。

    4 日本文化と方言

    画像

    日本の文化と風習に気付く

    外国人の目から見た日本の風習にも改めて気付かされます。
    きっとモデルとなった八雲も様々な風習に触れ、驚いて戸惑ったであろうところが、ヘブン役のトミー・バストウさんから伝わってきます。
    なにより、当時の日本人たちには「当たり前」のことに感動したり怒ったりするので、外国人の目を通して日本文化を客観的に見直す思いがするのです。

    ~ごしなさい

    何といっても方言がいい!出雲弁だと思われますが、耳に残っているのは「~ごしなさい」というフレーズ。標準語的には「~しなさい」だそうです。
    確かに会話の前後で意味は伝わるのですが、その語源からの変化を調べてみました。
    まず「ご」はもとは「呉」だとの事です。

    「呉くれる」→「呉ごす」→「呉ごせ」

    命令形ではあるのですが、目上の人にも使えるそうで、ドラマではさらに丁寧な表現として「ごしなさいませ」という言い方もありました。いずれの方言もそうですが、例えば同じ島根県内でも地方によって違いもあるでしょう。

    命令形から丁寧形の度合いは、「ごせ」→「ごしない」→「ごしなさい」→「ごしなさいませ」となるようです。

    いや〜方言って本当に面白いし、よく出来ているなと感じます。毎回、舞台となった地方の方言が聞けるところも朝ドラならではです。

    5 コントのような展開

    画像

    前述しましたが、明治維新という激動の時代を背景にそこに生きる人々をコミカルに描いています。
    シリアスさとお笑いの「緩急」が絶妙のタイミングで混ざり合い、全体のストーリー展開に深みを持たせ、決して飽きることのない仕上がりになっています。
    視聴者も笑ったり泣いたりの、ある意味忙しい作品でもあります。(笑)

    1. 異文化だからこその面白さ

    外国人英語教師であり雇い主のヘブンとその女中のトキとの間で、言葉や文化の違いによるやり取りはまるで漫才です。

    誤解や勘違い
    例えば、ビールを買うようにと頼まれるのですが、ヘブンの「ビア」の発音が良すぎて通じず、「ビワ」だと勘違いして「枇杷」や「琵琶」を揃えたり、まるでモノボケコントです。
    だいたい、この当時はまだ「ビール」と発音しても通じなかった可能性もありますね。

    言葉が通じないための身振り手振りのジェスチャーや意図しない行動に、自然とボケとツッコミが成立していて、笑わずにはいられません。

    スキップが出来なくて
    ヘブン先生がスキップを教えてくれたのですが、トキはどうしてもロボットのような動きになってしまいます。
    それを見たヘブンが大笑いするシーンも、とても微笑ましい。

    2. 個性豊かな登場人物たちの振る舞い

    主役級の役者が脇を固めていますが、いずれも個性的なキャラクター設定で、様々なシーンでユニークなやり取りや言動を生み出しています。

    秀才なのに…
    吉沢亮は地域では唯一英語が話せる優秀な人物。
    それなのに、女中を妾である洋妾らしゃめんだと勘違いして、ヘブンを怒らせたり、トキと同じくスキップが出来ず、機械のようになったり。
    それでも会得しようと人知れず真面目に練習する姿が、どこか抜けていて滑稽なのです。

    ヘビとカエルの阿佐ヶ谷姉妹
    初回からいきなり登場したヘビとカエル。
    声は阿佐ヶ谷姉妹なので息の合った漫才ナレーションが、テンポの良いアクセントになっています。
    このやり取りもとても好感が持てるもので、展開には重要なエッセンスとなっています。

    ◇◇◇

    本来は朝ドラの感想はあまり書きません。1作品に1回あるかないかなのですが、今回の作品はあまりにも魅力的なので、書かずにはおられず、今後も不定期で書きたくなりそう。

    ご覧になっていない方も、ドラマはまだ序盤ですので、今からでも遅くはありません。
    これはNHK朝ドラでの名作のひとつになる予感がしますので、どうかご覧になることをおススメします。


    ※サムネイル画像はACphotoよりDL


     
     
    エッセイスト (主に読書、歴史に関して書いています。 1961年生まれ大阪府出身。読書好き。歴史好き。ハンドメイド好き。妄想好き。 著書「レキジョークル奥の枝道」シリーズ7冊目をただいま執筆中。<https://amzn.to/3vgIGz9>

    あなたへのおすすめ