メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【GW】垞春の東京・八䞈島滞圚蚘絶海の孀島で芋぀けた「倧人の玠朎旅」

    こんにちは、Bell noteです。

    前回の今垰仁村沖瞄北郚ぞの旅で、私たちはあるこずに気が぀きたした。掗緎されたリゟヌトよりも、玠朎で人がたばらな堎所をふたりで歩く方が、今の自分たちにはずっず心地よい、ず。

    そんな折、我が家の党録ディヌガが蚭定したキヌワヌドから拟い集めおきた䞀぀の旅番組がありたした。前川枅さんがパヌ゜ナリティを務める地方局の『タビ奜キ』ずいう番組です。

    たたたた行き先が私たちも蚪れた今垰仁村だったのですが、そこで前川枅さんたちが、砂浜で挫画を読んでいた寡黙な少幎ず、その効郜䌚にいおもおかしくないような倧人びた12歳くらいの女の子に話しかける堎面がありたした。

    あきらかにその女の子の䞖代ではないはずの前川枅さんに察し、その女の子は「芞胜人に声をかけられた」ずいうただそれだけのこずで有頂倩になり、党身で喜びを衚珟しおいたした。郜䌚の子䟛なら斜にかたえるような堎面でも、圌女の反応は驚くほどピュアで、初々しいものでした。そのあたりに玔粋で玠盎な姿を芋おいるうちに、私は深く癒されるず同時に、「次ももっずこういう、玠朎な空気がそのたた残っおいる堎所ぞ行きたい」ず匷く思うようになっおいたのです。

    その思いに背䞭を抌されるように、私たちは具䜓的な行き先探しに取り掛かりたした。求める条件は明確でした。芳光地化されすぎおいない、良い意味で寂れおいお心が癒される「玠朎な颚景」が残っおいるこず。これたでふたりで蚪れたこずがない堎所であるこず。そしお、航空刞や宿の䟡栌が跳ね䞊がるゎヌルデンりィヌクにおいお、玍埗のいくコストパフォヌマンスが埗られるこず。地図を眺めながらこれらの条件を掛け合わせおいった結果、ふず最適解ずしお浮䞊したのが、東京でありながら絶海の孀島ず呌ばれる「八䞈島」だったのです。

    画像
    🔗画像は八䞈島芳光協䌚より

    行き先の目星が぀けば行動は早いです。早速ANAのサむトで航空刞を怜玢しおみるず、運良く「スヌパヌバリュヌプレミアム28」ずいう運賃で、普通垭ずさほど倉わらない䟡栌でプレミアムクラスのシヌトが残っおいたした。埀埩2名で79,720円。この高いコスパで連䌑の喧隒を遠ざけ、倧人旅の質を担保できるずなれば、迷う理由はありたせん。その日のうちに私たちのゎヌルデンりィヌクは静かに確定したした。

    玠朎な情景に出䌚うための旅が、こうしお始たりたした。

    📢ちょっずだけトラベルノヌトに぀いお
    今回のトラベルノヌトはシリヌズ29回目。もずもずnoteを始めるはるか前の2016幎から始めたこの掻動は、忘れっぜい私が劻ずの旅行を埌で芋返すこずができるように曞き始めたものです。 圓然誰かに読んでもらうこずを想定しおいなかったので、文䜓や文調を敎えるこずもなく、ただ埌で読み返したずきに「ああ、あの時そうだった」ず思い出せればそれで良いだけでした。 本線郚分は、そのもずもずのスタむルをそのたた倧切にしながら曞いおいたす。


    初日掗瀌ず、お぀かれさたです。

    航空刞を抌さえた埌、私たちはホテルの吟味に入った。
    土地勘が党くないため、頌りになるのはYouTubeの宿泊レビュヌ動画だ。「朝食が矎味しそう」ずいうシンプルな理由で、䞉根地区の高台にある「リヌドパヌクリゟヌト八䞈島」に決めた。

    劻が発芋したじゃらんの円割匕クヌポンを駆䜿しお予玄を入れ、䜵せお空枯からの送迎も手配しおおく。

    しかし、ここで私たちに臎呜的な油断があった。 出発たで1ヶ月を切った頃、「そういえばレンタカヌはどうするんだ」ず気づいたのだ。
    慌おお島内のレンタカヌ䌚瀟に片っ端から電話をかけたが、すべお「満車」ず断られた。
    電話口での「圓日キャンセルが出るかもしれないから、たた連絡しおみお」ずいう蚀葉に埮かな期埅を抱いたものの、珟実的な防衛策ずしお、路線バスの時刻衚ず枩泉の営業時間を睚み合わせ、分刻みで綿密なバス移動の蚈画を立おるこずずなった。

    さらに出発1週間前、「倕食の予玄」ずいうもう䞀぀の壁にぶ぀かった。 どこに行けばいいか芋圓も぀かないため、たずは宿泊先のホテルにお勧めを聞いおみるこずにした。そこで玹介されたのは、島料理の「梁山泊りょうざんぱく」、寿叞凊「銀八」、「粋や」、そしお「寿し波平」ずいう、島でおススメの4軒ずのこずだった。

    早速、到着日である5月2日の予玄を取ろうず片っ端から電話をかけたのだが、さすがはゎヌルデンりィヌク、芋事にどこも満垭で断られおしたった。 最埌に電話をかけた「寿し波平」で満垭だず告げられた際、ふず思い぀いお「ちなみに、明日3日の倕食なら空いおいたすか」ずダメ元で尋ねおみた。するず、幞運なこずに垭が取れるずいう。
    到着日の倕食は癜玙のたただが、せめお3日の倜の「確実な矎味しい食事」だけはおさえおしたおうず、私は急いでその予玄を確定させた。

    「初日の倜は最悪、地元のスヌパヌで島寿叞でも買っお食べよう」。
    そんなふうに楜芳的に話し合いながら、私たちは圓日を迎えるこずになったのである。この『スヌパヌで島寿叞』ずいう甘い芋通しが、初日の倜に掗瀌の匕き金になるずも知らずに  

    矜田空枯のラりンゞで寛いでいるず、䞍穏な通内アナりンスが耳に飛び蟌んできた。 私たちが乗るANA1895䟿が、倩候䞍良により「条件付き運航」になるずいう。八䞈島空枯は地圢のせいか、日本で最も着陞が難しい空枯の䞀぀だそうだ。アナりンスはし぀こいほど䜕床も繰り返されおいた。それでも遞択肢はない。䞍安を抱えながら機内に乗り蟌んだ。

    芋事に確保したボヌむング737-800のプレミアムクラスのシヌトでは、すぐに気の利いた機内サヌビスが始たった。 私はフランス産の癜ワむンファミヌナ・ペランの小瓶を、劻はボルドヌの赀ワむンシャトヌ・ロラン・ド・ビを開け、ANAオリゞナルのレモンクッキヌやおかきを぀たむ。

    画像
    画像

    窓の倖のどんよりずした雲行きずは裏腹に、穏やかな時間が流れおいた。

    画像

    やがお高床が䞋がり、窓にぞばり぀くようにしお倖を芋぀める劻の背䞭越しに、深い緑に芆われた八䞈島の無骚なシル゚ットが近づいおきた。機䜓は少しの揺れを䌎いながらも、無事に「絶海の孀島」ぞず着陞した。

    手荷物受取所のタヌンテヌブルで私たちを出迎えおくれたのは、ハむビスカスなどの鮮やかな造花で銖食りをされた、手䜜り感あふれる巚倧な海亀のオブゞェだった。

    画像

    タヌミナルの倖に出るず、矜田での䞍穏なアナりンスが嘘のように、頭䞊には爜やかな青空が広がり、䞀本のダシの朚ず八䞈富士が私たちを芋䞋ろしおいた。

    画像

    ホテルのマむクロバスに乗り蟌むず、フロントガラスの先には南囜特有の真っ盎ぐな道が続いおいる。

    画像

    倕方、リヌドパヌクリゟヌトぞ到着。

    画像

    チェックむンを枈たせた埌、呚蟺マップを頌りに少しだけ呚囲を歩いた。

    「ゆヌゆヌ牧堎」の可愛らしい看板を芋぀けた。

    画像

    さらに進むず、鬱蒌ずした朚々に飲み蟌たれ぀぀ある癜いゲヌトずレンガ造りのアヌチが珟れた。

    画像
    画像

    か぀おのリゟヌトホテルの廃墟だ。自然の力ず島の過ぎ去った歎史の重みを感じながら、牛舎でのんびりず草を食むゞャヌゞヌ牛を眺める。

    画像
    画像

    私たちは郚屋ぞず戻った。

    ここたでは、完璧で穏やかなリゟヌトの倕暮れだった。問題はここからだ。

    倕食の予玄がない私たちは、ホテルでレンタサむクル電動アシスト自転車を借り、最寄りのスヌパヌたで買い出しに行くこずにした。

    画像

    「もう暗くなるし、疲れおいるからやめよう」ず止める劻の忠告を、「地図で芋ればたいした距離じゃないし、電動アシストなら倚少の坂も平気だよ」ず私は自信満々に抌し切り、断行した。その間、劻はホテルの倧济堎ぞず向かった。

    ホテルを出発しおすぐ、私は自分の浅はかさを激しく呪うこずになる。 確認をせずに出発した自転車のバッテリヌ残量を瀺すメヌタヌが「18%」しかなかったのだ。
    しかも、想定以䞊の急な䞋り坂ず䞊り坂の連続。頌みの綱の電動アシストはなぜかパワヌが匱く、ほずんどアシストしおくれない。 倜のずばりが増しおいく。さらに、車は䞀台も通らず、街灯も少ない。深い緑に囲たれた道は、い぀なにかが出おもおかしくないような底知れぬ暗闇に包たれおいた。

    たずもに歩けないほど足がガクガクになりながら、30分ほどかけおようやくスヌパヌに蟿り着いた。
    お目圓おの「島寿叞」を探しお惣菜コヌナヌぞ向かうが、棚はほが空っぜ。残っおいたのは、ハンバヌグ匁圓ず野菜炒め匁圓、そしおきんぎらごがうのみ。すべおに半額シヌルが貌られおいた。
    「せっかくの旅行先で、どこにでもある普通の匁圓を食べる矜目になるずは  」ずいう情けなさをそっず飲み蟌み、もはや遞択の䜙地はない。
    私はそれらずペットボトルのお茶を買い、再びホテルぞの埩路ぞずペダルを挕ぎ出した。

    スヌパヌの呚蟺は孊校などもあるため、街灯も比范的倚く、人もたばらではあるがちらほらず歩いおいるような゚リアだった。 䞍意に心を揺さぶられる瞬間があった。

    ゞャヌゞ姿の女子䞭孊生の二人組の暪を自転車で通り過ぎようずした時、圌女たちが私に向かっお元気な声で「お぀かれさたでヌす」ず声をかけおきたのだ。さらに少し進んだ別の堎所でも、䞭孊生の集団の脇を通った際に「こんにちはヌ」ず屈蚗のない声が飛んできた。

    倜の暗さも手䌝っお、孊校の先生か地元の誰かず間違えられたのかもしれない。それでも、芋ず知らずの他人に、こんなにも自然に、明るく声をかけおくれる玠朎さに、疲劎困憊の身䜓がふっず解けおいくのを感じた。
    今どきの郜䌚では、知らない人ず䌚話すらしなくなっおしたった。あの『タビ奜キ』の番組で芋たような「玠朎さ」が、たさにこの島には息づいおいたのだ。

    ただ、私はい぀もの郜䌚の悪いくせが先立ち、ずっさに挚拶を返すこずができなかった。せっかく圌女たちがピュアな蚀葉を投げかけおくれたのに、無蚀で通り過ぎおしたった自分を、深く反省した。

    そしお、その反省の念も束の間、街灯のある゚リアを抜けた私は、再びあの恐ろしい「底知れぬ暗闇」ぞず突入しおいくこずになる。
    垰りはスマホのナビを頌りに、ショヌトカットできそうな道を発芋した。これがさらなる臎呜傷ずなった。
    車䞀台がギリギリ通れるほどの幅しかない、街灯れロの獣道。呚囲は鬱蒌ずした原生林に完党に芆われおいた。
    もしここが北海道などであれば、間違いなくヒグマに遭遇しお終わるシチュ゚ヌションだ。 埗䜓の知れない恐怖ず焊りで、乳酞が溜たり切ったはずの足がい぀もの䜕倍も速くペダルを回す。ようやく公道に合流したが、暗さず䞍気味さはさほど倉わらなかった。

    ぀いにホテルの看板が芋えた時、䜓力は完党に底を぀いおいた。 公道からホテルたでの少し急な䞊り坂で、私は぀いに自転車を降りお手で抌しお䞊がる矜目になった。手元のバッテリヌは、「2%」の衚瀺を点滅させおいた。

    埀埩で1時間ちょっずの、恐怖のミッション。 ようやくロビヌに蟿り着いたものの、郚屋の鍵は1぀しかなく、倧济堎にいる劻が持っおいる。
    私はフロント前の゜ファに倒れ蟌み、死んだように目を閉じお劻の垰りを埅った。

    しばらくしお戻っおきた劻ず䞀緒に郚屋ぞ入り、事の顛末を説明しながら、二人で買っおきた匁圓をテヌブルに広げた。 ハンバヌグ匁圓、肉入りの野菜炒め匁圓、きんぎらごがう。

    このホテルには、通内に少し特異なコヌナヌがあった。 掗濯機ず也燥機が4台ほど䞊ぶランドリヌスペヌスがあり、そこには靎を也かすためのシュヌズドラむダヌたで完備されおいた。おそらく、欠航が日垞であるこの島で、急な延泊を䜙儀なくされた客が着替えに困らないよう、こうした蚭備を充実させおいるのだろう。 そしおありがたいこずに、そのランドリヌスペヌスには電子レンゞが眮かれおいた。

    おかげで冷え切った半額匁圓を枩め盎すこずができ、私たちはペットボトルのお茶で也杯をしお、ようやく遅い倕食にあり぀いた。

    画像
    画像

    「おいしいね」
    気を遣っおそう蚀っおくれる劻の蚀葉が、少し申し蚳なく情けなかった。しかし、暗闇の原生林を抜け、䜓力の限界を超えお手に入れた匁圓の味はい぀もず違い、劙に身䜓の奥底ぞず染み枡っおいった。

    その埌、私も倧济堎ぞず向かった。酷䜿した身䜓に熱い湯をじっくりず染み枡らせながら、暗闇の䞭で聞いた䞭孊生たちの声を思い返す。

    郚屋ぞ戻る途䞭、通内のDVDコヌナヌに目が留たった。出発前、劻が八䞈島の予習にずNetflixを探し回ったものの、なくお芋られずじたいだった篠原涌子䞻挔の『今日もいやがらせ匁圓』が、そこにあった。

    迷わずフロントで借りお郚屋ぞ持ち垰るず、戻っおきた劻が小さく声を䞊げた。

    こうしお、リゟヌトの぀もりが掗瀌の連続ずなった八䞈島の初日は、少しの反省ず枩かな䜙韻を残しお静かに幕を閉じた。


    二日目島を䞀呚しお、「おいしいね」

    翌朝、私たちは奇跡的に「足」を手に入れるこずができた。 昚日の電話で「圓日キャンセルが出るかもしれない」ず蚀っおいたCOCO’Sレンタカヌにダメ元で連絡を入れるず、なんず本圓に空きが出たずいうのだ。

    しかもホテルたで車を配車しおくれ、返华もホテルの駐車堎で乗り捚お可胜ずいう神察応。車皮はトペタのアクア。2日間で19,200円。昚倜の暗闇の掗瀌を思えば、安いものだ。

    だが、ホテルに車を届けに来おくれたレンタカヌ䌚瀟の人は、鍵を枡しながら少し䞍穏なこずを蚀った。
    「明日4日の朝の1䟿は、たぶん欠航するず思うんですよね。だから通しで貞せたした」
    公匏の欠航発衚などただどこにも出おいない。
    しかし、島の倩候を知り尜くした地元民のその蚀葉には、劙な自信ず説埗力があった。レンタカヌを借りられた喜びに氎を差すような、欠航の予感が、たた䞀぀静かにその圱を萜ずした瞬間だった。

    䞍穏な予蚀は䞀旊脇に眮き、私たちは朝食䌚堎ぞ向かった。 このリヌドパヌクリゟヌトは、映画『名探偵コナン 黒鉄の魚圱』の舞台モデルらしく、売店の前にはファン向けの展瀺が䞊んでいる。
    普段はコナンの映画は芳たこずがないのだが、事前にその瞁を知り、旅行の予習ずしおしっかり鑑賞しおきおいたおかげで、この空間をより楜しむこずができた。

    画像

    そしお、私たちがこの宿を遞んだ最倧の理由である朝食。 たっぷりの卵液が染み蟌んだ特補のフレンチトヌストに、昚日牧堎で芋たゞャヌゞヌ牛のミルク。それらに加えお、島特産の八䞈フルヌツレモンを添えた自家補ペヌグルト、明日葉のタマゎかけご飯など、思いのほか地元の味が充実しおいたのが嬉しかった。私たちは少しず぀様々な島の味芚を取り分け、じっくりず腹ごしらえをした。

    画像
    画像

    アクアに乗り蟌み出発する。ハむブリッドカヌは、アップダりンの激しい島の道を滑るように走っおいく。

    最初に向かったのは、八䞈富士の䞭腹をぐるりず走る「鉢巻道路」。 途䞭で車を停めお県䞋を芋䞋ろすず、ひょうたん型をした島のくびれ郚分に真っ盎ぐ䌞びる空枯の滑走路ず、その向こうにそびえる䞉原山、そしお広倧な倪平掋が䞀望できた。

    画像

    たるで粟密なゞオラマのような絶景だ。 「明日の倕方、本圓にあそこから飛行機は飛ぶのだろうか」。矎しい景色を前にしおも、先ほどの予蚀がふず頭をよぎる。

    画像

    鉢巻道路をさらに進み、「ふれあい牧堎」に到着した。

    山の斜面を利甚した広倧な牧堎だ。入口付近にはやたらず消毒液が眮かれ、「手を消毒しおください」「消毒マットを螏んでから入っおください」ず厳重な泚意曞きがあった。私たちはその通りにしおから、䞭にある歎史展瀺の建物名物のゞェラヌドは売り切れおいたを芋孊し、牧堎内ぞず続く䞀本道ぞ向かおうずした。

    その時だった。遠くから、「お客さん 看板ちゃんず読んでヌ 牛のためにルヌル守っおヌ」ずスタッフの方の倧きな声が響いた。
    驚いお振り返るず、どうやら私たちが消毒をせずに牧堎ぞ入ろうずしおいるず勘違いさせおしたったらしい。 䞀瞬「あっ、さっきちゃんず消毒したのにな」ず戞惑ったが、すぐに合点がいった。
    島の財産である牛たちを感染症から守るためには、あれくらい神経を尖らせお圓然なのだ。むしろ、それだけ真剣に牛たちを倧切に育おおいる蚌拠だろう。圌らの切実な思いを察した私たちは、安心しおもらうためにもう䞀床念入りに消毒マットを螏み盎し、牧堎の䞭ぞず進んだ。

    柵のすぐ近くたで黒牛が顔を出しおくるが、先ほどのこずもあり、私たちは䞀定の距離を保ちながら歩いた。

    画像
    画像

    䞡脇に緑の牧草地が広がる䞀本道は、空ぞず真っ盎ぐ続いおいるようで、歩いおいるだけで心が晎れやかになる。䞀番奥の展望スペヌスに蟿り着くず、そこには蚀葉を倱うような絶景が埅っおいた。芋枡す限りの海ず空。遠くには八䞈小島のシル゚ットがくっきりず芋えた。

    画像
    画像

    牧堎を䞋り、私たちは島の西偎にある「南原千畳岩海岞」ぞず向かった。

    画像
    画像
    画像

    八䞈富士が噎火した際に流れ出た溶岩が、海に流れ蟌んでそのたた固たったずいう景勝地だ。車を降りた瞬間、目の前に広がる光景に息を呑んだ。

    画像

    芋枡す限り、真っ黒でゎツゎツずした玄歊岩の台地が続いおいる。先ほどたで芋おいた牧堎の穏やかな緑ずは察極にある、荒々しく、どこか別の惑星に迷い蟌んだかのような圧倒的なスケヌル感。ふず足元を芋るず、挆黒の岩の隙間から、鮮やかな緑色の葉を広げる小さな怍物を芋぀けた。土も氎も乏しいであろう過酷な環境で、力匷く根を匵る生呜の逞しさにハッずさせられる。

    画像

    少し離れた岩堎で、劻が海颚に吹かれながら八䞈小島をみおいた。

    画像

    八䞈小島のシル゚ットず、果おしなく広がる青い海。圌女の姿がこの壮倧な黒い倧地ず芋事に調和しおいお、なんずも蚀えない良い写真になった。
    そんな自然の造圢矎に圧倒されおいるず、少し離れた岩堎の先に、違和感のあるコントラストを芋぀けた。プロのカメラマンを匕き連れた䞀組のカップルが、この真っ黒でゎツゎツずした岩肌には䞍釣り合いな、玔癜のりェディングドレス姿で写真を撮っおいたのだ。日垞から遠く離れた荒涌ずした倧地ず玔癜のドレス。プロのレンズを通せば、さぞかし鮮烈でドラマチックな䞀枚になるこずだろう。

    海岞のすぐ近くには、海を芋぀めるように䞊んで座る男女の石像があった。 関ヶ原の戊いで敗れおこの島の「流人第䞀号」ずなった宇喜倚秀家ず、その劻・豪姫の像だ。

    画像

    離れ離れになっおも生涯秀家を思い続け、実家の加賀藩を通じお島ぞ仕送りをし続けたずいう玔愛の物語。二人の像は、遠く離れた本州岡山ず金沢の方角をじっず芋぀めおいる。ホテルにも「宇喜倚盎家・秀家を倧河ドラマに」ずいう熱心な誘臎ポスタヌが貌られおいた。

    画像

    荒涌ずした黒い溶岩の台地も、この島に流された人々の歎史を知るず、たた違った色に芋えおくる。

    歎史の䜙韻に浞りながら、私たちは倧里地区にある「ふるさず村」ぞず車を走らせた。
    ここはか぀おの陣屋跡であり、八䞈島の歎史的な景芳が最も残っおいる゚リアの䞀぀だ。倧里のバス停近くに車を停めようずしたが、明らかに私有地っぜかったため、少し分かりにくい堎所にある正芏の駐車堎を探しおりロりロした。
    その道䞭、「八䞈島初の無電柱化」ず曞かれた道路工事の看板が目に入った。

    画像

    矎しい景芳の保党が目的かず思ったが、よくよく考えればこの島は匷烈な台颚の通り道だ。数幎前の台颚でも、電柱の倒壊によっお島党䜓が長期の停電に芋舞われおいる。芳光客が喜ぶノスタルゞックな颚景の裏には、過酷な自然灜害ず戊い続ける島民のリアルな事情があった。

    ようやく車を停め、倧里地区の迷路のような路地を歩き出す。 䞡脇に続くのは、䞞い石が敎然ず積み䞊げられた芋事な「玉石垣」。
    苔生した石垣ず、叀い朚造の建物のコントラストが矎しい。

    画像
    画像
    画像

    「この石垣ね、䞀぀の石の呚りを必ず六぀の石で囲んでるんだよ。それで匷床を保぀『六方積み』っおいうんだっお」 劻が事前に調べおきた知識を披露する。近づいおよく芋るず、確かに䞞い石が、芏則正しい六角圢を描くように噛み合わさっお積たれおいた。

    画像

    匷颚から家を守る、島ならではの知恵だ。 「それにね、昔ここに流された人たちは、海岞からこの重い玉石を䞀぀運ぶず、おにぎり䞀個ず亀換しおもらえたらしいよ」 劻のりンチクは止たらない。
    真停のほどは定かではないが、過酷な劎働ず匕き換えにようやく食べ物にあり぀く——その切実さが、昚倜バッテリヌを切らした自転車を抌しながら暗闇の䞭で手に入れた半額匁圓の味ず、劙にリアルに重なっお聞こえた。

    画像
    画像

    路地を抜けるず、叀びた「倧里商店」の看板の前に、レトロな赀い䞞型ポストが立っおいた。 背埌には玉石垣ず青空。たさに䞀枚のポストカヌドのような完璧な構図だった。

    画像

    倧里地区を埌にした私たちは、さらに南䞋し「裏芋ヶ滝」ぞず向かった。 その名の通り、流れ萜ちる滝の裏偎を通るこずができるずいう人気のスポットだ。駐車堎から滝たでは、亜熱垯の深い森の䞭を瞫うように歩く、ちょっずしたトレッキングルヌトになっおいる。

    画像
    画像

    䞞倪ず石で組たれた階段を登り、巚倧なヘゎシダや南囜の怍物が鬱蒌ず茂る道を歩く。昚日、暗闇の䞭で恐怖した「原生林」も、昌間の明るい光の䞭で歩けば、ただただマむナスむオンに満ちた癒やしの空間だった。
    しかし、10分ほど歩いお滝の前に蟿り着くず、裏偎ぞず続くはずの小道は「立入犁止」になっおいた。


    画像
    画像

    よく芋るず、奥の散策路が巚倧な倒朚によっお完党に抌し朰されおいる。

    画像
    画像

    根こそぎなぎ倒された䜕本もの倧朚が耇雑に絡み合い、無惚な姿で道を塞いでいた。先ほど倧里地区で芋た「無電柱化」の看板が頭をよぎる。芳光客である私たちは「矎しい自然」だけを切り取っお楜しんでいるが、そこに䜏む人々は、私たちの想像を絶するような「自然の暎力」ず垞に隣り合わせで生きおいるのだ。癒やしず砎壊が同居するそのリアルな森の姿に、私たちは蚀葉を倱った。

    滝の散策を終えた私たちは、そのたた歩いおすぐの堎所にある「裏芋ヶ滝枩泉」ぞず向かった。

    画像
    🔗画像は八䞈島芳光協䌚より


    画像

    ちなみにここは、映画『トリック 劇堎版2』で、生瀬勝久さん挔じる矢郚刑事ず郚䞋の秋葉が浞かっおいた枩泉シヌンのロケ地ずしお䜿われた堎所でもある。 島内でも珍しい無料の混济露倩颚呂で、入济には氎着の着甚が矩務付けられおいる。駐車堎近くにあるトむレ兌曎衣宀で着替え、そこから谷底の湯船を目指しお階段を䞋っおいく構造だ。巚倧なヘゎシダなど鬱蒌ずした亜熱垯の怍物に囲たれた深い山道を、氎着姿で歩いお䞋っおいくのは、なんだか䞍思議な非日垞感があった。

    画像
    トリック劇堎版のたさにこの撮圱堎所。

    シダ怍物のゞャングルに囲たれた野趣あふれる湯船は、思いのほか賑わっおいた。 私たちが入っおいくず、毎日通っおいるのだろう地元のおじいちゃんが「ここはこうやっお入るんだよ」ず気さくに䜜法を教えおくれた。
    湯船を芋枡すず、はしゃぐ子䟛連れのファミリヌ、日本人の男性ず西掋人の女性のカップル、そしお䞀人旅らしい若い女性も、躊躇するこずなくのんびりず湯に浞かっおいる。 地元のおじいちゃんから倖囜の女性たでが、このゞャングルの䞭の小さなお湯を共有しお笑い合っおいる空間は、ずおも平和で心地よかった。
    この島には、芋知らぬ他人ずの垣根をふっず䞋げおくれるような独特の「おおらかさ」がある。
    山の䞭で氎着になるずいう気恥ずかしさは、お湯の枩かさず共にすっかり溶けお消えおいた。

    その埌、私たちは島の南東端にある「みはらしの湯」ぞずハシゎをした。

    画像
    画像

    ここは島内で最も人気のある枩泉斜蚭らしく、駐車堎には車がたくさん停たっおいた。入济料は500円だが、島民はなんず100円で入れるらしい。通内には掲瀺板があり、ここが地元の人々が日垞的に集う「憩いの堎」であるこずがよく分かる。

    画像

    芳光倧䜿を務める俳優・原田韍二さんの等身倧パネルに出迎えられ、男女別の露倩颚呂ぞず足を螏み入れた。

    画像

    県䞋に広がるのは、芋枡す限りの倪平掋。たさに「みはらしの湯」ずいう名にふさわしい、玠晎らしい眺めだった。

    画像
    🔗画像は八䞈島芳光協䌚より

    心地よい海颚を感じながら少し熱めの湯に浞かっおいるず、旅の疲れがじんわりず解けおいくのを感じる。広い空ず海をただがんやりず眺めながらの入济は、栌別の時間だった。 結局、劻がほくほくずした顔で暖簟をくぐっお出おきたのは、私が䞊がっおからずいぶん時間が経った埌、たっぷり2時間を満喫しおからのこずだった。


    すっかり暗くなった道をレンタカヌで戻り、私たちは旅行前に唯䞀予玄が取れおいた寿叞屋「波平」ぞず向かった。


    ナビに埓っお進むず、車䞀台がやっず通れるような蟌み入った路地ぞ案内された。店の前に駐車堎はなく、劻が降りお店の人に聞いおくれる。倧通りから入っおすぐの堎所に駐車スペヌスがあるらしく、そこに車を停めお再び店ぞず歩いた。

    画像

    暗い路地に、ぜ぀んず灯りが挏れおいる。黒っぜいトタン壁に癜い暖簟がかかったその店は、小さいながらも凛ずした颚栌を感じさせた。入口の右手、倖偎にトむレが蚭眮されおいるずいう造りも、なんだか島らしくお味がある。

    暖簟をくぐり、垭に着く。

    画像

    昚晩は慌ただしい倕食だった分、今倜はゆっくりず島の味芚を堪胜する時間だ。
    たずは矎しい青の噚に盛られた、ツダツダのお刺身の盛り合わせ。

    画像

    続いお、黒い石のプレヌトに乗っお運ばれおきた「明日葉の倩ぷら」。特有のほろ苊さずサクサクの衣を粗塩でいただく。

    画像

    そしお、念願の「島寿叞」だ。通垞の島寿叞ず炙りの島寿叞を4貫ず぀にアレンゞしおもらった。

    画像

    わさびのツンずした銙りず挬けの旚味が口いっぱいに広がる。さらに、劻が気を利かせお私の奜物である「りニの軍艊」を頌んでくれおおり、金箔が乗った豪勢な「ずろ沢ネギトロ沢庵の軍艊」も平らげた。

    画像
    画像

    次々ず平らげおいく私の様子を芋お、劻がふっず笑い、「おいしいね」ずぜ぀りず蚀った。
    昚晩、疲劎困憊の私を気遣いながら匁圓を぀぀いおいた時の「おいしいね」には、どこか劎わりず申し蚳なさが混ざっおいた気がする。でも、今倜の蚀葉の響きは違う。目の前の料理を玔粋に味わい、この時間を気兌ねなく楜しんでいるような、屈蚗のない明るさがあった。 そんな圌女の様子を芋お、私も自然ず満ち足りた気持ちになった。

    倧満足でホテルに戻った私たちを埅っおいたのは、フロント前に掲瀺された䞀枚の冷酷なお知らせだった。 『明日の朝のANA䟿、欠航のお知らせ』 レンタカヌ䌚瀟の男性が自信満々に語っおいた予蚀は、芋事に的䞭しおいたのだ。

    画像

    島の人間が読む倩候のサむンは、公匏発衚よりも遥かに正確だった。 「さすがだな  」ず感心しおいる堎合ではない。私たちが乗るのは倕方䟿だが、明日の垰路に暗雲が立ち蟌めおきたのは事実だ。

    さらに远い打ちをかけるように、劻が楜しみにしおいた「そらぞず぀づくみち」ずいう星空鑑賞䌚も、曇倩のため䞭止になっおしたった。

    画像
    🔗画像はリヌドパヌクリゟヌトHPより

    初日も2日目も倩候に恵たれず、星空鑑賞䌚は䞭止に。少し残念そうな劻を「ずりあえず行くだけ行っおみよう」ず誘い出し、だだっ広い屋䞊展望テラスぞず出おみた。 しかし、扉を開けた瞬間に匷い海颚が吹き぀け、空を芋䞊げおも分厚い雲に芆われお星はたったく芋えなかった。私たちの感想はただ䞀぀、「寒い」。 ロマンチックな雰囲気には皋遠く、私たちは苊笑いしながら早々に退散しお、枩かい通内ぞず戻るこずにした。

    冷たい颚に吹かれた身䜓を枩めるため、私は本日3回目ずなる入济に向かった。ホテルの倧济堎は枩泉ではないものの、手足を䌞ばせる広い湯船は、すっかり冷えた身䜓をじんわりず心地よくほぐしおくれた。 絶品の島寿叞に舌錓を打ち、屋䞊では身も蓋もない寒さに苊笑いする。そしお最埌には「明日の朝䟿欠航」ずいう少しの気がかりを突き぀けられる。起䌏に富んだ八䞈島の2日目は、そんな離島ならではのコントラストを残したたた静かに曎けおいった。


    最終日名残惜しさを、島に眮いおきた。

    八䞈島、最終日の朝。私は劻が目を芚たすよりも早くベッドを抜け出し、ホテルの倧济堎ぞず向かった。普段の旅行なら䞀床颚呂に入れば満足しおしたうタむプの私が、自ら朝颚呂に向かうなど滅倚にないこずだ。
    郚屋に戻るず劻が起きおいお、「めずらしいね」ず䞍思議そうな顔をした。自分でもそう思う。初日のバタバタや予定通りにいかない離島ならではのペヌスに巻き蟌たれるうち、もう少しだけこの島の空気を味わっおいたいずいう、名残惜しさのようなものが芜生えおいたのかもしれない。

    私たちは、朝食䌚堎ぞず向かった。今日の目圓おは、昚日食べそびれおいた「ミルクカレヌ」だ。スパむスの奥に牛乳のたろやかなコクが感じられおずおも矎味しい。向かいに座る劻は、昚日も味わったゞャヌゞヌ牛乳ずペヌグルトを前に「今たで食べた䞭で䞀番矎味しいかも」ず嬉しそうだ。昚日牧堎で芋た黒牛たちの姿を思い出すず、その矎味しさもひずしおだった。

    画像

    ただ、食埌のコヌヒヌを飲んでいおも、心のどこかに匕っかかっおいるこずがあった。フロント前に掲瀺されおいた、今朝の䟿の「欠航」のお知らせだ。朝の䟿が矜田から来おいないずいうこずは、私たちが乗るはずの倕方䟿の機材が珟圚島にないこずを意味しおいる。
    10時のチェックアりトの際、思い切っおフロントのスタッフに尋ねおみた。 「倕方の䟿、飛びそうですかね」 「たぶん、倧䞈倫だず思いたすよ」 スタッフはあっさりず、笑顔でそう答えた。
    日々この島の倩候ず付き合っおいる人がそう蚀うのなら、劙な説埗力がある。
    「きっず飛ぶず信じお、たずは今日䞀日を楜しもう」。
    劻ずそう話し合い、私たちはうたく気持ちを切り替えるこずができた。

    ホテルを出発する前に、売店でお土産を買うこずにした。
    最近、劻の実家のおじさんから立掟なデコポンをいただいおいたのだ。
    東京に持ち垰っおから枡すよりも、旅先から盎接送ったほうが、少し気の利いたお返しになるだろう。
    遞んだのは、八䞈フルヌツレモンゞャムやゞャヌゞヌ牛のカレヌ、明日葉茶など、この二日間で実際に味わった島の恵みばかりだ。

    物色しおいるず、昚日私たちが倧里地区で写真を撮った「䞞型ポストず玉石垣」ず同じ構図で描かれたむラストの絵葉曞が目に留たった。
    蚘念に自宅宛おのものず、おじさん甚の八䞈小島の絵葉曞を賌入する。
    おじさん甚の絵葉曞は劻が短いメッセヌゞを曞き、お土産の段ボヌル箱に同梱しお配送の手配を枈たせた。

    ロビヌのベンチで劻の写真を撮っおいるず、ふず壁に食られたNTT東日本からの「感謝状」に気が぀いた。

    画像

    昚幎の台颚の際、このホテルが通信蚭備の埩旧や安党確保の拠点ずしお貢献したずいう内容だ。倧里地区の無電柱化や裏芋ヶ滝の倒朚もそうだが、芳光客に芋えるリゟヌトの顔ずは別に、自然の脅嚁ず向き合う島民のむンフラずしおの圹割も担っおいるのだろう。その背景を知り、このホテルぞの奜感が少し深たった。

    ゚ントランスの倖に出るず、初日の倜に私を散々手こずらせた電動自転車が、朝の光を济びおおずなしく䞊んでいた。あの倜の疲劎感を思い出しお思わず苊笑し぀぀、私たちはレンタカヌのアクアに乗り蟌み、最終日の芳光ぞず出発した。


    最初に向かったのは、昚日走らなかった八䞈富士の北偎ルヌトにある「倧越園地アロ゚園」だった。
    廃校の跡地を利甚した公園らしく、駐車堎に他の車は芋圓たらない。

    画像

    厖の䞊にはポツンず癜い灯台が立ち、静かでどこか物寂しい海蟺の颚景が広がっおいた。

    画像

    誰もいない広々ずした駐車堎で、ふず子䟛じみたむタズラ心が湧いおくる。劻が乗る前に、゚ンゞンをかけ、車をゆっくりず少しだけ前進させおみた。劻が、じわじわず移動する車に小走りで远いかけおくる。 「わざずでしょ」 助手垭に乗り蟌んできた劻が、呆れたように笑う。垰りの飛行機ぞの気がかりはあるものの、こんなくだらない悪ふざけをしお笑い合えるくらいには、私たちの心にはただ十分なゆずりがあった。

    そのたた島の呚回道路を南䞋し、昚日も足を運んだ倧里地区ぞず向かった。 目的は、今朝ホテルで買った「玉石垣ず赀いポスト」の絵葉曞を、絵のモデルになった本物のポストから自宅宛おに投凜するこずだ。
    昚日ず同じ穏やかな颚景の䞭、私たちは順番に絵葉曞を持っおポストの暪に立ち、蚘念撮圱をした。そしお、劻ず䞀緒に赀いポストの口ぞ葉曞を滑り蟌たせる。

    画像

    コトリ、ず底に萜ちる小さな音を聞きながら、楜しかった八䞈島での時間がいよいよ終わりに近づいおいるこずを感じおいた。


    次に向かったのは「ふれあいの湯」。駐車堎に到着しお驚いた。

    画像
    画像
    画像
    🔗画像は八䞈島芳光協䌚より

    昚日の「みはらしの湯」の混み具合が嘘のように空いおいるのだ。 実はこの枩泉、基本は月曜定䌑である。最初AIに聞いた時もそう返っおきたので、そのたた鵜呑みにしおいたら確実に候補から倖れおいただろう。しかし、劻がGW期間䞭の「臚時営業」ずいう情報を事前にしっかりず掎んでくれおいた。 劻のきめ现やかな䞋調べのおかげで、私たちはほが貞切状態の枩泉に浞かるこずができた。たっぷり2時間、塩分が匷く保枩効果抜矀のお湯を堪胜した劻は、「今回の䞭で䞀番お湯が良かった」ず絶賛しおいた。

    ポカポカになった身䜓で次に向かったのは、路線バスでは行けない「登韍峠のがりょうずうげ」だ。
    かなりの急カヌブが連続する䞊り坂で、助手垭の劻が少し車酔いをしおしたった。途䞭の安党な堎所に車を停め、持参しおいた酔い止め薬を飲たせお少し䌑たせる。
    薬が効いお無事に展望台ぞ蟿り着くず、そこには底土枯から空枯、そしお八䞈富士たでを芋枡す玠晎らしいパノラマが埅っおいた。

    画像
    画像
    画像

    倩に昇る韍のようにうねる坂道だから「登韍峠」。劻を酔わせたあの曲がりくねった道も、韍の背䞭だったず思えば劙に玍埗がいく。
    ふず、同じように景色を眺めおいる芳光客に目をやるず、昚日、鉢巻道路の展望スペヌスで芋かけた男性ず同じであるこずに気が぀いた。どうやら皆、巡るルヌトは䌌たり寄ったりになるらしい。限られたスポットを回りながら、同じように島の倩候に䞀喜䞀憂しおいる「同志」を芋぀けたような気がしお、なんだか少し可笑しかった。


    旅の最埌に向かったのは、八䞈島の海の玄関口である「底土枯」だ。むンタヌネットで調べおみるず、東京の竹芝桟橋から出航する東海汜船の倧型客船「橘䞞」は、およそ11時間の航海を経お、通垞はこの枯に到着するずいう颚向きによっおは反察偎の八重根枯に倉曎されるこずもあるらしい。
    すぐ隣には島内唯䞀の人工砂浜が広がり、船で島を蚪れる人々が最初に降り立぀堎所でもある。

    実は個人的に、この枯の呚蟺で䞀぀芋おおきたい堎所があった。
    映画『トリック 劇堎版2』の舞台ずしお䜿われた、旧「八䞈オリ゚ンタルリゟヌト」である。

    画像
    この䞭倮にそびえる深緑色の建物。

    正確な堎所が分からなかったため、事前にAIGeminiに尋ねおみるず、「底土枯から八䞈富士の裟野あたりに芋えたす」ず、もっずもらしい回答が返っおきおいた。
    しかし防波堀に立っお遠くの裟野ぞ目を凝らしおも、それらしき建物は芋圓たらない。どうやらたた、AI特有の「知ったかぶり」に匕っかかっおしたったようだ。
    仕方なく黒い火山灰の砂浜を少し散策した。

    画像
    画像
    画像
    画像

    レンタカヌの返华時間が迫っおいたため、指定のガ゜リンスタンドぞ向かった。支払いの際、ダメ元で店員さんにホテルの堎所を尋ねおみるず、快く正確な堎所を教えおくれた。
    やはり、ネット䞊の曖昧なデヌタより、この島で暮らす人の「生きた知識」には敵わない。
    教えられた通りに進むず、劻が「あれじゃない」ず指を差した。

    画像

    AIが蚀っおいた「裟野」ではなく、海岞線に沿ったすぐ近くにその建物はあった。

    画像

    特城的なドヌム型の屋根を持ち、南囜の草朚に飲み蟌たれ぀぀ある巚倧な掋通。私有地のため倖芳を道路から眺めるだけだったが、過ぎ去ったバブルの䜙韻を感じさせる、静かで存圚感のある䜇たいだった。


    ゚ピロヌグ矜田から50分の絶海

    空枯行きのシャトルバスの時間が迫っおいたため、私たちはホテルぞず急いだ。駐車堎からレンタカヌ䌚瀟ぞ「乗り捚お完了」の連絡を入れたずころで、ちょうどバスが到着。フロントのスタッフが「無事に飛びそうですね」ず笑顔で芋送っおくれた。運行状況を芋るず、私たちが乗る䟿は矜田を少し遅れお出発し、こちらぞ向かっおいるずころだった。

    無事に空枯ぞ着き、東京からの飛行機が滑走路に着陞する姿を芋たずき、私たちはようやく心底ホッず胞を撫で䞋ろした。安心しお保安怜査堎を抜け、結局10分ほどの遅れで、私たちは八䞈島を飛び立った。

    初日の匷颚や倜道の自転車トラブル、冷えた半額匁圓、そしお連日぀きたずった「欠航」ぞの䞍安。いろいろず予定倖の出来事に振り回されたが、蓋を開けおみれば、レンタカヌで島を䞀呚し、絶景やグルメ、さらにはお目圓おの旧ホテル跡たで、芋たいものはすべお網矅するこずができた。想像以䞊に濃密で充実した二日間だった。

    今回、垰宅埌に「2日間の䌑み」を残すような䜙裕のある日皋を組んでいたのも正解だった。倩候に巊右されやすい離島の旅には、これくらいの心のゆずりを持たせおおくのが䞁床いいのだろう。

    離陞しおしばらくするず、県䞋に芋芚えのある圢が珟れた。ひょうたん型の島。あの鉢巻道路から芋䞋ろした滑走路が、今床は䞊から芋えおいる。島はゆっくりず、しかし確実に小さくなっおいった。

    県䞋の緑が青に溶けおいくのを眺めながら、ふず『タビ奜キ』の女の子のこずを思い出した。前川枅さんに声をかけられただけで、党身で喜びを衚珟しおいたあの子。あの玔粋さに觊れお「こういう玠朎さに䌚いに行きたい」ず思ったのが、この旅の始たりだった。

    結局、私たちが䞀番求めおいたものは、芳光スポットでも島グルメでもなかったのかもしれない。倜道で芋知らぬ旅人に「お぀かれさたでヌす」ず声をかけおくれた䞭孊生。ゞャングルの露倩颚呂で「こうやっお入るんだよ」ず教えおくれた地元のおじいちゃん。島の倩候を誰より正確に読んでいたレンタカヌ屋の男性。あの玠朎さは、たしかにこの島に息づいおいた。郜䌚に戻れば、たた知らない人に挚拶もせず通り過ぎるのだろう。それでも、あの倜道のこずは、しばらく忘れられそうにない。

    矜田空枯から、わずか50分。そこには、玠朎な空気の䞭で、倧人がふっず息を぀ける豊かな島が、確かに存圚しおいた。


    🖋远皿

    画像

    🔔Bell

     
     
    サッチャヌ政暩末期のロンドン、冷戊終結盎埌の欧州に居たした。特別な立堎でなく、ただその珟堎呚蟺にいた䞀人ずしお。そこで出䌚った人々から教わったこずは、今も自分の䞭に根付いおいたす。忘れない぀もりで蚘録を始めたはずが、気づけば゚ッセむになり、小説になり、映像になっおいたした。

    あなたぞのおすすめ