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恋愛掌編|新大阪行き|お題:残されたメモ|拝啓文芸部

    「あなたに会いたくて、

    訪ねて来ました」



    日曜日の教会に、


    あなたは現れた。



    SNSで出会って、

    3か月が経っていた。



    流暢な日本語を話すあなたは、

    台湾人だ。



    私たちは、


    SNSのクリスチャンコミュニティで

    出会った。



    「僕は真面目な

    クリスチャンじゃないから」



    そう言いながら、


    よく聖書の話をした。



    来日した街と、


    私が住んでいた街が同じで、


    私たちは盛り上がった。



    「兄弟姉妹は、

    助け合わなきゃいけないわ」



    来日して孤独なあなたに、


    いつも私は言っていた。



    いつしか、


    お互いの素性を知らせるほど

    親しくなった。



    そして、


    あなたは教会に現れた。



    「懐かしいな、この街。


    今度は君が

    うちの教会に来なよ」



    「うん。


    来てくれたお礼に行く」



    私たちは食事をした。



    そして次の週は、


    あなたの教会を訪ねた。



    「よくお越しくださいました」



    牧師が微笑む。



    私たちは礼拝に出席し、


    今度は私が言った。



    「ここが、


    あなたの街なんだ」



    私たちは街を歩いた。



    「君がいてくれて良かった」



    あなたが、


    ポツリと言う。



    「兄弟姉妹は、

    助け合わなきゃいけないわ」



    私が笑う。



    「それだけ?」



    「え?」



    「僕は、


    それだけじゃないよ」



    照れて、


    言葉に詰まる。



    「嬉しい」



    あなたが微笑む。



    あなたの手が、


    私の手を握る。



    お互い、


    視線は合わせなかった。



    「LINE交換しない?」



    「うん」



    私たちは黙って、


    QRコードを読み取った。



    しばらく、


    ラリーが続いた。



    けれど、


    いつしか未読が増えた。



    LINEは、


    ブロックされた。



    私は理由も分からず、


    泣きはらした。



    そして季節が変わる頃、


    あなたの教会を訪ねた。



    「お久しぶりですね。


    歓迎します」



    牧師は、


    穏やかに笑う。



    「彼は元気ですか?」



    作り笑いで聞く私に、


    牧師が続ける。



    「引っ越しました。



    あなたに渡してほしいと、


    これを預かっています」



    渡されたメモには、


    大阪の住所が

    書き記してあった。



    そして、


    こう添えられていた。



    「ごめんね。



    会いたくなってしまうから、


    連絡できない」



    牧師は言った。



    「戻ってくると、


    籍を残して行きましたよ」



    私はメモを握りしめて、


    言った。



    「そうですか」



    帰り道、


    東京駅を通った。



    東海道新幹線が、


    新大阪に向かって

    走っていった。

    #拝啓文芸部
    #残されたメモ

    #掌編 #小説 #ショートショート #恋愛
    #眠れない夜に

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    夜にそっと読める掌編・三行詩 祈り、恋、孤独、そして日々の小さなものを書く。 長編『エデン —Silence—』執筆中ほか、掌編・三行詩・童話えもんちゃんシリーズ。 プロテスタントのクリスチャン。

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