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Photo bycircle_3mi8

豊橋カレーうどん

     仕事で豊橋へ出かけ、到着がちょうどお昼前になったので、先に食事をすることにした。
     ここ二三年、昼食を外でする場合はラーメンばかり食っていた。おかげで随分美味い店に出くわしたが、どうも後から腹が緩くなる。
     ラーメンは好きだが、その都度腹を下すようでは面倒くさい。それで向後しばらくラーメンは止すことにして、蕎麦の道に通じてみようと考えた。今回がその記念すべき蕎麦道入門の日である。
     スマホを開いて近くの店を探したら、ちょうど一軒ヒットした。あいにく駐車場がないようだから、訪問先へ車を駐めて店まで歩くことにした。
     歩き出すと、店までは存外距離がある。最初は平気だったのが、段々寒くなった。こんなに寒くては都合が悪い。朝に職場を出た際はここまで寒くはなかったはずで、昼に気温が下がるとは面妖だ。不審に思いながら、コートを車内に置いて来たと気が付いた。
     取りに戻ろうかと考えたが、既に道程の半分まで来てしまい、これから戻るのはいかにも面倒だ。
     結局、そのまま両肩を抱きながら歩き、どうにか店までたどり着いた。
    「いらっしゃいませ」
     カウンター席でメニューを開くと、豊橋カレーうどんが目に付いた。どうやらそれがイチオシらしいのである。
     豊橋カレーうどんの噂は聞いたことがある。丼の底に白米を敷き、とろろ芋で蓋をした上へカレーうどんを盛るのだそうだ。愛知に住んで四半世紀だが、これまで機会がなくて食べたことがない。
     少しく悩み、結局蕎麦道の第一歩は次回に譲ることにして、カレーうどんをそう云った。

     身体の芯まで温まったようで、帰りは一向寒くなかった。美味かったし、好い選択をした、いい店だった、またきっと行こうと思ったけれど、車に戻る頃には、そもそもカレーうどんというものは他の店で食べてもそんなに変わらないのではないかと気が付いた。



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    随筆家。日常をそれっぽく書いたり、気持ち悪い話を書いたりする。 著書∶『牛おばさん・他49篇』 パスタ屋店長、人材派遣屋、メーカーのEC担当など種々の職業に就く傍ら、2003年よりウェブ上で執筆活動中。

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