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終わりをもたらす者たち 

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     急激に高たる熱気ず殺気。いたすぐ殺し合いでも始たりかねない圧力がその堎に充満した。

    〈テメェらは虐殺の䜿埒。血の神アゎスがお䌞ばしになる無数の手のひず぀だッッ いいか、手はグダグダ蚀い蚳なんざ䞊べ立おねえ 逆らう奎は殺せ 逆らわねえダツも殺せ テメェらは無敵の神の嚁をこの䞖に蠢いおるヒョロ぀いたカスどもに瀺さなきゃならねえ〉

     オヌクらしからぬ、宗教的な修蟞も亀えた錓舞。比喩の抂念を理解できるほどの頭脳をもったオヌクは䞀郚だけであったが、䜕か凶暎な熱を盎接脊髄に叩き蟌たれるように、すべおのオヌクが絶叫を䞊げおそれに応えた。鉄の倧戊斧や粗雑な鎧が打ち鳎らされ、アゎスの埡名が隒々しく連呌される。
     倧戊鎌を掲げた巚躯のオヌクは、それらに倍する倧声で唱えた。

    〈アゎス 殺戮の神 無限にしお無敵なる者 この䞖を噛み砕きすべおの血を飲み干す終焉の咢 我らに啓瀺を授けたたえ〉

     瞬間。
     ありえざるこずが起こった。
     倧将ず呌ばれたオヌクの䞊背から、淡く発光する煙のようなものが䞊がり始めた。
     それは生きおいるかのように枊巻き、倉圢し、やがおあたりにも巚倧なひず぀の圱を圢䜜った。
     肩幅が混沌飛竜の二倍にも達する、実物よりも圫りが深く凶悪な面持ちの、オヌクの姿であった。だが、その倪く長い腕は䞉察六本぀いおおり、口から生える牙の数も遥かに倚かった。その衚皮のそこかしこには、䜕か出来物のような球状の盛り䞊がりがあった。それが䜕なのかは刀然ずしない。
     半透明の像であったが、その造圢の生々しさ、迫力は、地䞊のオヌクたちに恐怖ず熱狂をもたらした。
     地を揺るがさんばかりに唱えられるアゎスの埡名。

    〈アゎスよ 我らに道を 血塗れの道を瀺したたえ〉

     するず、オヌクの巚神は腕を差し䌞ばし、苔むした地面に暪たわっおいる倒朚の䞀぀を掎んだ。
     そしお――持ち䞊げる。
     ただの虚像ではない。アゎスは実圚し、珟実に力を及がしうるのだ。
     血の神アゎスはもう䞀本の手を倒朚に近づけるず、五指に怍わった犍々しい鉀爪を擊り合わせた。
     たちたち火花が散り、匕火。冷静に考えおあり埗ない速床で倒朚が燃え䞊がり、巚倧な束明ず化した。生朚ではなく、デモンストレヌションのために甚意した也燥朚材だ。
     燃え盛る炎を、芋せ぀けるように掲げるアゎス。

    〈芋たかテメェら 朚の䞊に匕き籠っおいる 燃やせ 燃やし尜くせ これは聖火だ オレたちの前に立ちふさがるク゜邪魔な森を燃やせ 焌き尜くせ ヒョロガリどもを隠れ堎所から燻りだしおやれ わかったかァ〉

     蚀葉ず共に、燃え盛る朚が蜟音ず共に地面に突き立おられ、炎の柱ず化す。

    〈枯れ枝もっおこい 党員で攟火したくれ 焌き殺せ 灰も残すな 殺せ殺せ殺せ〉

     応えるように䞉癟䜓は䞀斉に咆哮を䞊げ、バラバラに散っお行った。
     埌には、黒き鎧をたずった巚躯のオヌクだけが残された。
     圌の背埌に聳え立぀巚神は、珟れた時ず同じく、煙のように姿が厩れ、霧散しおいった。

    「  盞倉わらず芋事な煜動の手腕だな、ノォルダガッダ」

     そこぞ、声がした。
     䜎く、深く、そしおどこか枯れ果おた声だった。
     盎埌、ノォルダガッダず呌ばれたオヌクの王の前に、ひず぀の圱が応然ず姿を珟した。
     青癜い䞍浄の幻炎が立ち䞊ったかず思うず、人型に収束し、実䜓化したのだ。
     長身の、男。
       異様な人物である。
     オヌクではない。ほっそりずした䜓栌だ。しかし貧匱な印象はない。むしろ人族基準で蚀えば魁倷ず蚀っお良い。
     芋る者の心胆を凍結させるような、深く深く絶望的な負の瘎気が、その者の肉䜓を䌝っお地面に這い広がっおゆく。絶察零床の炎ずでも呌ぶべきその気䜓が觊れた箇所の苔が、芋る間に倉色し、枯れ果おおいった。
     終わっおしたった者――極めお高䜍のアンデッドであるこずは明癜であった。
     頭郚は鉄仮面によっお完党に芆い尜くされおいる。偎頭郚からねじくれた角の生えた、犍々しい意匠だった。その埌ろから、灰色の長髪が䌞びおいる。
     バむザヌから、熟火のごずき県光が芗いおいた。
     犍々しい王様の染め蟌たれた暗灰色の衣をたずい、闇色のマントを矜織っおいた。だが、召し物の邪悪さは、かえっおその人物の高貎さを浮き圫りにする圹割を果たしおいた。事実、ダヌク゚ルフの祀将であるこずを瀺す、竜の頭骚を加工した肩圓おを身に付けおいる。かの黒き゚ルフの瀟䌚においお、死霊術は犁忌でも䜕でもない。むしろ高䜍アンデッドずしお、意識を残したたた氞遠の存圚ずなるこずは、ひず぀の到達点ですらあった。
     立ち䞊がり、歩みを進める。ただそれだけの動きからも、男が生前、極めおやんごずなき血を受け継いだ貎人であったこずが芋お取れた。生来の高貎さに加え、恐ろしく長い人生を匂わせる重厚な貫犄。所䜜の端々に宿る気品ず嚁颚は、盞手が人族ならばそれだけで魂を打ち抜かれ、その堎に跪きたくなるであろう。
     だが――もはや暎力的なたでのカリスマも、オヌクに察しおは効きが薄いようだった。

    「ダロヌどもは頭の぀くりが簡単ダ。どい぀もこい぀もク゜しょうもねえ䜎胜ばかリ。操るのはわけはね゚」

     ノォルダガッダは、ややぎこちないながらも聞き取るのに䞍足はない人語で返した。
     オブスキュアの゚ルフたちが芋たら、瞠目しお驚愕するであろう。人語を解するオヌクなど、䞀䞇幎の歎史の䞭で䞀床たりずも確認されおこなかったのだ。゚ルフたちは、オヌクの単玔で粗雑な蚀語をすでに解読し終わっおいたが、その逆などこれたで䞀切なかった。
     ぎこちなさも、オヌクずしおの口の構造が、人語を発声するのに向いおいないからでしかない。完党に習埗しおいるのだ。

    「  たたにわからなくなル。なんでオレだけ奎らず違うのカ、ず。なんで奎らはあんなにク゜匱くおク゜䜎胜なのカ、ず」
    「甘ったれるな。違わぬ者などいない」
    「賢しらに蚀葉䜜っおんじゃね゚。死ねペ」

     苔の地面を蹎り砕き、䞀瞬で肉薄。小気味良い硬音ず同時に倧戊鎌が柄の䞭倮から二぀に分離する。双戊鎌が玅い軌跡を描き、それぞれの軌道で仮面の男の銖筋に吞い蟌たれる。
     諞動䜜が有機的に連動した、恐るべき緎床の斬撃だった。垞人ならば斬られたこずすら理解できぬたた絶呜するであろう匷襲速床。
     だが――
     双刃が銖を挟み斬る寞前で、ぎたりず止たった。
     ノォルダガッダは眉をしかめる。

    【続く】

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    小説曞きでミニチュアゲヌマヌ。おもにSFを奜み、䞉床の飯よりセンスオブワンダヌが奜き。小説が面癜かったらフォロヌしおおくれ。なにかあればツむッタヌアカりントのからどうぞ。https://twitter.com/shu64737980

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