コンテンツにスキップ

伝統工芸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

伝統工芸(でんとうこうげい)は、工芸の中でも特に、長年にわたって受け継がれている伝統的な技法や技術を用いるもののこと。伝統工芸を用いて作られる工芸品を伝統工芸品という。本記事では主に日本の伝統工芸について扱う。

概要

[編集]

一般的に、伝統工芸は熟練した技が必要で、長い生産の歴史があるものをいう。その多くは地域の風土や歴史に根差している。大半は手作業または簡単な道具・機械を用いて製作を行うが、明治時代以降に工業的な大量生産の手法を取り入れたものもある。用途は日常的に用いられる品(またはかつて日常的に用いられていた品)が多いが、美術観賞用のものも少なくない。

伝統工芸品のうち、伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)第2条に定められた要件を満たしたものは、経済産業大臣により伝統的工芸品(経済産業大臣指定伝統的工芸品)の指定を受けることができる。要件は以下の5点である。

  1. 主として日常生活の用に供されるものであること。
  2. その製造過程の主要部分が手工業的であること。
  3. 伝統的な技術又は技法により製造されるものであること。
  4. 伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるものであること。
  5. 一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又はその製造に従事しているものであること。

また、都道府県など地方自治体で伝統工芸品を認定する制度を設けているところもある(Category:都道府県指定伝統工芸品も参照)。こうした認定制度は主に行政が補助、税制優遇などの施策により生産の活性化・継承に関与することを目的としたもので、これらに認定されないものが即ち伝統工芸にあたらないことを意味するものではない。

伝統工芸品の種類

[編集]

伝産法に基づいて設立された一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会では、経済産業大臣指定伝統的工芸品を以下の15の「業種」に分類している[1]。

ほかに郷土玩具、神祇調度、慶弔用品などもある。

重要無形文化財保持者(人間国宝)や伝統工芸作家らによる公益社団法人日本工芸会では、陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸の7分野に分け、それぞれの部会を置いている。

伝統工芸の問題点

[編集]
  1. 若い後継者の不足
    技術の習得にとても長い時間がかかるため、以前は深刻だった。しかし、この問題点は、昨今の生きがい探求の風潮により、改善傾向にある。多くの伝統産業、地場産業の地に、若い後継者が訪れ、労働賃金に関わらず、彼らの生きがい探しの受け皿となっている。
  2. 原材料の不足
    国産の物は高く、外国産の原料に圧されている。国産原材料は長年の円高により競争力を喪失し、供給自体が細ってしまっている場合もある。
  3. 値段が高い
    先進国である日本の人件費を考慮すると、競合となる発展途上国産の手工芸品と比較してかなり高額とならざるを得ない。ただし、アジア製の手工芸品が一定浸透した現在の日本市場においては、普及品は発展途上国産、高級品は国産・欧州産という棲み分けがなされている。
  4. 革新と挑戦意識の低下
    長い時間をかけ、改善と工夫によって変化してきた伝統工芸だが、近年では国や自治体からの補助に守られている現状にあって、工芸品そのものも守りの状態に陥ってしまっている。

これらの問題を受け、伝統工芸の技術を守り、育て、発展させるために1974年(昭和49年)に伝統的工芸品産業の振興に関する法律が作られた。

関連項目

[編集]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ↑ 以下は貴石に含まれない場合があるが、ここでは伝統的工芸品産業振興協会での分類に基づいている。

出典

[編集]
  1. ↑ “伝統的工芸品について”. 一般財団法人 伝統的工芸品産業振興協会. 2026年10月16日閲覧。

外部リンク

[編集]